「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

名門・帝拳ボクシングジムの歴代世界王者一覧、那須川天心の動向は?

2022 6/21 06:00SPAIA編集部
那須川天心,Ⓒゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

帝拳初の世界王者は大場政夫

「THE MATCH2022」と銘打たれた格闘技界注目の大一番が19日、東京ドームで行われ、RISE世界フェザー級王者の那須川天心(23)がK-1スーパーフェザー級王者の武尊(30)に判定勝ちした。

天心はこの試合を最後にボクシングに転向する意向を表明しており、キックボクシングは無敗の42連勝(28KO)で卒業。早くも一部ではボクシングの名門・帝拳ジムからのデビューが有力と報じられている。

数あるボクシングジムの中でも帝拳ジムは歴史と実績を誇る名門中の名門。これまで輩出した世界王者は以下の通りとなっている。

帝拳プロモーションの歴代世界王者


帝拳から初めて世界をつかんだのは「永遠のチャンピオン」大場政夫だった。1970年10月にベルクレック・チャルバンチャイ(タイ)を13回KOして世界フライ級王座に就くと、4度目の防衛戦ではオーランド・アモレス(パナマ)にダウンを奪われながら5回KO。さらに5度目の防衛戦でもチャチャイ・チオノイ(タイ)からダウンを喫するも12回に逆転KOし、「逆転の貴公子」と呼ばれた。

日本中を熱狂させたノックアウトからわずか3週間後の1973年1月25日、愛車のコルベットを運転中に首都高速で大型トラックと正面衝突。白いスーツを着た23歳の大場はチャンピオンのまま帰らぬ人となった。

浜田剛史、西岡利晃、山中慎介、村田諒太ら名王者多数

大場以来2人目の世界王者となったのが浜田剛史だ。サウスポーの強打者で現在も日本記録の15連続KOをマークしたが、自らのパンチ力に左拳が耐え切れず4度も骨折。1986年、ようやくつかんだ世界初挑戦の大舞台でレネ・アルレドンド(メキシコ)を1回KO。世界スーパーライト級王座を強奪した新王者を、両国国技館に詰め掛けた大観衆は大相撲の金星よろしく座布団を投げて祝福した。現在は帝拳プロモーション代表を務めている。

西岡利晃も印象深い王者だ。デビューは地元・兵庫のJM加古川ジムで、世界バンタム級王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)に判定負けして帝拳に移籍。その後もウィラポンに計4度挑むも2敗2分けで世界に届きそうで届かない状態が続いた。

迎えた2008年9月に「5度目の正直」で世界スーパーバンタム級王座を奪取すると7度防衛。ジョニー・ゴンサレス(メキシコ)やラファエル・マルケス(メキシコ)らを下して世界的にも評価を上げた。最後は先日、井上尚弥に敗れたノニト・ドネア(フィリピン)に9回TKO負けし、グローブを吊るした。

山中慎介は具志堅用高の防衛記録に迫った名王者だ。2011年11月、クリスチャン・エスキベル(メキシコ)を倒して世界バンタム級王座に就くと、「神の左」と呼ばれた強烈な左ストレートでKOの山を築き、12度防衛に成功。日本タイ記録がかかった13度目の防衛戦でルイス・ネリ(メキシコ)に敗れた。

ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との激闘が記憶に新しい村田諒太も帝拳所属だ。ロンドン五輪で金メダル獲得後にプロ転向した当初は三迫ジムだったが、後に帝拳に移籍。2017年10月と2019年7月の2度、世界ミドル級王座に就き、日本で初めてアマとプロの両方で世界の頂点に立った。

ホルヘ・リナレスは3階級制覇

ほかにもフェザー級とスーパーフェザー級の2階級を制覇した粟生隆寛、李冽理を下してスーパーバンタム級王者となった下田昭文、日本伝統のフライ級を制した五十嵐俊幸、「ボンバーレフト」と呼ばれた強打で人気だったスーパーフェザー級の三浦隆司、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)との接戦を制したライトフライ級の木村悠、アメリカでスーパーフェザー級王座に就いた尾川堅一らが名を連ねる。

さらにベネズエラ出身ながら日本でプロデビューしたホルヘ・リナレスは、フェザー級からライト級まで3階級制覇した。また、マネージメント契約を結んだローマン・ゴンサレス(ニカラグア)やカルロス・クアドラス(メキシコ)、ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)も含めると15人に上り、協栄ジムの13人を上回る国内最多の世界王者を生んでいる。

これだけの実績を持つ名門のため、仮に天心が帝拳に入門すれば育成や指導の面では心配ないだろう。加えて本田明彦会長がプロモーターとして世界的なネットワークを持っており、マッチメークの不安も少ない。相手を慎重に選びながら経験を積み、よりベストなタイミングで世界戦を組めるようなレールが敷かれるはずだ。

「神童」那須川天心はボクシングでも世界のベルトを巻くことができるか。今後の成り行きが注目される。

【関連記事】
世界王者を輩出した日本のボクシングジムランキング
日本男子ボクシングの連続KO記録ランキング、1位は比嘉大吾ら3人並ぶ
ボクシング階級別世界王者一覧、日本選手未踏の階級は?