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日本、若手主体でジョーンズカップ9年ぶりメダル バスケ男子代表のサイズアップにも収穫

2019 7/24 15:00SPAIA編集部
イメージ画像ⒸEFKS/Shutterstock.com
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若手主体のチームで9年ぶりメダル獲得

7月12日から21日まで、男子日本代表が台湾で行われたウィリアム・ジョーンズカップに出場。この大会は、毎年出場国が若干変わるもののアジアの強豪国が出場する。今年は6勝2敗で3位と2010年以来の4強入りとなった。

このジョーンズカップ、日本代表は毎年出場しているが、なかなか結果を残すことができなかった大会。 しかも今大会の日本代表はいわゆる“A代表”ではなく、若手中心の“B代表”ともいえるメンバー。A代表経験者は#88張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)のみで、平均年齢は23.3歳だった。

9年ぶりのメダル獲得を果たした日本の原動力は何だったのだろうか。

フィジカルの課題を克服し、リバウンドで優位に立つ試合も

まず挙げられるのはディフェンスだ。今大会の日本代表の平均失点は70.63。ハイスコアゲームで優勝したフィリピンが73.13、続く2位の韓国が71.38と上位2か国よりも良い数字だった。

国際大会ではリバウンドで大きく水を開けられることが多いが、今大会はフィリピン戦(30−49)を除き、そこまでの大差はなかった。今回帰化枠で出場した#28ニカ・ウィリアムス(秋田ノーザンハピネッツ)、#32シェーファーアヴィ幸樹(アルバルク東京)ら、ビッグマンが身体を張った結果が数字に表れた。

リバウンドから流れをつかむことも多く、日本代表のバスケットの共通理解になりつつあるファストブレイクやセカンドチャンスをモノにし、得点でも75.75と過去数年に比べれば大きくステップアップ。まさに“リバウンドを制するものは試合を制す”を体現したのである。

今大会は#1コー・フリッピン(千葉ジェッツ)、シェーファーなど5名のハーフ選手が加わり、フィジカルの部分で優位に立てたことが大きい。普段からアメリカやBリーグでプレーする彼らにとって、アジアのフィジカルレベルはそこまで圧倒的なものではなく、時にはインサイドで押し勝つシーンも。チームのサイズアップを図る日本代表にとって、彼らの活躍は大きな収穫となった。

W安藤が攻撃を牽引 代表争いはさらに熾烈に?

リバウンド以外でも、A東京を2年連続王者に導いた#3安藤誓哉が司令塔としてリーダーシップを発揮した。成績としては10.6得点、3.8リバウンド、2.9アシストを記録。比較対象にするのは難しいが、昨季のシーズン平均は9.7得点、2.1リバウンド、3.2アシストと短期間ながら昨季よりも数字も良かった。こちらも日本代表のスタイルの一つになっているペイントアタックを積極的に行い、ガードとしての役割を果たした。

また得点源としてチームを引っ張ったのは#13安藤周人(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)。チーム最多11.9得点、3.1アシストを挙げ、3P成功数も大会2位を記録した。昨季は前年から平均得点を6.6アップさせ、14.6得点を記録した安藤だが、これまでは3Pシュートの印象が強かった選手。実際、今大会も23本も成功させ、得点の約7割が3Pシュートでの得点だった。

外角シュートが活きるのは、しっかりと内角からもリングを狙っているからこそ。成功、失敗に関わらずドライブを積極的に仕掛け、内外角から相手ディフェンスに圧力をかけた。

また安藤周人同様にシューターとして開眼したのが#21橋本晃佑(宇都宮ブレックス)。今大会15本の3Pシュートを成功させ、得点源の一人として活躍した。

大学時代より日本代表候補に選出されながら、ケガでそのチャンスをつかめなかった橋本。所属する宇都宮では昨季から3番起用が多くなり、昨季チャレンジを続けたことが今大会に実った形だ。平均20分の出場でチーム3位の9.4得点は、キャリア平均1.9得点を考えれば大きな成長と言って良いだろう。

ポジションアップを経験した選手たち 今後の代表チームに加われるか?

橋本に代表されるように、今大会の日本代表は“ポジションコンバート”を狙いの一つに選手を招集。今大会の平均身長は199.7cmとこれまでの代表で最も高いチームになった。

その中で#25平岩玄(東海大)、シェーファーなどのビッグマンは本来よりも一つ上のポジションを経験し、190cmの#29中村太地(法政大)もほぼ1番に固定。若い選手は慣れないポジションに試行錯誤しながらも何かきっかけをつかんだ大会になったはずだ。

A代表のフリオ・ラマスヘッドコーチは、8月末から行われるワールドカップに向けた強化合宿に今大会で活躍した選手5名を招集することを明言している。

9年ぶりの快挙を達成したメンバーがどこまでA代表に食い込めるか注目だ。