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カズ最年長記録に強敵現る?イブラヒモビッチが50歳現役宣言

2019 12/11 06:00Takuya Nagata
イブラヒモビッチⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

カズの横浜FCがJ1昇格、イブラヒモビッチはLAギャラクシー退団で争奪戦

横浜FCが13年ぶりにJ1に昇格することが決まり、カズことFW三浦知良に注目が集まっている。現在、52歳で世界最年長のサッカー選手であり、これまでもJ2で記録を更新し続けてきた。2020年に53歳でJ1出場・得点することになれば、日本、そして世界の記録を大きく更新することになる。

しかしそのカズに、意外なライバルが現れた。スウェーデン代表歴のあるFWズラタン・イブラヒモビッチだ。米国メジャーリーグサッカー(MLS)のLAギャラクシーに2季所属の後、退団が決定し去就が注目される中、発したコメントは驚くべきものだった。

「自分にとって刺激的なプロジェクトであれば、50歳になってもプレーを続けるよ」

カズも以前に似たような発言をしている。イブラヒモビッチも、生涯現役の理想を抱いているのかもしれない。

渡米後引退の通常パターンが当てはまらない怪物ぶり

ユベントス、インテル・ミラノ、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・ユナイテッド等、名だたるクラブを渡り歩き、欧州の第一線で長年プレー。アメリカに渡り現在、38歳のイブラヒモビッチ。一般的に、名選手が、現役引退の少し前に米国、中国、中東といったリーグに移籍するパターンが多く見られる。

しかし、イブラヒモビッチに限っては、ここからまだ12年は現役を続けようというのだ。

米MLS最高額の年俸720万米ドル(約8億円)のイブラヒモビッチは、LAギャラクシーで56試合出場・52得点と驚異的な数字を残している。試合に出たら、ほぼ1点は決めるという計算だ。LA退団の一報を聞きつけ、欧州を中心に、争奪戦が起こるのも不思議ではない。

「高さ、技術、ポジション、体ケア」 加齢に強い条件揃っている

38歳は、サッカー選手としては、かなりのベテランだが、イブラヒモビッチの身のこなしを見る限り、身体的な衰えを感じさせない。ワイルドな風貌をしているが、医師のアドバイスを熱心に聞き、若い頃より食生活にも気を遣っているとのこと。余分な体脂肪のない、引き締った肉体を維持している。

身長が195cm、体重が91kgあり、元々、身体的な素質には恵まれている。長身の選手は、足元のボールさばきが苦手な傾向にあるが、イブラヒモビッチの武器の一つは類稀なテクニックといっても過言ではないだろう。空中戦は文句なしで、足元も一級品。リーチが長く、あの技術でボールをキープされたら、ディフェンダーは、懐に入っていくことすらままならない。

高さと技術に共通する点は、加齢の影響を受けにくいことだ。筋力やスピードは、年齢とともに徐々に落ちてきやすい。しかし、身長はほとんど縮むことはなく、技術も鍛錬を続けている限り、上手くなることはあっても、急激に落ちるということはまずない。

ベテランが競争力を維持しやすいポジションを挙げるとすれば、ゴールキーパー、センターバック、センターフォワードだろう。走り回って体力を消耗することが比較的少なく、経験を生かしてゴール前で決定的な仕事をするポジションだ。逆に、サイドの選手や中盤の選手は、ボールの動きに合わせて、ピッチをアップダウンする必要があり、体力の消耗を回避するのが難しい場合が多い。

イブラヒモビッチは、持って生まれた才能とベテランが力を発揮できるポジションを得意としていることに加えて、入念な体のメンテナンスを行っており、長年プレーを続けられる条件が揃っているといえるだろう。

予期せぬ大怪我やモチベーションの変化といったことが、今後起こることも考えられるが、カテゴリーにさえこだわらなければ、50歳代でもプロとしてプレーしている姿は、想像できなくもない。

イブラヒモビッチは、世代がカズより少し下のため、結果がわかるまでには時間を要するかもしれないが、カズのギネス記録を更新するかは、気になるところだ。J1でも戦力として出場可能かは疑問の声も上がっているが、記録の更新に期待がかかるカズとともに、どこまでプレーできるのか目が離せない。