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世界ランク1位の座から解き放たれた大坂なおみ 芝コート克服なるか

2019 7/1 07:00中村光佑
ウィンブルドン初制覇を狙う大坂なおみⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

苦手意識のある芝コート

7月1日から全英オープンが開幕。すでに全米と全豪でタイトルを獲得した大坂なおみは、2つのビッグタイトルを獲得した今、次なる目標は「生涯グランドスラム」であるのは間違いない。

全仏では3回戦敗退と思うような結果を残せずに芝のシーズンへと突入。前哨戦の「ネイチャー・バレー・クラシック」でも終始サーブに苦しむなど、2回戦で大敗を喫した。約5か月間守り続けた世界ランク1位の座もアシュリー・バーティ(オーストラリア)に奪われてしまった。2019年2月に契約したジェンキンスコーチとともにプレーの立て直しが急務である。

そもそも大坂は芝コートに苦手意識を持っていることで知られ、大坂本人も「他の選手がスライドして転んでいるのを見ると、私はちょっと怖いんです。だからそれを変える必要がある」と語る。

生涯グランドスラムが目標であれば、どのようなサーフェスでも対応しなければならない。まずは芝への苦手意識の克服。これこそが大坂の第一の課題となるだろう。

持ち味のサービスを生かせるか

芝のサーフェスでは、球足が速くなるためサーブの得意な選手は有利である。大坂の持ち味はサーブなので、本来芝は得意なはず。

世界トップ5のスタッツ比較ⒸSPAIA

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ただ、上記の表にあるように、大阪のサーブの数字はそこまで抜けたものではないのだ。これらの数字をしっかりと上げていくことができるかが、ウインブルドン制覇の鍵となるだろう。

3回戦の壁に阻まれてきた大坂

大坂が過去にウィンブルドンの本選出場を果たしたのは2017年と2018年の2回しかなく、いずれも3回戦に進んだ。しかし、その3回戦ではストレート負けを喫し、いわゆる「ベスト16への壁」が大坂を阻んできたともいえる。まずはこの壁を越え、優勝に向けてさらなる飛躍を遂げられるか、その注目度は高まっている。

先に述べたようにウィンブルドン前哨戦では、世界ランク1位から陥落したが、これについてはポジティブな面もある。それは、長きにわたって大坂を苦しめてきた「重圧」からの解放である。これが大坂にどのような結果をもたらすのだろうか。

すでにグランドスラムのタイトルを2つ取ったとはいえ、大坂はまだ若く、伸びしろのある選手である。

多少思うようにいかない時期でも、どれだけメンタル面を安定させていけるかがカギとなる。全仏の悔しい結果をバネにし、ウィンブルドン制覇をファンは待ち望んでいる。