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井上尚弥が死闘制して判定勝ち!気になる今後は?

2019 11/8 11:27SPAIA編集部
井上尚弥Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ドネアから11回にダウン奪う

ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝が11月7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、WBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26=大橋)がWBA世界バンタム級スーパー王者のノニト・ドネア(36=フィリピン)に判定勝ちし、「バンタム級最強」の称号を手にした。

試合は予想外の展開となった。2回、ロープ際に詰まった井上はドネアの強烈な左フックを浴び、右目上をカット。流血しながら打ち合うことになった。

以降は一進一退の攻防が続き、5回には井上が強烈な右でドネアをぐらつかせたかと思えば、逆に9回はドネアの右で井上がダウン寸前に陥るなど、予断を許さない展開。しかし、11回、井上の左ボディーアッパーがクリーンヒットすると、36歳の5階級王者は顔を歪めてダウン。カウント9で辛くも立ち上がったが、試合の大勢は決した。

判定は3-0でジャッジ3人とも井上の勝利を支持。バンタム級の各団体王者や世界ランカー8人が参加した最強決定トーナメント・WBSSは、パヤノ、ロドリゲスといった強豪を簡単に片付けた井上が、苦戦しながらも頂点に立った。

日本選手トップの世界戦14連勝

これで世界戦14連勝となり、元世界ライトフライ級王者で日本記録の13度防衛を誇る具志堅用高に並んで日本選手トップ、世界戦の通算勝利数でも1位の井岡一翔に次いで14勝で2位タイとなった。

井上尚弥記録ⒸSPAIA

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ただ、日本記録を更新していた世界戦の連続KO勝利は8でストップ、世界戦の通算KO勝利も12のままとなった。

次は統一戦か4階級制覇か

気になるのは今後だ。試合後に米プロモート会社・トップランクとの契約が発表されたことで、今後はさらなるビッグマッチが組まれることになる。ただ、バンタム級の強豪をなぎ倒してきた井上にとって、残された敵は少ない。

尚弥の前座で弟・拓真に勝ったWBC王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との統一戦は、本人が希望していることもあり実現すれば注目度は高い。弟の敵を兄が討つとなれば、ストーリー性は抜群だ。

WBO王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)は今回のWBSSに出場し、1回戦を突破したが、ドネアとの準決勝直前に肩を痛めて急遽欠場した。井上がパヤノをKOした70秒は日本選手の世界戦最短KOタイムだが、テテはなんと11秒という世界最短の世界戦KOタイムを持っている。バンタム級にしては長身の175センチ、リーチは183センチもあるサウスポー。井上と対戦すればKO決着は必至だろう。

2人の対立王者以外では、ルイス・ネリの名前が挙がる。WBCバンタム級王座を12度防衛していた山中慎介に2連勝したものの、ドーピング違反や体重超過を犯し、悪評高いボクサーだ。

その後、資格停止処分が解けるとリングに復帰し、2019年7月には井上とも戦ったパヤノに9回KO勝ち。30勝全勝(24KO)とし、いまだ無敗レコードを守っている。日本国内では「井上に山中の無念を晴らしてほしい」という声があるのも事実だ。

もちろん、スーパーバンタム級に上げて4階級制覇を狙う可能性もある。WBCスーパーバンタム級王者レイ・バルガスは亀田和毅に判定勝ちして5度目の防衛を果たすなど、34戦全勝(22KO)の強打者。WBAとIBFは統一王者ダニエル・ローマン(アメリカ)、WBOはエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)が王座に君臨している。

いずれにせよ強敵揃いで、その後はフェザー級に上げて5階級制覇も視野に入る。今後はどんなドラマを見せてくれるのか。日本が誇るスーパースターは、誰も予想できない次元に入った。

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