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井上尚弥の相手候補ジェイソン・モロニーって誰だ?井上の不安材料は?

ジェイソン・モロニーⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

元世界王者・河野公平に引導渡した強打者

プロボクシングのWBA・IBF世界バンタム級王者、井上尚弥(27=大橋)の次期防衛戦が、10月31日に米ラスベガスでジェイソン・モロニー(29=オーストラリア)を迎えて行われる見通しであると米スポーツ専門局ESPN(電子版)が報じた。実現すれば、井上は昨年11月7日にWBSS(ワールド・スーパー・ボクシング・シリーズ)決勝でノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちして以来、約1年ぶりの試合となる。

井上の次なる刺客候補・モロニ―とは一体どんなボクサーなのだろうか。日本での知名度は低いが、実は井上と浅からぬ縁がある。井上がWBOスーパーフライ級王者時代、4度目の防衛戦で6回TKO勝ちした元WBAスーパーフライ級王者・河野公平と戦い、6回終了TKO勝ちしているのだ。

2018年5月、メルボルンに河野を呼び、連打で元王者を圧倒。出血によるドクターストップでTKO勝利を収め、17連勝(14KO)と無敗レコードを伸ばした。河野はこの試合を最後に引退している。

WBSS初戦で僅差の判定負けも再起後4連勝中

また、井上が優勝したWBSSバンタム級トーナメントにモロニーも出場していた。2018年10月の1回戦、IBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦し、僅差の1-2判定負け。勝ったロドリゲスと準決勝で対戦した井上は、2回TKO勝ちしている。

つまり、ロドリゲス対モロニー戦のジャッジがもう一人でもモロニーを支持していれば勝敗は覆り、WBSS準決勝で井上とモロニーが対戦していたということになる。

モロニーはロドリゲス戦でプロ初黒星を喫した後も再起して4連勝。直近では2020年6月にレオナルド・パエス(メキシコ)と米ラスベガスで無観客試合を行い、7回TKO勝ちしている。約1年ぶりの試合でブランクが気になる井上に対し、順調に試合を消化できている点は有利に働くだろう。

アマチュア経験豊富で、プロ転向後も21勝(18KO)1敗とKO率は高い。井上がタイトルを保有するWBAで3位、IBFで4位にランクされており、WBCでも4位、WBOでは1位と各団体でランキング上位に名を連ねている。

井上尚弥の不安材料は1年間のブランク

双子の弟、アンドリュー・モロニーは元WBAスーパーフライ級王者。弟に続いてベルトを狙うジェイソンは、一発の強打ではなく、パンチをまとめて倒すタイプだ。フットワークも滑らかで、井上にとって簡単な相手ではない。

ただ、身長は井上と同じ165センチで、ガードが高い分、井上得意のボディブローは当たりそう。正統派ではあるが、百戦錬磨のドネアのような嫌らしさはないだろう。井上がベストコンディションでリングに上がれば負ける相手ではない。

不安材料があるとすれば、先述した通りブランクをつくったことだ。当初は4月25日にWBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)と3団体統一戦を行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。再交渉したものの折り合わず、カシメロは別の相手との対戦を決めた。

井上もいつの間にか27歳。まだ衰える年齢ではないとはいえ、将来的にフェザー級までの5階級制覇を狙う上で、1年間のブランクは歓迎できることではないだろう。19戦全勝(16KO)の王者にとって、ボクシングの本場ラスベガスで迎えるプロ20戦目は、今後を占う意味でも重要な一戦だ。

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