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ボクシングのプロテストC級・B級・A級とは?堤駿斗がB級合格

2022 5/4 06:00椎葉洋平
イメージ画像,ⒸPaolo Bona/Shutterstock.com
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ⒸPaolo Bona/Shutterstock.com

プロテストは16歳から34歳まで受験可能

ボクシングの2016年世界ユース選手権で日本人初優勝を飾るなどアマ13冠の実績を持つ堤駿斗(つつみ はやと、22=志成)が、4月27日、B級でプロテストに合格した。26日にフェザー級でテストを受検した堤は、特例のA級(8回戦以上)デビューを計画していると伝えられている。

今回話題となった、プロテストのC級、B級、A級にはどういった違いがあるのか、解説する。

そのためにはまず、プロテストについて書く必要があるだろう。日本でプロボクサーになるためには、日本ボクシングコミッション(JBC)が行うプロテストに合格しなければならない。ただアマチュアで、不戦勝を除いて5勝以上の実績があれば、審査のうえC級テストを免除される場合がある。なお、受験するには以下の3つを満たす必要がある。

①満16歳から満34歳までの男女
未成年の場合は親の同意が必要で、試合出場は17歳から。また、申込時に満34歳であれば受験可能。

②コミッションドクターによる健康診断に合格する
B型肝炎検査、頭部CT検査が行われるが、30歳以上の者はCTに代わり頭部MRI検査を行う。また女子はテスト日から30日前以内の妊娠反応検査を含む。

③日本プロボクシング協会(JPBC)加盟のボクシングジムに受験者が在籍していること
日本プロボクシング協会に加盟しているボクシングジムは多いが、フィットネス向けのジムなどではJPBCに加盟していない場合がある。

プロボクシングライセンスのC級・B級・A級とは?

プロを目指す選手は、基本的にはC級テストを受験することになる。ただ、アマチュアで多大な実績があり、全日本ランキング10位以内相当の実績を有する場合はB級テスト受験が可能だ。

C級のボクサーとは、4回戦(4ラウンド制)で試合を行う選手のこと。4勝(引き分けは0.5勝で換算)すると、B級ライセンスへ切り替えられる。B級のボクサーとは、6回戦(6ラウンド制)で試合を行う選手のこと。2勝する(引き分けは0.5勝で換算)と、A級ライセンスに切り替えられる。

A級のボクサーとは、8回戦(8ラウンド制)以上で試合を行う選手のこと。8回戦で1勝すると、10回戦(10ラウンド制・女子は10回戦が最長)や12回戦(12ラウンド制)の試合に出場でき、10回戦以上になれば日本ランキングの対象となる。

またプロボクサーの収入は基本的に試合のファイトマネーといわれる出場給のようなもののみで、この金額にも大きな差がある。どのスポーツでも実力や知名度によって差は生じるものだが、ボクシングの場合は特に幅が広い。

ボクシングのファイトマネー相場


相場はC級ボクサー:6~10万円、B級ボクサー:10~30万円、A級ボクサー:15~40万円、日本タイトルマッチ:50~数百万円、世界チャンピオン:1000万円~。

ジムの資金力やチケットの売れ行きなどによっては相場より安い場合もあり、チャンピオンの場合は防衛回数やテレビ中継の有無によっても違う。多くのボクサーは年間3~5試合ほどリングに立ち、ファイトマネー×試合数が年収となる。

堤駿斗がA級デビューすれば史上10人目

ほとんどのボクサーはC級ライセンスを獲得し、コツコツと実績を積んでいく。B級でデビューできる選手は一握りだ。

さらに過去にB級テストに合格し特例でA級デビューしたのは、池山伊佐巳、米倉健志、ロイヤル小林、石井幸喜、平仲明信、赤城武幸、井上尚弥、4月29日にデビュー戦を戦ったばかりの但馬ブランドン・ミツロの8人のみ。村田諒太は史上初のA級プロテストとして行なわれ合格したが、プロデビューは6回戦だった。

このうちロイヤル小林、平仲明信、井上尚弥、村田諒太の4人はのちに世界チャンピオンまで上り詰めている。2017年に井上尚弥以来となる高校生で全日本選手権優勝を飾り、「ネクスト・モンスター」とも呼ばれる堤駿斗は、彼らの後に続くことはできるだろうか。

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