1投目にシーズンベストのビッグスローで悲願の金
パリオリンピックの陸上競技は11日、女子やり投げの決勝が行われ、日本記録保持者の北口榛花が1投目でシーズンベストとなる65メートル80を投げ、日本女子トラック・フィールド種目としては初となる金メダルを獲得した。上田百寧もシーズンベストの61メートル64で10位に入った。
7日に行われた予選で1投目に62メートル58をマークして”一投”突破を果たした北口が、決勝でも1投目のビッグスローで頂点に立った。
「いつもは6投目までちょっとのんびりしてるんですけど」と自らをスロースターターと表現する北口だったが、この日は違った。「今日はすごい選手ばかりなので、プレッシャーかけられるように1投目から絶対行きたい」と気合十分で臨んだ五輪決勝の舞台で、いきなり1投目から65メートル80のシーズンベストをマーク。トップに立ち、ライバルたちに早くもプレッシャーをかける思い通りの展開に持ち込んだ。
5投目にもこの日2位の記録となる64メートル73をマークして、さらなる記録更新に期待がかかる中、最終6投目前に北口の1投目の記録を上回る選手が現れず、金メダルが確定。最後の1投はファウルに終わったが、「うれしいだけじゃ足りないくらい、言葉にできないくらいの気持ち」と喜びを爆発させ、金メダリストだけが鳴らすことのできる「勝者の鐘」を高らかに鳴らした。
オリンピックイヤーの今季序盤は不調が続き、「不安な部分がたくさんあったままパリに来た。本当に誰かが信じてくれなかったら、ここに立てなかった。シーズンの初めは誰が味方かわからなかったんですけど、でもずっと味方してくれる人がいて、すごくありがたいです」と涙ながらに支えてくれた仲間たちに感謝の言葉を並べた。