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フィギュアスケート宇野昌磨、完成度の高さで羽生結弦らに並ぶ全日本選手権6度目V

2023 12/28 06:00田村崇仁
宇野昌磨,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

演技構成点トップ、2連覇で男子歴代2位タイ

フィギュアスケート男子で冬季五輪2大会連続メダルの26歳、宇野昌磨(トヨタ自動車)が12月23日、年末恒例の全日本選手権(長野市ビッグハット)で2連覇を達成し、本田武史と羽生結弦に並ぶ男子歴代2位の通算6度目なる頂点に立った。

最多優勝は佐藤信夫の10度。14歳で初出場し、今でも最も緊張感が高まるというハイレベルの全日本選手権で単独2位の記録も見えてきた。

次世代のホープも躍進する中、宇野はショートプログラム(SP)で4回転フリップを含む3つのジャンプを全て成功させて堂々のトップに立つと、最終滑走だったフリーは193.35点で2位ながら手堅くまとめる完成度の高さを見せて合計298.04点で逃げ切った。

冒頭から4回転ループの着氷が乱れるなど技術点は98.81点で5位ながら、磨き掛けてきた「表現力」でカバーし、演技構成点は94.54点のトップだった。

3連覇が懸かる2024年3月の世界選手権(モントリオール)代表にも決定。2022年北京冬季五輪銀メダルで20歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)がフリー1位の合計292.10点で自己最高の2位に入り、23歳の山本草太(中京大)が初の表彰台となる3位に入った。

初優勝は19歳の2016年大会、4連覇も

宇野が初めて全日本選手権で頂点に立ったのは2016年大会。4連覇していた羽生結弦はインフルエンザで大会を欠場し、19歳でSP2位から逆転して初優勝した。

平昌冬季五輪代表の最終選考会を兼ねた2017年の全日本選手権はSPに続いてフリーも1位となり、2連覇で初の五輪切符をつかんだ。

2018年の全日本はSPに続いてフリーも1位となり、右足首の故障を抱えながらも合計289.10点で3連覇を達成。羽生結弦は右足首故障のため3年連続で欠場し、現役に復帰した高橋大輔が2位に入った。

2019年大会はSP2位からフリー1位で逆転して合計290.57点で4連覇。この大会に4年ぶりに出場し、5度目の優勝を狙った羽生は2位だった。前回2022年大会はSPに続いてフリーも1位となり、合計291.73点で3年ぶり5度目の優勝を果たした。

世界選手権3連覇へ「4回転の神」マリニンとの勝負

全日本優勝の余韻に浸る間もなく、宇野は日本勢初となる世界選手権3連覇への挑戦が待っている。伝家の宝刀、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を持つイリア・マリニン(米国)は「4回転の神」と呼ばれ、今季のグランプリ・ファイナルを制した異次元の強さを兼ね備える。最強のライバルとなる19歳の新王者に、どう立ち向かうのか。

宇野は全日本選手権後、中継局のインタビューに「今シーズン、優勝はこの大会が初めて。内容もうれしいけど、結果もうれしい。すごい大会になった」とコメント。その上で6度目の優勝に「年取ったなと思います。年齢とともに自覚も芽生え、皆さんを引っ張っていける存在に少しでもなりたい」とも語った。

約3カ月後の世界の頂上決戦へステファン・ランビエル・コーチとともに、表現力だけでなく4回転ジャンプの精度を上げていく必要も当然ある。王者として迎える重圧もかかるだろう。それでも挑戦者として歩みは止めない。「世界のトップの人たちと戦う。しっかり休養して最高の調整をした上で、最高のものを目指したい」と闘志を新たにしている。

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