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パナソニック深津英臣、Vリーグ通算230試合出場は通過点「毎年このメンバーで優勝を」

2022 2/28 11:00米虫紀子
パナソニックパンサーズの深津英臣,Ⓒパナソニックパンサーズ
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Ⓒパナソニックパンサーズ

白澤健児、永野健、清水邦広らベテランに刺激

バレーボールのV.LEAGUE DIVISION1男子の2月20日の試合で、パナソニックパンサーズのセッター深津英臣が、Vリーグ通算230試合出場を達成した。230試合出場は、Vリーグ特別表彰制度の「Vリーグ栄誉賞」の表彰基準となっている。

深津は2013年に東海大学からパナソニックに加入すると、入団1年目から正セッターの重責を担った。9年目となる今季までファーストセッターとしてトスを上げ続け、三度のリーグ優勝に貢献してきた。

しかし試合後、深津は「僕の230試合は、何にもすごくないですね。このチームでは」と笑った。

パナソニックには、31歳の深津の上に、37歳のミドルブロッカー白澤健児、36歳のリベロ永野健、35歳のオポジット清水邦広、34歳のアウトサイドヒッター、クビアク・ミハウがいて、年齢など感じさせないエネルギッシュなパフォーマンスを見せ続けているからだ。

「試合後にティリ監督も『おっさんだらけだなー』って言ってたんですけど(笑)。本当にそう。僕が入社した頃は、30代の選手なんてなかなかいなかったし、この賞(230試合出場)もなかなかもらえるものじゃなかったんですけど、選手寿命が延びていますよね。治療やトレーニングなど、いろんなものの影響があるんだと思いますけど」

出場試合数を見ても、永野が432試合、白澤は421試合、清水も342試合(2月20日時点)と、はるかに先を行っている。深津は言う。

「スッゲーな、と思いますよ。あの人たちはすごく刺激になります。僕より年上の人たちって、今の若いやつらよりもファイティングスピリッツがすごいというか、勝負師というか。『お前らには負けねーぞ!』というものが、いまだにすごく強い。

一番声を出してやっていますし。僕も230試合に到達するようになったんですけど、まだ甘えている部分があるなと思う。あの人たちがいるからこんなに自由にやらせてもらえているので、すごくいい環境だなと。いずれは自分がそういう立場になれるようにしたいし、なっていくべきだと思っています」

兄・旭弘はプロとして堺ブレイザーズに移籍

もう1人、今シーズン、深津に刺激を与えている人物がいる。3歳年上の兄・旭弘である。

深津旭弘は昨シーズンまで11年間JTサンダーズ広島に所属していたが、昨年、JTを退社し、堺ブレイザーズに移籍した。JTの社員として引退後に安定した生活を送る道を捨て、プロ選手となって新天地で挑戦する道を選んだ。そして今季、堺でも正セッターの座をつかみ、昨季7位と低迷していたチームを上位に引き上げる原動力となっている。英臣は尊敬の念を込めてこう語る。

「あいつもやっぱバレー好きなんだなーって感じましたね。『まだバレーがしたいから、やれるところでやりたい』と言っていましたから。それに、支える家族、奥さんや子供たちも理解があるし、すごいなと思います。それがあるから、今、頑張れているんじゃないか。ついてきてくれた家族のためにという思いや、自分のプライドもあると思う。

ただ、僕も負けたくないですね。本当に刺激をもらっています。バレーを愛する気持ちや、熱さ、そういうのは見習っていきたいです」

深津英臣に、「今後、選手として成し遂げたいことは?」と聞くと、こう答えた。

「強いていうなら、(2019年の)アジアクラブ選手権がすごく悔しかったので……決勝でイランのチームに、あと一歩のところですごく悔しい負け方をしたので、もう一度チャレンジできるのであれば、アジアを勝ち抜いて、世界クラブ選手権に出場したい。一度出たことがあるんですけど、それは推薦枠だったので、自力で出場権を勝ち取って行きたいですね。

それにやっぱり、毎年(Vリーグで)優勝したい。毎年すごい選手が入ってくるし、毎年誰かとお別れがくる。だからこそ、今のこのメンバーで勝ちたいと、毎年思っています」

230試合はあくまで通過点。30歳を過ぎても、まだまだ負けん気や向上心に火をつけ続けてくれる周囲に感謝しながら、深津は歩み続ける。

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