レッドブルの地元でフェルスタッペンがPP
F1第11戦オーストリアGPの舞台は、コーナー数がわずか10でコース全長が短く、全開率、平均速度が高いのが特徴のレッドブルリンク。決勝前日の土曜日には今季2度目のスプリントレースが行われた。
スターティンググリッドは、スプリントレースでポールトゥウィンを飾ったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジション。フロントローにシャルル・ルクレール、カルロス・サインツのフェラーリ勢が続く形となった。
ここレッドブルリンクは文字通りレッドブルの地元であり、フェルスタッペンの地元であるオランダから多くのファンが押し寄せることでも有名だ。このホームサーキットでこれまでフェルスタッペンとレッドブルは圧倒的な勝率を誇っており、2019年にはホンダ第4期F1初優勝も飾った思い出の地でもある。そのため、スプリントレースでもポールトゥウィンを達成したフェルスタッペンが優勝するのではないかと予想されていた。
スタート時点で後方に下がってしまったドライバー以外、ほとんどのドライバーがミディアムを選択。気温20度、ドライコンディションでレースがスタートした。
フェルスタッペンがポールからそのままトップで1コーナーを通過。ルクレールの後ろでは3位のサインツに4番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)が迫る。サインツはラッセルの攻めを防ぐが、その隙を突こうとしたセルジオ・ペレス(レッドブル)がラッセルと接触。ペレスがスピンし最後尾に下がり、その後リタイアとなってしまった。
ラッセルは順位を落とすことなくレースに復帰するが、この接触の原因と判断され、5秒のタイムペナルティが科されてしまう。さらにペレスとの接触でフロントウイングの左のエンドプレートにダメージを負ってしまった。
1-2フィニッシュが見えたフェラーリに悪夢が
フェルスタッペン、ルクレール、サインツのトップ3は1分10秒台で周回し、4位のラッセル以下は1分11秒台とトップ3が抜け出す形に。そんな中12周目のターン4でルクレールがフェルスタッペンのインに飛び込みトップへ浮上する。
その翌周にフェルスタッペンがピットインし、ハードタイヤに交換。一方フェラーリは27周目にルクレール、28周目にサインツがピットインし、オーダーはフェルスタッペン、ルクレール、サインツとなる。
フェルスタッペンよりタイヤが新しいルクレールが33周目に再びトップに返り咲き、さらにサインツもフェルスタッペンに迫る。厳しい展開のフェルスタッペンが36周目に再びピットに入り再度ハードに交換、3位で復帰する。
今回はレッドブルよりタイヤのデグラデーションが少ないフェラーリは、49周目にルクレール、50周目にサインツがピットに入り、2位と3位で復帰した。
前半スティント同様、タイヤで有利のルクレールが53周目に三度トップに浮上。そしてサインツもルクレールに続きフェルスタッペンの真後ろについた57周目、サインツのマシンがエンジンブローでまさかのリタイア。このアクシデントによりVSC(バーチャルセーフティーカー)となる。
3位に浮上していたルイス・ハミルトン(メルセデス)と十分なマージンがあるトップ2は、VSC中にタイヤを交換。これでルクレールとフェルスタッペンのタイヤに関しては同条件となる。
敵地でレッドブルを上回ったフェラーリ
VSC解除後逃げるルクレールだが、アクセルペダルのトラブルが発生。しかしフェルスタッペンとほぼ同じラップで周回し、見事トップでチェッカーを受けた。ルクレールにとって今季3勝目、ランキングトップのフェルスタッペンとの差は38まで縮まった。
フェラーリのレースペースに敵わなかったフェルスタッペンだが、しっかり2位を確保。3位には8番手スタートだったハミルトンが入り、3戦連続のポディウム獲得となった。オープニングラップの接触で順位を落としたラッセルも4位でフィニッシュし、メルセデスはここでも最大限のポイントを稼ぐことに成功した。
5位にはエステバン・オコン(アルピーヌ)、前回初ポイントを獲得し勢いに乗るミック・シューマッハ(ハース)が6位入賞。ケビン・マグヌッセン(ハース)も8位に入り、ハースは前戦に続きダブル入賞となった。
苦戦が予想されていたマクラーレンもランド・ノリス(マクラーレン)が7位、ダニエル・リカルド(マクラーレン)が9位とダブル入賞を果たしている。そしてピットレーンスタートだったバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が混戦の中10位入賞と見事な追い上げを見せた。
このレースで今シーズンの半分が終了した。開幕直後のフェラーリの勢いを断ち切り、これまで7勝を挙げたレッドブル。このままシーズンを席巻するのかと思われたが、ここにきてフェラーリが連勝し、タイトル争いの行方はまだまだ予測ができない状況となった。夏休み前の2戦の結果がシーズン後半の流れに大きく左右しそうだ。
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