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“ベスト”メンバーで挑むもコロンビアに力負けU-22日本代表の課題は

2019 11/18 15:21中山亮
キリンチャレンジカップ2019のU-22コロンビア代表戦に出場した久保建英Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

現時点でのベストメンバー

11月17日に行われた東京五輪を目指すU-22日本代表とU-22コロンビア代表との一戦は、日本が後半に2失点を喫し0-2で敗戦。ここまでアウェイでブラジルに勝利するなど結果を残していた日本だったが、堂安、久保などA代表の常連を招集しベストメンバーで挑んだ試合で完敗を喫した。

コロンビア戦最大の注目ポイントは堂安律(PSV)と久保建英(マジョルカ)というA代表常連組の招集だった。

この世代のトップランナーとも言える冨安健洋(ボローニャ)が先月のA代表の試合で負傷しており、これまで継続して招集されてきた町田浩樹(鹿島)は出場停止。そして渡辺剛(FC東京)、田中碧(川崎F)、遠藤渓太(横浜FM)らは負傷辞退となったが、これまで招集されてきたメンバーに堂安と久保を加えた22人は現時点でのベストメンバー。

さらにこれまでは横内監督代行らが指揮を取っていたが、この試合では森保監督が指揮。いよいよ東京五輪まで8ヶ月というタイミングでA代表組との融合が始まった。先月にはアウェーでブラジルに勝利するという快挙を成し遂げていたこともあり、会場となったエディオンスタジアム広島に多くの観衆が集まる中での試合となった。

完敗で見えた日本の課題

注目の一戦となったコロンビア戦だったが、結果は後半に2失点を喫し0-2の完敗だった。

A代表とは異なり3-4-2-1の布陣で戦うU-22日本代表は期待の久保、堂安をシャドーに起用。フィジカルで上回るコロンビアも、この2人のドリブル、パス、状況判断には手を焼き、見るものをさすがと唸らせるプレーを見せていた。

そして菅原由勢(AZ)、菅大輝(札幌)の両サイドもアップダウンを繰り返し奮闘。前半はビルドアップでの岩田智輝(大分)からのプレーにも可能性を感じさせた。終盤に登場した食野亮太郎(ハーツ)は短時間ながら切れ味の鋭さを見せた。

しかし、この試合の日本は簡単に言えばそれだけだった。

失点シーンだけでいえば、後半開始早々の1失点目はGK大迫敬介(広島)が手に当てていたし、2失点目もカウンターから。日本としては悔やまれるものだろう。

だが試合全体を通じて見ると、コロンビアは個々のフィジカルの強さや身体能力だけでなく、どこから守備をするのか、奪ったボールをどうやって運ぶのかというチームとしての戦い方が統一されているので、前線から連動した守備が90分間続き、ボールを奪えば素早く前線に運ぶことができる。

コロンビアがチームとして同じ方向を向いて選手個々がプレーしているのに対し、日本は個々のプレーの集まりでしかなかったのだ。

ベストメンバーからベストチームへ

結果を分けたのはチームとしての精度の差。その理由としては、これから東京五輪予選を戦うコロンビアと、開催国として東京五輪出場が既に決まっている日本という立場の差も大きいだろう。

森保監督自身が指揮をとった試合も少なく、日本はこれまで候補選手の幅を広げることを行ってきたというのも事実。本大会まで8ヶ月という段階で、ここからいよいよチームとしての精度を高める作業に入っていくのだろう。

そう考えると森保監督の真価が問われるのはここからである。個人レベルではかつてないほどのタレントが揃っている。ここからの8ヶ月でチームとして戦い方のルールを定め、豊富なタレントの中から「ベストメンバー」ではなく「ベストチーム」といえる18名を選定することが求められる。

フル代表ではあるが、今年1月のアジアカップでは森保監督は「ベストメンバー」は集めたが「ベストチーム」を作ることができず、決勝でカタールに完敗を喫しただけに、目標をメダルと公言するのであればなおさらである。

このタイミングで日本の問題点を明確にしたという意味でも、チームとして高いパフォーマンスを見せたコロンビアとの対戦は十分価値のあるものだった。