418kgで2着に食い込んだステイゴールド
今週は天皇賞(春)が開催される。過去には多くの名馬を輩出してきた伝統のGⅠだ。様々な路線から名ステイヤーが集い火花を散らす。昨年の覇者テーオーロイヤルは不在だが、2着馬ブローザホーンは宝塚記念を制しGⅠ馬として2度目の挑戦。青森県産馬ハヤテノフクノスケ、格上挑戦のリミットバスターなど様々な経歴を持つメンバーが集った。
今回は春の盾を争う当レースについて、1986年以降のデータから「記録」を振り返る。
軽量馬ブローザホーンが2着に粘った昨年の天皇賞(春)。馬券圏内馬における軽量ランキングは下記の通り。
1位 418kg ステイゴールド(1998年2着)
2位 424kg ブローザホーン(2024年2着)
3位 426kg ドリームジャーニー(2009年3着)
4位 430kg ライスシャワー(1993年1着)
5位タイ 438kg ディープインパクト(2006年1着)
5位タイ 438kg トウカイトリック(2007年3着)
勝ち馬で最も軽いのはライスシャワー。ちなみにステイゴールドの418kgは集計期間内に出走した牡馬のなかで最も軽量となる。牝馬も含めると1位〜4位まで、2020~23年のメロディーレーンが占める。
波乱を巻き起こした小柄な実力派
ステイゴールドは古馬の初戦として出走した万葉Sで2着となると、条件戦→ダイヤモンドSと続けて2着。体重を408kgまで減らした日経賞こそ4着に敗れるも、続く天皇賞(春)ではプラス10kgの418kgで2着に好走した。
天皇賞(春)は10番人気という低評価ながらシルクジャスティスやローゼンカバリーといった人気馬に先着する力強い走りだった。さらに2走後の宝塚記念でも9番人気2着と波乱を巻き起こした。
ステイゴールドは秋にも天皇賞(秋)で2着、有馬記念で3着と好走。翌年の天皇賞(春)では5着、さらにその翌年でも4着と、毎春、日経賞→天皇賞(春)のローテで出走していた。
ステイゴールドの馬生を大きく左右したのは、そのローテから外れた2001年の春。その年は日経新春杯1着からドバイに遠征するとドバイシーマC(当時はGⅡ)を制覇して海外重賞馬の仲間入りを果たしたのだ。
冬には香港ヴァーズを勝利して海外GⅠ馬となったステイゴールドは、善戦マンから卒業し堂々たる実績で種牡馬となった。
ステイゴールド産駒は天皇賞(春)4勝
種牡馬ステイゴールドの名声を高めたのが、軽量ランキング3位にもなっているドリームジャーニー。デビュー4戦目で2006年の朝日杯FSを制して2歳王者となると、3歳シーズンは神戸新聞杯1着、ダービーと菊花賞で5着と、世代上位の活躍を見せる。
古馬になり池添謙一騎手と新コンビを結成してから、小倉記念、朝日チャレンジCで連勝した。翌年には天皇賞(春)3着から宝塚記念、有馬記念を制する活躍を見せ、最優秀4歳以上牡馬に選出された。
ステイゴールド産駒が馬券圏内に食い込んだのは7回。フェノーメノが連覇、レインボーライン、ゴールドシップが勝利をあげているほか、スティッフェリオやパフォーマプロミスが馬券圏内に好走している。
一方で代表産駒である三冠馬オルフェーヴルは12年に1番人気11着と大敗を喫している。同産駒からは上述のメロディーレーンが出ているほか、23年にシルヴァーソニックが3着に好走している。
大波乱を巻き起こしたビートブラック
オルフェーヴルが敗れた12年の勝ち馬はビートブラック。単勝配当1万5960円、複勝配当3720円はどちらも1986年以降では最高となる。ここでは少しひねって複勝での高配当ランキングを見ていく。
1位 3720円 ビートブラック(2012年1着)
2位 2860円 メイショウドンタク(2010年3着)
3位 2010円 ミスターシクレノン(1989年2着)
4位 1930円 イングランディーレ(2004年1着)
5位 1570円 ビッグゴールド(2005年2着)
馬連の最高配当は1着スズカマンボ、2着ビッグゴールドで決着した2005年の8万5020円。ビートブラックの2着になったのが3番人気トーセンジョーダンだったため馬連配当は2位の6万1570円となっている。
ビートブラックは父がミスキャスト(父の母ノースフライトは1994年に春秋マイルGⅠ制覇)と、レース後には血統面でも注目を集めた。
武幸四郎騎手の大胆騎乗で粘り込んだメイショウドンタク
複勝配当で2位となったメイショウドンタクはデビューから多くの騎手とコンビを組んできた。
デビューから赤木高太郎騎手、武豊騎手、藤田伸二騎手、上村洋行騎手、小牧太騎手、柴山雄一騎手と6戦連続で鞍上が入れ替わる。3歳秋からは武豊騎手とのコンビでオープン入り後、万葉Sで3着と結果を残したが、大阪ーハンブルクCで武幸四郎騎手との新コンビを結成。次走の天皇賞(春)でも継続騎乗することになった。
前走の大阪ーハンブルクCで5番人気11着と大敗したことで、天皇賞(春)では18頭中16番人気に甘んじた。
レースでは武幸四郎騎手は道中6番手から進めていたが、淀の坂で早めに仕掛けると3角では3番手につける積極策に出た。これが上手くハマり、1、2着馬からは5馬身離されるも3着に粘った。
メイショウドンタクはその後も7番人気2着や8番人気3着など穴党を喜ばせてきた。
今年もビートブラックやメイショウドンタクのような伏兵の躍動があるのだろうか。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、ダイワスカーレット、ドウデュース。
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