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京口紘人が大差判定勝ちで再起、「お家芸」フライ級で日本人7人目の3階級制覇目指す

2023 5/24 06:00SPAIA編集部
京口紘人,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

両拳痛めて倒せず、フルマークの判定勝ち

プロボクシングの元世界2階級王者・京口紘人(29=ワタナベ)が5月20日、東京・墨田区総合体育館でローランド・ジェイ・ビエンディーマ(27=フィリピン)に判定勝ちした。

2022年11月に寺地拳四朗(31=B.M.B)に7回TKO負けして以来の再起戦。一方的に攻め込んだものの、試合中に両拳を痛めて倒すことはできず、3者ともフルマークの判定勝利となった。

自身の公式YouTubeチャンネルでは試合後の控室での模様を公開。「KOできなくて悔しい。中盤、右ボディで相手の動きが止まったけど、守り一辺倒になると厳しい。そこは自分の足りないところ」とKOできなかった反省を口にした。

ケガについては「5ラウンドくらいに痛めましたね。(相手の)でこ(額)に当たると電気走る感じやったんで」と試合中から拳の痛みに苦しんだことを吐露。戦績を17勝(11KO)1敗とした元2階級王者は、再起を果たしながらも渋い表情だった。

寺地拳四朗との立ち位置逆転

とはいえ、3階級制覇に向け、白星こそが最高の良薬だろう。京口は2017年7月にIBFミニマム級王座を獲得して2度防衛、2018年大晦日にはWBAライトフライ級スーパー王座も奪って2階級制覇を達成し、4度防衛した。

プロデビュー以来無敗の16連勝で激突したWBC王者・寺地拳四朗との統一戦は壮絶な打撃戦。それまで華麗なアウトボクシングを身上としていた寺地が、パワーでは上と見られていた京口に打ち勝ったことで両者の立ち位置は逆転した。寺地は今年4月8日にもアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)と打撃戦の末に9回TKO勝ちし、ますます評価を高めた。

そんな中で迎えた京口の再起戦。フライ級に上げて3階級制覇を目指す上で、負けられないのはもちろん、内容を問われる一戦だった。本人も納得していない通り、拳を痛めたとはいえ、格下を倒せなかった点は課題と言えるだろう。

ただ、勝たないと次につながらないのがボクシング。フライ級初戦に勝ったからこそ、しっかりと拳を治して次に備える時間も取れる。

現フライ級王者はいずれも難敵

日本で3階級以上を制覇したボクサーは過去6人。唯一の4階級制覇が井岡一翔、3階級制覇は亀田興毅、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成が達成している。

身長162センチの京口はフライ級では大きくはない。現在のフライ級はWBA王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)が22戦全勝(15KO)、IBF王者サニー・エドワーズ(イギリス)が19戦全勝(4KO)、WBO王者ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)が18勝(11KO)と3人が無敗。WBC王者フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)も20勝(15KO)2敗2無効試合と軽量級にしてはKO勝ちが多く、いずれも難敵だ。

フライ級は日本から階級別最多の20人が世界のベルトを巻き、「お家芸」とも言われた馴染み深い階級。日本で7人目の3階級制覇、並びに日本で21人目の世界フライ級王者を目指す京口の戦いはこれからが本番だ。

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