2横綱は順調、一方3大関は…
大相撲秋場所(9月8日~22日/東京・両国国技館)が間近に迫っている。先の名古屋場所は貴景勝(初日~/場所後に大関陥落)、栃ノ心(6日目~)、豪栄道(8日目~)、高安(11日目~)と4大関全員が休場に追い込まれたこともあり、優勝争いは白鵬、鶴竜の2横綱の一騎打ちという状況に。結局、千秋楽での直接対決を制した鶴竜が、14勝1敗で6回目の優勝を手にする結果となった。
迎える今場所も、優勝争いの中心となりそうなのはこの2横綱。“ディフェンディングチャンピオン”の鶴竜は、母国モンゴルで英気を養った甲斐もあってか、先場所後からここまで順調な調整ぶり。度々悩まされてきた腰痛も、全く問題ない状態になっているという。
賜杯を譲った白鵬も徐々にコンディションを上げてきており、3月の春場所で負った右腕の負傷についてもかなり回復しているとのこと。この調子のまま場所を迎えられれば、全勝優勝を果たした昨年に迫るような強さが見られるかもしれない。
2横綱がここまで順調にきている一方、貴景勝を含む先場所の4大関はいずれも少なくない不安を抱えている。先場所8勝で辛くもカド番を免れた高安は、左ひじの怪我の影響により夏巡業を全休。右肩の怪我で同じく巡業を全休した豪栄道は、ここ数日になってようやく相撲を取る稽古を再開したという状況となっている。
また、右ひざ、左肩に故障を抱える栃ノ心も精彩を欠く稽古が続いていることが伝えられており、貴景勝に至っては21日に行われた健康診断を4名の中で唯一欠席してもいる。こうした状態にカド番脱出(豪栄道、栃ノ心)、大関復帰(貴景勝)といった目標への重圧も加わることを考えると、以上の4名に2横綱に対抗する役割を期待するのは少々酷。いずれの力士も優勝ではなく、2ケタ勝利が現実的な目標と言えそうだ。
なお、豪栄道、栃ノ心がカド番脱出に、貴景勝が大関復帰に失敗した場合は大関が高安1人だけとなり、次の九州場所では「横綱大関」(横綱が大関を兼任する制度)が適用されることになる。実現すれば約37年ぶりの緊急事態となるだけに、展開によっては優勝争いよりも注目を集めることになるかもしれない。