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コリ・ガウフ ウィンブルドンを沸かせた15歳はトップ選手にも引けを取らない?

2019 8/3 11:00中村光佑
女子テニス界の15歳の新星コリ・ガウフⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ウィンブルドンに突如現れた15歳の少女

突然だが、2004年生まれの女子テニスの新星、コリ・ガウフ(米国)というプレーヤーをご存知だろうか。フロリダでテニスを学んだアフリカ系アメリカ人の少女は18年、14歳で早くもプロに転向。

転向後は特に目立った実績はなく、世界ランキングも313位だった。だが、19年ウィンブルドン予選を全てストレートで勝ち上がり、なんと15歳でオープン化の68年以降最年少での予選突破、本選出場を果たした。

7月1日の1回戦でウィンブルドンの本選デビューを果たしたが、それだけでは終わらない。ガウフは同じアフリカ系アメリカ人として「憧れ」と語ったビーナス・ウィリアムズを破る番狂わせを演じた。ビーナスはウィンブルドンで過去5回の優勝を誇る強敵だが、結果はセットカウント2-0のストレート勝ち。勝利の瞬間ガウフは顔を覆い、涙を流した。15歳の少女の1回戦突破はテニスファンに衝撃を与えた。

その後もガウフの快進撃は止まらない。2回戦では世界139位のマグダレナ・リバリコヴァ(スロバキア)と対戦し、ここでもセットカウント2-0のストレートで勝利を収める。15歳らしいハツラツとしたプレーがファンの目を惹きつけ、見る者を虜にしていく。

そして3回戦ではベスト16をかけ、ポロナ・ヘルツォグ(スロベニア)と対戦。第1セットを奪われ、第2セットも2-5とリードを許し、マッチポイントを2本握られた。しかし、ヘルツォグのダブルフォルトなどでこのピンチをしのぐとそこから追い上げを見せ、タイブレークを制す。第3セットもブレークで先行し、勢いそのままに大逆転で勝利。続く4回戦では元世界1位のハレプに敗れたが、15歳の新星のベスト16進出に賞賛の拍手は鳴りやまなかった。

光るブレーク成功率

ガウフの凄さは一体どこにあるのだろうか。今回は憧れと称するビーナス、そして現在世界トップ3に位置するプレーヤーをWTAが発表しているスタッツで比べてみたいと思う。

女子テニストップ選手とガウフのスタッツⒸSPAIA

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全体的なスタッツを見てみると、ガウフはブレーク成功率60.6%で突出した数字を残している。また、1stサーブ成功率も高く、2ndサーブのポイント獲得率は僅差ではあるが、大坂とプリスコバをもしのぐ。

課題は1stサーブが入っているにも関わらず、ポイント獲得率が低いこと。これは、ウィンブルドン3回戦での苦戦の要因にもなった。ただ、ここまでのデータだけでも十分トップ選手に引けをとらない記録を残していると言えるだろう。

もっとも、まだ強敵と対戦した経験が少なく、現時点の数字を鵜呑みにすることはできない。今後はトップ選手にまじっても、いい数字をキープし続けられるかが課題となる。

ハードコートシーズンでの躍進が期待される

一躍脚光を浴びたガウフは、ハードコートシーズンに入ってからも好調を維持している。全米オープンの前哨戦の一つであるシティ・オープンで予選を勝ち上がり、見事本選出場権を勝ち取った(本戦では1回戦負け)。

最新の世界ランキングでは146位(7月29日時点)とトップにはまだ遠いが、それでもウィンブルドンから約170位も順位を上げてきた。ランキングと組み合わせの関係上、全米ではガウフが早い段階でトップクラスの選手と戦う可能性が高く、そこで番狂わせを起こせるか。

ウィンブルドンで見せたメンタルの強さを考えれば、各大会でも上位進出をコンスタントに果たす選手になるかもしれない。これからもガウフの活躍に目が離せないことは確かだ。