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【2歳馬ジャッジ】ナミュールは名馬か? ラスト2Fを10秒8-10秒7と加速した走りは秀逸

2021 9/21 17:10山崎エリカ
2021年9月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA
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目指せ「2歳戦で大儲け」

このコラムでは「2歳戦で大儲け」を目指して、古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は中山の新馬戦でオニャンコポンが勝利、中京ではナミュールが2馬身差勝ちを飾った9月11日、12日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

9月11日(土) 中山3R 優勝馬 セイルオンセイラー 指数-12(ダート) 評価B
芝の新馬戦では後方のまま15着だったセイルオンセイラー。直線で追われるとフラフラと右へ行ったり、左に行ったりしての大敗は内容も悪かった。今回はデビュー2戦目で初ダートの一戦。チークピーシーズの効果があったようで、先団の外で流れに乗ることができた。

このレースは2歳馬たちにとっては厳しい流れだったようで、3角あたりからバテる馬が多くなり、4角からは結果2着となるセイカフォルゴーレとのマッチレース、3着以下には大差をつけてのゴールだった。

セイルオンセイラーはよほどダートが合ったのだろう、新馬戦からはまさに一変。競走馬は新馬戦で大敗していた馬ほど軌道に乗れば勢いがついて強くなることが多いだけに、今後のダート路線での活躍が期待できる。

9月11日(土) 中山5R 優勝馬 オニャンコポン 指数-4 評価AA
好ダッシュを決めると道中は逃げ馬の外2番手からスローペースの流れに乗ったオニャンコポン。4角では早々と先頭に立ち、そのまま押し切って勝利した。一見地味なレースぶりではあるが、こういった内容が実は一番強い。ラスト2Fは11秒2-11秒1。中山の開幕週で超高速馬場だったのは確かだが、自分でレースを作り、最後までしっかり加速しながらラスト1Fで11秒1を記録したことはとても高く評価できる。今後の順当な上昇が見込め、かなり期待ができる。

9月12日(日) 中山3R 優勝馬 コマノカモン 指数-12(ダート) 評価A
好ダッシュから内枠を利して1角でハナに立ったコマノカモン。そこからは折り合いながらスローペースに持ち込んだ。4角でも手応え十分、直線に入ってから追い出されると加速開始。結果2着に4馬身、3着に9馬身もの差をつけて圧勝した。ラスト2Fは12秒7-12秒3。若駒はバテる馬が続出する中山ダ1800mの舞台で、このラスト2Fの数字は光る。今回の指数は古馬1勝クラスのレベル。芝でも通用の可能性を感じさせられるレースぶりだった。今後の活躍がかなり期待できそうだ。

9月11日(土) 中京3R 優勝馬 グランディア 指数-5 評価B
7月小倉のピースオブエイトが勝利した新馬戦はラスト2Fが11秒6-11秒2のハイレベル決着。その新馬戦で2着だったのがグランディア。今回の対戦相手はここまで着順が悪い馬が多く、グランディアがどのように勝つかが注目点だった。

結果は2着馬に2馬身半差をつけて快勝。記録した指数もこの時期の未勝利クラスとしては悪くない。ただ、もっと突き放して勝利すると見ていたが、案外だったのも確か。新馬戦時よりもペースが速くなった中で、ポジションを取りに行ったのが上昇しきれなかった理由かもしれない。この馬の持ち味は、現状では瞬発力。次走、後方待機策でどの程度弾けるかで、能力が測れそうだ。

9月11日(土) 中京4R 優勝馬 ナミュール 指数-4 評価AAA
5F通過1分5秒6の超スローペースで好位から流れに乗ったナミュール。直線に入って追い出されるとフットワークの回転が上がり、スピードアップ。2馬身差の快勝だった。走破時計は1分39秒0と超平凡なタイム。しかし、ラスト2Fは10秒8-10秒7と驚きのタイムが出た。

このラスト2Fの数字を見て思い出したのはかつてのアドマイヤオーラ。同馬の新馬戦は京都芝1600m、スローペースの道中2番手からラスト2Fを11秒0-11秒0で勝利したもの。走破時計は1分37秒2とかなり平凡。また上がり3Fのタイムは2着だったグッドラックアワーに劣るものだった。

今回のナミュールも上がり3Fのタイムは2着スコールユニバンスに劣るもの。しかし、好位で流れに乗り、ラスト1Fで加速できるレースの価値が高いことはアドマイヤオーラのその後の活躍を見ればわかることだ。

また同時に思い出したのは、2018年秋の東京芝1600m新馬戦を勝利したダノンキングリー。こちらも走破時計は平凡だったが、好位からラスト2Fを11秒2-11秒0で勝利した。当時の上がり3Fタイム最速だったのは中団から差して2着のカレンブーケドール。この馬もその後大活躍することになるが、3歳の時点ではダノンキングリーの方が上だった。

これらのことは好位からレースを進めることの目に見えない価値の高さを表している。今回のナミュールは好位から最後まで加速しながら勝利した。確かに走破タイムは前記した先輩たちよりもさらに遅いもの。しかし、ラスト1Fのタイムは先輩たちを上回る。今後どのような活躍をしていくかとても楽しみな馬だ。

9月12日(日) 中京5R 優勝馬 ジャスティンパレス 指数-3 評価B
スローペースの好位、逃げ馬の外2番手で流れに乗ったジャスティンパレスが勝利した。上がり3Fのタイム34秒3は出走メンバー中、最速タイ。2番手からレースを進めて上がり3F最速タイは評価できる。ただラスト2Fは11秒3-11秒7と減速。高速馬場のスローペースで最後に減速した点は評価が下がる。よって、今回の新馬戦の内容はそこまで高い評価ができない。

強調点は今回の新馬戦はわずか5頭立でで、この頭数ならば馬が走ったことによるダメージの可能性が下がること。予想どおり今回は消耗度が少ないレースとなったので、内容は平凡だったジャスティンパレスだが、今後の伸び代には期待できそうだ。

2021年9月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA



※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ナミュールの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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