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日本勢が躍進した全豪オープンが閉幕 日本人の東京オリンピック出場権争いも混戦模様に

2020 2/5 17:00中村光佑
テニス全豪オープンでの西岡良仁選手Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

世代交代には至らず

先月20日から開催された全豪オープンはジョコビッチ(セルビア)の2連覇で幕を閉じた。対戦相手のティーム(オーストリア)はグランドスラム3回目の決勝進出を果たし、途中ジョコビッチをリードしたものの、フルセットの激闘の末逆転負けを喫し、惜しくも3度目の正直とはならなかった。

ジョコビッチが王者の貫禄を見せ、今大会の優勝により全豪8回目、グランドスラム全体では17個目のタイトル獲得となった。一方で今回の全豪の決勝にも若手選手が残ったことから、世代交代の波は間近まで押し寄せていることがわかる。次なるグランドスラムは全仏オープンだが、BIG3の一角であるナダルの連覇を止める者が出現するのか注目が集まりそうだ。

日本勢では西岡が25年ぶりの快挙

今回の全豪オープンを語る上で、日本勢の活躍を忘れてはならない。日本勢男子では西岡良仁・伊藤竜馬・杉田祐一・内山靖崇の4人、女子では大坂なおみ・日比野菜緒・土居美咲の3人が本選へ進出。伊藤と土居は惜しくも2回戦進出とはならなかったものの、7人中5人の日本人選手が2回戦へ駒を進める健闘を見せた。

中でも西岡は1回戦を突破すると、2回戦エバンズ(イギリス)相手にストレート勝ちを収め、見事3回戦に進出した。日本テニス界において、グランドスラム3回戦への進出は錦織を除けば、松岡修造が果たした95年のウィンブルドン以来となる25年ぶりの快挙であった。西岡は年初の国別対抗戦・ATPカップでも格上を次々と撃破し、世界1位のナダルに対しても堂々とした戦いぶりを見せていた。西岡の勢いはとどまることを知らず、錦織欠場の穴を埋めるかのような活躍ぶりであった。

ベスト16をかけた3回戦では昨年の全豪を制したジョコビッチと対戦し、セットカウント0-3で完敗。ジョコビッチのサーブを攻略できずに終わってしまったが、小さな身体で駆け回ったメインコートでの経験は今後の躍進に向けて大きな一歩となった。

オリンピック出場は誰の手に

2020年といえば東京五輪が開かれる年でもあるが、五輪出場権争いも次第にわからなくなってきているのが現状だ。世界ランキング56位以内及びデビスカップ出場規定回数を満たした者に与えられる東京オリンピック出場権を踏まえて、3日に発表された日本人選手のランキングを見ていきたいと思う。

表・日本人選手のランキングⒸSPAIA

このうち、西岡・杉田・ダニエル・内山はデビスカップの規定回数をクリアしており、錦織・添田・伊藤はクリアしていない。ただし錦織は、現時点では例外の適用申請を希望しているようで、これまでの実績を踏まえたITFからの推薦による出場を狙っている。つまり、デビスカップの回数を満たした西岡をはじめとする4人で出場権を争うことになるが、このランキングを見る限りは西岡が有力といえるかもしれない。しかし、この出場権争いは全仏オープン終了後の6月8日付のランキングまで続くため、まだまだ予想は立てられない状況だ。仲間でもあり、ライバルでもある日本人選手同士の争いはファンにとっては複雑なものになるかもしれないが、自国開催の五輪だけに今後も意地と意地がぶつかりあう様子が見られるだろう。