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令和初の優勝へ 新大関・貴景勝が“吉兆”の連勝スタート

2019 5/14 14:11柴田雅人
イメージ画像ⒸYuka Tokano/Shutterstock.com
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4場所連続の連勝スタート

新大関・貴景勝が夏場所の土俵を沸かせている。場所前の稽古総見では今一つ振るわなかったものの、いざ場所が始まると初日、2日目と危なげなく連勝。令和で初めての15日間を、上々の形で滑り出した。

東前頭2枚目・遠藤を迎えた初日は、立ち合いで相手を一歩引かせると、下からの突き押しで抵抗を許さず難なく土俵外へ。圧倒的な相撲内容で、大関最初の取組を白星で飾った。

西前頭筆頭・琴奨菊と対戦した2日目は、立ち合い押し切れないと見るやいなしを敢行。これで琴奨菊の体勢をグラつかせると、最後はのど輪交じりの突き押しで勝負あり。大関経験者でもある難敵を、冷静な相撲できっちりと仕留めた。

先場所10勝5敗をマークし、晴れて令和初の大関へと昇進した貴景勝。相撲ファンからの期待を一手に集める一方で、突き押し一辺倒のスタイルでは大成しないという指摘も少なくない。

期待と重圧による影響からか、この2日間はどちらも取組前に鼻血が出たと報じられてもいる。それでも連勝を収めているところを見ると、肉体面だけでなく精神面の強さにも磨きがかかっているといえそうだ。

初日からの連勝スタートはこれで4場所連続だが、過去の3場所は優勝1回・優勝次点1回・2ケタ勝利3回といずれも好成績。22歳の若き大関が、このまま勢いに乗る可能性は十分だ。

平成の新大関で連勝スタートは56%

先月末をもって幕を閉じた平成の時代には、貴景勝を除いて25人の新大関が誕生している(横綱昇進力士を含む)。その内、貴景勝と同じく連勝スタートを切ったのは14人と意外に少ない。

・平成元年~平成10年
 霧島  (元大関/平成2年夏)
 貴乃花 (元横綱/平成5年春)
 若乃花 (元横綱/平成5年秋)
 武蔵丸 (元横綱/平成6年春)

・平成11年~平成20年
 魁皇  (元大関/平成12年秋)
 栃東  (元大関/平成14年初)
 朝青龍 (元横綱/平成14年秋)
 白鵬  (現横綱/平成18年夏)
 琴光喜 (元大関/平成19年秋)

・平成21年~平成31年春
 把瑠都 (元大関/平成22年夏)
 琴奨菊 (現幕内/平成23年九州)
 稀勢の里(元横綱/平成24年初)
 照ノ富士(現三段目/平成27年名古屋)
 栃ノ心 (現関脇/平成30年名古屋)

25人中14人ということで、該当力士は半数より少し多い56%。現役力士では白鵬、琴奨菊、照ノ富士、栃ノ心の4人はクリアしているが、鶴竜(平成24年夏)、豪栄道(平成26年秋)、高安(平成29年名古屋)の3人はいずれも1勝1敗で達成できていない。

また、後に横綱となる面々の中でも、曙(2休/平成4年名古屋)や日馬富士(2敗/平成21年初)といった力士は連勝どころか1勝もできていない。一見すると順当のようにも思える貴景勝の連勝が、実はそう簡単なことではなかったということが伺えるだろう。

ちなみに、前述の25人中9人はその後横綱まで上り詰めるが、該当力士が6人なのに対し非該当力士は3人。令和初の横綱を期待されてもいる貴景勝にとっては、縁起のいい連勝となるかもしれない。

連勝力士のその後は?

好スタートを切ったとなれば、当然最終結果も好成績が期待されるようになる。では、前述の14人は、その後どのような15日間を過ごしたのだろうか。

霧島    9勝6敗  (○○○○○○○○●●○●●●●)
貴乃花  11勝4敗  (○○○○●○●○○○○○○●●)
若乃花   9勝6敗  (○○○○●○○○●○●○●●●)
武蔵丸   9勝6敗  (○○○○○●○○●●○○●●●)
魁皇   11勝4敗  (○○○●○○○○○●○●○●○)
栃東   13勝2敗  (○○○○○○○○○○○●●○○)
朝青龍  10勝5敗  (○○○○○○○○●○●●●●○)
白鵬   14勝1敗  (○○○○●○○○○○○○○○○)
琴光喜  10勝5敗  (○○●○○●○○●●○○●○○)
把瑠都  10勝5敗  (○○○○○○○●○●●●○○●)
琴奨菊  11勝4敗  (○○○○○○○○○●●●●○○)
稀勢の里 11勝4敗  (○○○●○○○○○○●●○●○)
照ノ富士 11勝4敗  (○○○○○○●○○○●●○○●)
栃ノ心   5勝2敗8休(○○○○○●■やややややややや)

怪我に見舞われた栃ノ心を除く全ての力士が勝ち越しており、内10人は2ケタ以上をマーク。さらに、琴光喜以外の力士は連勝を3以上に伸ばしており、霧島、栃東、朝青竜、琴奨菊の4人はストレート給金を決めている。

また、栃東、白鵬の2人は、新大関でいきなり優勝という快挙を達成。出だしの勢いが好結果につながる傾向が強いことを考慮すると、貴景勝の連勝も“吉兆”となることが期待できるだろう。

一方、終盤戦となる残り5日間に関してはほとんどの力士が星を伸ばせておらず、2連敗以上を喫してしまっている力士も多い。横綱・大関陣との対戦は、決して勢いだけでは乗り切れないということが浮き彫りとなっている。

もちろん、これは貴景勝にとっても他人事ではない。今場所は鶴竜、豪栄道、高安が自身と共に横綱・大関陣を形成しているが、この3人に対してはこの1年でそれぞれ1勝1敗、2勝3敗、2勝3敗といずれも勝ち越せていない。この苦手意識を払拭できなければ、先人たちと同じように沈んでしまうことは想像に難くない。

令和初の優勝、そして令和初の横綱へ―。3日目以降の取組も、真価が問われる一番が続くことは間違いない。

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