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【ユニコーンS】連軸に最適ゲンパチフォルツァ、堅調な傾向を忘れずに 当日まで覚えておきたいデータ

2021 6/13 17:00勝木淳
ユニコーンSインフォグラフィックⒸSPAIA
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キャリアを積んだ人気馬は強力

3歳ダート路線はヒヤシンスS、昇竜S、伏竜S、端午S、青竜Sとオープン特別が並び、ようやくユニコーンSでJRA重賞を迎える。地方交流競走もあり、以前ほどではないものの、ダートで活躍する3歳馬の選択肢は多くはない。

このあと南関東・大井のJDDも控え、ユニコーンSは自然とメンバーレベルが高くなる。過去の勝ち馬はノンコノユメ、ゴールドドリーム、サンライズノヴァ、ルヴァンスレーヴ、ワイドファラオ、カフェファラオと6年連続でのちにダートGⅠを勝つ馬たちが並ぶ。ユニコーンSは未来のダートチャンピオンを探すレースでもある。ここでは過去10年間のデータからその傾向について考える。


過去10年人気別成績ⒸSPAIA


同日に組まれるマーメイドSとは対照的にとにかく堅い。1番人気【3-3-0-4】を含め、3番人気以内は【10-7-4-9】。勝ち馬はこの10年3番人気以内からしか出ていない。なかでも3番人気【4-2-3-1】は勝率40%、複勝率90%と崩れない。4番人気以下は複勝圏内であれば可能性はあるが、それでも確率的に目立ったものはない。まずは上位人気馬を中心に組み立てたい。


過去10年キャリア別成績ⒸSPAIA


クラシック路線を歩む馬たちとは違い、ダート路線の馬は3歳でも頑健なタイプが多く、キャリアは消耗というより経験ととりたい。

2戦【1-0-0-4】は数自体が少なく、4戦【2-1-0-15】勝率11.1%、複勝率16.7%もいいが、勝率なら6戦【4-2-0-25】勝率12.9%、複勝率19.4%、3着以内であれば、7戦【1-2-4-16】勝率4.3%、複勝率30.4%、8戦【0-3-2-14】複勝率26.3%あたりがいい。今年の登録馬も有力どころは4~8戦に集まっており、人気の傾向と合わせ、有力馬同士の決着を想定すべきだろう。


浮上するのはゲンパチフォルツァ

では次に前走クラス別成績から各馬の好走パターンを探っていきたい。


過去10年キャリア別成績ⒸSPAIA


JRAダート路線の世代限定重賞はユニコーンSが初だが、地方交流重賞や海外重賞は行われており、重賞組はそれらが反映されている。前走GⅡ【2-1-1-8】はほぼ兵庫CSとUAEダービー。好走は兵庫CS組が多いものの、今年の上位好走馬はJDDや関東オークスを目指す模様。UAEダービー経由はピンクカメハメハがいるが、このローテでの好走は13年11番人気3着同着のケイアイレオーネ(UAEダービー10着)しかいない。

やはり注目は冒頭に並べたオープン特別からここに挑む馬だろう。リステッドも合わせると、前走オープンは【5-9-6-53】。今年のメンバ―ではやはりここに注目だ。


過去10年前走JRA同クラス組レース別成績ⒸSPAIA


勝率ならば、3月中山ダート1800mの伏竜S【1-1-0-3】勝率20%、複勝率40%がいい。16年1番人気2着ストロングバローズ、18年1番人気1着ルヴァンスレーヴ、いずれも伏竜Sは2着以内。ただ、今年の伏竜Sで連対した2頭は不在。

今年も頭数が多い青竜S組は【1-4-3-16】勝率4.2%、複勝率33.3%と、ユニコーンSと同条件のステップレースの割に勝ちきれない。今年も1~5着馬含め多数エントリー。連軸候補にはよさそうだが、単勝狙いは避けたい。データでは青竜S4着以内が好走ゾーン、もっといいのは勝ち馬で、青竜S1着馬は【1-2-2-1】勝率16.7%、複勝率83.3%。ゲンパチフォルツァは連軸候補として最適だ。


過去10年前走JRA下級クラス組レース別成績ⒸSPAIA


古馬2勝クラスからの転戦を含め、前走が下級クラスだった馬の傾向について距離を中心に考える。前走が下級条件1600m未満だった馬は【0-0-1-22】と苦戦。好走したのは18年7番人気3着エングローサー(前走1勝クラス、阪神ダート1400m1着)のみ。前走下級条件1600mだと【1-0-2-19】勝率4.5%、複勝率13.6%、また1600m超は【1-0-1-12】勝率7.1%、複勝率14.3%。前走下級条件組で評価するなら、クリーンスレイトら1600m以上を勝ちあがった馬になる。


過去10年前走距離比較別成績ⒸSPAIA


最後に全体の距離比較データを。下級条件のデータとほぼ一致で、前走が1600m未満だった馬は【1-2-2-39】勝率2.3%、複勝率11.4%と苦戦、前走1600mだと【4-4-5-46】勝率6.8%、複勝率22%、1600m超は【5-4-4-40】勝率9.4%、複勝率24.5%で、1600m以上を評価したい。端午S、昇竜Sはいずれもダート1400m。これらレースの好走馬は例年穴人気に評価されるが、イマイチ走らない。昇竜Sはそれなりに機能しているが、端午Sは【0-2-0-11】と冴えない。ルーチェドーロは危険な人気馬の予感がある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。


ユニコーンSインフォグラフィック2ⒸSPAIA



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