「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

38歳フェデラーはデータ上衰え知らず 東京五輪で初の金メダル狙う 

2019 10/22 17:00中村光佑
ロジャーフェデラーⒸゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

フェデラーが東京オリンピックへの出場を明言

10月14日、東京の有明コロシアムで、ユニクロ主催のチャリティーマッチが開催された。ユニクロとスポンサー契約を結んだテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラーが出場したこともあり、会場には多くのファンが集まった。また、そこには現在、肘のケガで戦列を離れている錦織圭、錦織の代わりにエキシビジョンマッチをプレーしたジョンイズナーなど、豪華な顔ぶれが並んだ。

フェデラーはイズナーとのエキシビジョンマッチに2-0で勝利し、オンコートインタビューでは「来年のオリンピックに必ず戻ってくる」と語った。未だオリンピックのシングルスのタイトルがないことが関係しての発言かと思われるが、40歳手前であることを考えれば驚きである。チャリティーマッチを沸かせたフェデラーが東京の地でどんなプレーを見せるのか、来年に向けて期待は高まるばかりだ。

テニス界を代表するレジェンド

フェデラーはテニス界に君臨するレジェンド。まずは簡単に経歴を紹介しよう。

フェデラーのプロフィールⒸSPAIA

ⒸSPAIA

2009年の全仏優勝で生涯グランドスラムを達成するなど、これまで獲得したタイトルの合計数は102。男子テニス界では歴代2番目の成績を残している。そのうち4大大会の優勝は20回で、これは男子テニス界最多記録である。合計タイトル数のうち、およそ2割を四大大会が占めているというのは驚異的だ。

全米オープンでは2004年から2008年まで5連覇を果たし、全豪オープンでも6回の優勝を果たすなど、基本的にどんなサーフェスでも結果を残す選手として知られているが、最も得意なのはウィンブルドン。2003年から2007年まで5連覇を達成し、2017年の優勝で最多の8回となった。

今なお進化し続けるフェデラー

未だ衰えを知らないフェデラーだが、全盛期と現在では違いがあるのだろうか。年間成績92勝5敗という驚異の成績を残し、全仏以外のグランドスラムを全て制した2006年と2019年のスタッツを比べてみた。

フェデラーのスタッツⒸSPAIA

ⒸSPAIA

まだ2019年シーズンが終わっていないし、試合数も当時とは違うためあくまで参考記録となるが、フェデラーは主にサービスゲームで主導権を握っているのが見て取れる。

そして驚くべきは1stサーブの確率、ポイント獲得率、サービスゲームの勝率が2006年に比べるとわずかながら上がっているのだ。トスの位置が変わらず、正確なプレースメントで予測のしづらいサーブを軸とするスタイルは変わらないため、相手に簡単にブレークチャンスを与えない。

また、錦織圭が以前フェデラーについて「昔のようにラリーを続けない」と語っていたが、1stサーブが入った場合はサーブアンドボレーを仕掛け、ラリーになったとしても早めに相手を動かす、またはライジングショットで考える時間を与えないシーンは確かに目立つ。そして、先日の上海オープンではサーフェスの速さを生かし、サーブアンドボレーをはじめとしたネットプレーも多用していた。

一方で、リターンゲームでの勝率は少々落ちており、それはブレークポイントを握った回数とも比例しているのかもしれない。それでも全体のブレークポイントの取得率は2006年と比べてもそこまで変わっていない。おそらくこれは多くの試合で見せているように、相手のサーブをベースラインの内側に入って返球し、なるべく早く返して相手を崩そうとする姿勢も裏付けているだろう。このままサービスゲームの勝率を保ち続け、リターンゲームの勝率が上がれば、衰えるどころかさらに進化するかも知れない。

現在、世界ランク3位に位置しているが、確実に年齢を重ねており、一方で若手が力を付けてきているのも事実だ。しかし、衰えを見せないフェデラーなら東京五輪のシングルスで「金メダル」という最後のタイトルをつかんでも驚けないだろう。