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ユーロ2020“死の組”はどのようにして生まれたか 優勝候補が早々に敗退する可能性も

2019 12/5 17:00Takuya Nagata
ユーロ2020組み合わせ抽選会に登場した優勝杯Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

緊迫の大会ドロー、ドイツ、フランス、ポルトガルが同じ「グループF」に

欧州サッカー連盟(UEFA)は11月30日、ルーマニア・ブカレストで欧州選手権(ユーロ)2020の組み合わせ抽選会を実施した。そこで大きな注目を集めたのがグループFだ。ドイツ(13大会連続13回目)、フランス(8大会連続10回目)、ポルトガル(7大会連続8回目)と欧州サッカーの重量級とも言える3カ国が対戦することになった。

ポルトガルはユーロ2016を制覇したディフェンディング・チャンピオンだ。そして決勝で対戦したのがフランスだった。フランスは2018年ワールドカップに優勝した世界王者という肩書を持つ。ドイツは、ユーロ2016で準決勝に進出もフランスに破れた。つまり、前回大会ベスト4のうち3チームがこのF組にひしめいていることになる。またドイツは過去にユーロを3度、ワールドカップを4度、制覇し国際大会の猛者として知られる。

ユーロ予選で苦戦の前回王者ポルトガルが「ポット3」に

この“死の組”は、どのようにして形成されたのだろうか。ポット1~4は、予選上位から順に割り振られていき各ポットには6カ国が入る。どの国も内心、ポット2最上位のフランスとは当たりたくないと思っていただろうが、実はこの時、前回大会王者ポルトガルがなんとポット3に回っていた。

ポルトガルは、欧州選手権予選グループBで、シェフチェンコ監督率いるウクライナに首位を譲り、勝ち点17で2位通過。同グループは強豪セルビアが勝ち点14で3位になっており、その勝ち点差は僅かに3。ポルトガルは、一つ間違えば、プレーオフに回る危険もあった。もしかするとネーションズリーグ1位で獲得したプレーオフ出場権というセーフティーネットが、油断を生んだのかもしれない。

何とかグループ2位に入り本戦出場を決めたポルトガルだが、11月20日にグループCオランダがエストニアに5-0で勝利したため、予選結果から導き出される「ヨーロピアン・クオリファイアーズ・オーバーオール・ランキング」で13位に転落。これが、ポット3に回り、死の組を招いた遠因だ。

独仏葡が揃って突破の可能性もあるが、潰しあいも

ユーロ2020本大会出場24カ国のうち、20カ国が予選で決定し、残る4カ国は、プレーオフにより確定することになる。グループA~Fにそれぞれ4チームが割り振られ、グループ上位2位までは、自動的に決勝トーナメントに進出。各グループ3位の6カ国の中から勝ち点、得失点差、総得点、勝利数、フェアプレーコンダクト、「ヨーロピアン・クオリファイアーズ・オーバーオール・ランキング」でランク付けがなされ、4チームがノックアウトステージに進出し16強が出揃う。

“死の組”グループFのドイツ、フランス、ポルトガルが皆、グループを突破する可能性もある。しかし、お互いに潰しあい、引き分けがかさむと、重要な勝ち点が伸びずに、敗退する恐れもある。

2018年W杯グループ最下位で敗退したドイツ。ヨアヒム・レーヴ監督は、大幅な若返りを図り、しっかりと予選を突破してきた。ユーロ2020は、新生ドイツをお披露目する国際舞台となる。

またポルトガル対フランスでは、欧州の新旧エースストライカー、クリスチアーノ・ロナウドとキリアン・ンバベが対峙する。

死の組の各チームが、突破をかけて本番でどんな戦略を持ち、どのような布陣を敷いて戦いを仕掛けてくるのか、非常に見ものだ。