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錦織圭は出られるの?東京オリンピック出場条件とは?

2019 11/2 11:00中村光佑
五輪出場を目指す錦織圭Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

錦織が今季終了を決断

錦織圭は10月22日、状態の悪さが続いていた右肘の手術を行い、同時に今季終了を発表した。また、11月18日に開幕するデビスカップへの欠場が決まり、五輪出場の条件である「過去4年間でのデビスカップ3回以上の出場」を満たせなくなってしまった。

錦織は5~6月の全仏から痛みを訴え、全米オープンの3回戦敗退後から大会に出場していなかった。錦織は手術終了後、満面の笑みを浮かべた写真を自身の公式アプリにアップし、リハビリも開始した模様で、元気そうな様子を見せていた。東京五輪よりも今は右肘を完治させることが先決で、経過によっては年初のATPカップと全豪オープンの出場を見送ることも考えられる。

東京五輪テニスシングルス出場の条件とは

ところで、テニス競技のシングルスにおける東京五輪の出場条件をご存知だろうか。ここでは簡単にどのような条件を満たした選手が出場できるのかを解説していきたい。テニスの五輪出場資格を手に入れられるのは対象大会開幕時点で14歳を迎えている男子と15歳を迎えている女子となる。

五輪のテニスシングルス出場枠は男女64人。まず、世界ランキング56位以内に位置する選手の中から、1ヵ国最大4名までに出場資格が与えられる。しかし、この枠に入るためにはクリアしなければならない条件がある。それは前回開かれた五輪の後からの4年間で、デビスカップ(男子)、またはフェドカップ(女子)に3回以上出場することだ。例外として、通算20回以上の出場もしくは、所属国がカップのゾーングループに3年以上所属していれば2回出場でも条件クリアが認められる。

錦織はランキング56位以内だが、2016年以降のデビスカップ出場は1回しかなく、例外条件に該当しないため、肘のケガによる今回の欠場がなかったとしても規定回数はクリアできなかった。

56位以内に入れずとも、まだいくつかの出場枠がある。その一つの大陸枠は、その大陸で開かれる国際大会での実績を考慮した出場枠である。アジア大会の優勝者、パンアメリカ大会優勝・準優勝者、アフリカ大会の優勝者には出場資格が与えられ、デビスカップの規定回数を満たす必要はない。ヨーロッパ・オセアニアには大陸予選がなく、これらの地区ではシングルス世界ランキング最上位で代表経験がない選手が国際テニス連盟の推薦で選ばれる。

3つ目は実績に基づく推薦だ。その名の通りテニス界で優秀な成績を残している選手に与えられる資格である。ここでは五輪金メダリストやグランドスラム優勝者、またはダイレクトインしていない世界ランキング300位以内の選手らが候補に挙がる。

過去にはデルポトロが実績者枠でリオ五輪出場を申請し、銀メダルを獲得した。フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレーのBIG4に加え、ワウリンカやチリッチら実力者が選ばれる可能性が高い。錦織はランキング300位以内の条件はクリアしているが、おそらくこの枠はグランドスラム優勝者もしくは五輪金メダリストが優先されるだろう。

残る五輪出場のチャンスは開催国枠で、これは開催国の選手の中で、大陸での大会に出場していない選手か、ダイレクトインの選手が他にいない場合に1人だけ選ばれるシステム。今回は日本で開かれるため、開催国枠から出場するパターンもあるかもしれない。

例外規定で出場を申請する予定

錦織には東京五輪出場の希望が絶たれたように聞こえるかもしれないが、実は国際テニス連盟の五輪出場規定に、錦織にとって大きな助け舟となる例外規定が追加された。そこには「オリンピックやデビスカップでの貢献」及び「ケガ・病気」が含まれる。錦織は2016年のリオ五輪で日本勢男子96年ぶりとなる銅メダルを獲得したため、オリンピックでの貢献度は十分だと考えられる。

また、今回はケガでデビスカップを欠場となったため、例外規定に当てはまっている。もちろん世界ランキング56位以内に位置している必要があり、ランキングは落とせないが、この例外規定は、多くの日本のテニスファンが錦織を東京五輪で応援するための大きなカギとなる。 ファンがまず望んでいるのは錦織圭のいち早い復帰。来年のATPカップや全豪でプレーをする姿を見られるのか、注目が集まる。

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