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若きエース久保建英はいくら?サッカー選手の市場価値の出し方

2021 4/2 11:00中原康太
久保建英Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

サッカープレーヤーの市場価値とは?

サッカー選手の市場価値は主に以下の要素を考慮し、総合的な判断によって決まる。

・年齢
・移籍金
・年俸
・出場試合数
・得点数
・アシスト数
・コンディション
・ピッチ外の商業(グッズ販売やテレビ出演など)

この要素の中で最も分かりやすいのが移籍金だ。移籍金とは移籍先クラブが在籍クラブに対して支払う違約金である。在籍クラブが選手と取り決めた契約期間中に他クラブへ移籍する場合、移籍先クラブは設定された違約金を在籍クラブへ支払わなければならない。

例えばフランス代表のキリアン・ムバッペは、在籍するパリ・サンジェルマンにより2022年6月までに他クラブへ移籍する場合、約255億円の移籍金(=違約金)が設定されている。違約金は選手がどれほど評価されているのか知る指標になる。

世界で市場価値の高い選手TOP5

移籍金・年齢・実績などを考慮した、2021年3月現在の市場価値が高いサッカープレーヤーは以下の5人。左から1位~5位の順位で記載している。

市場価値が高いサッカープレーヤーTOP5


ネイマールは踵や内転筋など度重なる怪我により出場試合数が少ない。今後の市場価値下落が危ぶまれる。市場価値が高く評価される要素にコンディション(=体調管理)も含まれるからだ。クラブにとって価値ある存在としてい続けるには、試合に出場しFWは得点を取り続ける必要がある。

久保建英が飛躍した2020-2021シーズン

久保は2020-2021シーズンは飛躍した年。19歳でありながら試合に出場する機会を求めてレアル・マドリードに在籍しながら3チームにレンタル移籍している。

久保建英の経歴を簡単に振り返ってみる。

2016年-2019年6月 FC東京
2018年8月-同年12月 横浜F・マリノス(レンタル移籍)
2019年7月-レアル・マドリードへ完全移籍
2019年8月-2020年7月 RCDマジョルカ(レンタル移籍)
2020年8月-2021年1月 ビジャレアルCF(レンタル移籍)
2021年1月-ヘタフェCF(レンタル移籍)

久保建英は15歳で飛び級で日本クラブユースサッカー選手権に出場し、得点王に輝いている。その後18歳でレアルマドリードと5年契約、年俸2億4600万円の契約を交わした。日本で報道される華やかなイメージとは裏腹に試合になかなか出場ができない久保は、マジョルカへレンタル移籍した。

マジョルカで35試合に出場し、4得点5アシストの結果を出したことで一気に評価を上げた。年俸も2億4600万円から3億7600万円と急上昇。期限満了後、更なる高みを目指しビジャレアルへ移籍したが、エメリ監督と合わなかったことから試合機会に恵まれずヘタフェCFへレンタル移籍した。ヘタフェでも久保の得意とするキレのあるドリブルが披露できず苦境に立たされている。

中田英寿、本田圭佑との比較

中田英寿、本田圭佑、久保建英の海外クラブでの年俸推移


中田英寿は、ASローマでトッティとのレギュラー争いをしながら30試合に出場し5得点の結果を残した。その後セリアAのパルマへ移籍する際には、アジア人としてクラブ別最高金額の移籍金だった。パルマでは67試合に出場し5得点。その後、怪我によって試合出場機会が少なくなり年俸は急降下。ボルトンに移籍後引退した。

本田圭佑はCSKAモスクワでの活躍が評価され、2013年にACミランへ移籍した際に市場価値は約25億円と高い評価を得ていた。ACミランでは背番号10を背負い、2014年には29出場6得点4アシストの好成績を残した。現在はポルトガルのボタファゴで年俸1億6000万円とまだまだ市場価値は高い。

中田英寿はASローマ、本田圭佑はCSKAモスクワの在籍中に期待を上回る結果を見せたことで、その後の市場価値が大幅に上がっている。久保建英も試合出場の機会を得るためにレンタル移籍しているヘタフェで結果を残す必要がある。

市場価値が高い選手になるには「結果」と「スター性」

「transfermarkt.de」による2021年3月時点での日本人選手の市場価値ランキング・トップ10は以下の通り。中田英寿がかつて所属したボローニャで活躍するDF冨安健洋が、久保建英を抜いて1位となっている。

1位 冨安健洋(ボローニャ、1800万ユーロ、約23億4000万円)
2位 鎌田大地(フランクフルト、1600万ユーロ、約20億1000万円)
3位 久保建英(ヘタフェ、1500万ユーロ、約19億5000万円)
4位 南野拓実(サウサンプトン、1200万ユーロ、約15億6000万円)
5位 遠藤航(シュトゥットガルト、800万ユーロ、約10億4000万円)
6位 堂安律(アルミニア・ビーレフェルト、700万ユーロ、約9億1000万円)
6位 中島翔哉(アル・アイン、700万ユーロ、約9億1000万円)
8位 伊東純也(ヘンク、650万ユーロ、約8億5000万円)
9位 酒井宏樹(マルセイユ、550万ユーロ、約7億2000万円)
10位 吉田麻也(サンプドリア、380万ユーロ、約4億9000万円)

高額な移籍金でビッグスターを獲得しあうヨーロッパリーグで、外国人枠である日本人選手がレギュラーを獲得し、試合に出場し続けるのは非常に難しい。

市場価値を上げるにはプレーで結果を出すことはもちろんだが、ベッカムのように肖像権やグッズ売上で移籍金の7倍以上の効果を上げるようなスター性も必要になる。

今後の久保建英の活躍とレアルマドリードでのレギュラー獲得を期待したい。

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