「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

新生履正社の「走塁革命」ストップ・ザ・大阪桐蔭の1番手いざ出陣

2022 6/26 11:00柏原誠
履正社高の多田晃監督,ⒸSPAIA(撮影・柏原誠)
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA(撮影・柏原誠)

昨秋、今春と大阪桐蔭に惜敗

第104回全国高校野球選手権大会の地方大会がいよいよ各地で本格化する。

全国的にも注目されるのはセンバツを圧倒的な力で制した大阪桐蔭。夏も日本一の大本命とはいえ、大きな壁となるのが大阪大会だ。実に177校165チームが参加する強豪ぞろいの大激戦区。各校がストップ・ザ・大阪桐蔭を掲げて最後の夏にぶつかってくる。

その筆頭となるのが履正社だろう。

今チームも王者と互角に組み合ってきた。昨秋は準決勝で3-5。今春は決勝で2-3。特に春は互いにベストメンバーで戦い、1点差ゲームにもつれた。相手エース前田悠伍投手(2年)に完投を許したが、2点を奪い「履正社の打者は体が大きくなっていて、秋よりも威圧感があった。甘くなったら打たれると思った」と言わせた。

1番遊撃を務め、走攻守世代トップクラスといわれる光弘帆高内野手(3年)や身長188センチのスラッガー橘高純平内野手(3年)が中核をなす打線は歴代のチームと比べてもバランスよく、遜色ない。投手陣も2年生の増田壮を軸に複数人をハイレベルでそろえ、長丁場の争いに備えている。

履正社の主砲・橘高純平内野手

履正社の主砲・橘高純平内野手ⒸSPAIA(撮影・柏原誠)

岡田龍生前監督の後任に多田晃監督が就任

「打倒・大阪桐蔭」への意識は全国どのチームよりも強いはずだ。夏の大阪大会に限ると実に11連敗中。大会中止だった20年の独自大会では勝利したがあくまでも参考記録。初めて全国制覇した19年は、大阪桐蔭と直接の対決はなかった。「桐蔭を倒して日本一」は代々受け継がれる合言葉になっている。

35年かけて弱小校を全国的強豪に育て上げた岡田龍生前監督(61=現東洋大姫路監督)が退任。今年4月から長年コーチや部長を務めてきた多田晃監督(44)が就任した。現役時は履正社の主将を務め、野球部の道のりもよく知る存在だ。

「毎年、最後に大阪桐蔭さんの校歌を聞いて終わっていることが多いんですよね。今年はとくに打倒桐蔭を掲げながらやっている。選手からも気持ちは伝わってきます。今年は強い気持ちを持った子が多いです」

小西柚生主将「絶対に日本一になります」

強打と堅実な守備を軸にする前監督のスタイルを踏襲しながら、「走塁」のレベルアップを多田野球の特色として打ち出している。日々の様子を見てもそれは分かる。実戦形式の練習では、プレーに参加していない選手もボールにリンクして進塁、帰塁の動きを繰り返す。上級生は入部したての1年生にも徹底事項を伝える。

エネルギッシュな多田監督のキャラクターもあり、グラウンドは活気に包まれている。監督が代わっても、19年日本一の勢いは続いているように見える。

主将の小西柚生外野手(3年)は「履正社に来て、1度も甲子園に行くことなく引退なんて考えられない。絶対に日本一になります」と鼻息が荒い。今後、何年も続いていくであろう「大阪2強」のライバル物語。初戦は7月18日、西野田工科と阿武野の勝者に決まった。新生・履正社の戦いぶりに注目したい。

【関連記事】
腹切り発言の開星・野々村直通監督がキャンバスに描く夢「また注目されたい」
川口知哉氏が振り返る「ビッグマウスの真相」母校・龍谷大平安のコーチ就任
高校野球の名門・龍谷大平安の原田英彦監督を目覚めさせた痛烈なヤジ