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9月20日ラグビーW杯開幕 初の決勝Tへ日本のプール戦ポイント

2019 9/19 17:00カワサキ マサシ
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4カ国との戦い方は?

日本にとって初の自国開催となるラグビーワールドカップ(RWC)が9月20日に開幕する。日本は1987年の第1回からすべての大会に出場し、通算成績は4勝22敗。前回2015年のイングランド大会では格上の南アフリカを破るジャイアントキリングを起こし、プール戦で3勝1敗の好成績を収めたものの、4トライ以上、あるいは7点差以内での敗戦で加算されるボーナスポイントの差で、決勝トーナメント進出を逃した。

自国開催で初の決勝トーナメント進出を果たすために、重要なのはプール戦の戦い。今大会の日本のプール戦を展望する。

9/20vs.ロシア 取りこぼしが許されない初戦

日本が初戦で対するのは2011年に初出場し、今回が2度目のRWCとなるロシア。ラグビー新興国と思われがちだが、ソビエト連邦時代から80年以上の歴史を持つ。ロシアは昨年6月にはカナダとのテストマッチで6トライを奪う攻撃力を見せ、43-20で勝利した。

世界ランキングは日本の10位に対し、ロシアは20位。ロシアが破ったカナダは、22位のチームだ。ラグビーはランキングの差がそのまま実力の差に表れ、番狂わせが起こりにくい競技。前回大会で当時13位の日本が3位の南アフリカ撃破に世界が驚いたのは、まさしくあり得ないことが起こったからだ。

順位の差だけ見れば前回の南アフリカ戦と真逆の立場、日本にとって取りこぼしは許されない一戦だ。4トライ以上を奪って、ボーナスポイントも獲得しておきたい。

9/28vs.アイルランド 敗れても7点差まで

アイルランドの伝統的な特徴はディフェンスやスクラムなど、基本のプレーに忠実で、そのレベルが高いこと。強豪国のなかで身体は比較的小さいが、全員で前に進むスタイルを徹底し、サイズのハンデを克服して世界ランキング1位の座にいる。

チームの司令塔は、世界最高のSO(スタンドオフ)と呼ばれるジョニー・セクストン。彼を擁する現在のアイルランド代表は、史上最強と称されるほど強力な布陣を形成し、今大会では優勝候補の一角にあげられている。

日本は過去にアイルランドと2大会連続で対戦。1991年は16-32、1995年が28-50と、一度も勝てていない。現在もアイルランドと日本との間には、大きな実力差があるのは事実だ。

しかし、日本のRWC8大会通算での1試合平均得点は18.79に対し、アイルランドは27.8と約9点差。全員ラグビーは、日本も持ち味とするところ。4年間の成果を発揮し、たとえ敗れたとしても、なんとか食らいついて7点差以内に収め、ボーナスポイントを得たい。

10/5vsサモア 勝てば決勝T見える?

日本にとって今大会のキーポイントになるのが、このサモア戦。両者は前回の2015年大会でも対戦し、日本が26-5で圧勝したが、ボーナスポイント獲得はできなかった。16位と格下だが、勝利プラスαが必要になることを考えれば容易ではない相手となる。

ヨーロッパ・オセアニアのプレーオフを勝ち上がって出場を果たしたサモアは、身体が大きくてフィジカルが強いのが特徴だ。前回大会で日本は体格勝負で劣る相手に、ディフェンスで奮闘。攻めては2トライを奪う一方で、五郎丸歩のキックから16点を奪ったのが大きなアドバンテージになった。今回は日本のエースキッカーである田村優に、同じ活躍を期待するとともに、4トライを上げボーナスポイントを確保したい。

今回も前回と同じく、グループリーグ第3戦での対戦。フィジカルの出来、不出来が結果に大きく関わってくるので、日本は先のアイルランド戦から1週間のインターバルの間に、できる限りフィジカル面を万全に調えておく必要がある。

10/13vsスコットランド 日本のデータ・ラグビーに期待

スコットランドはティア1で世界ランキング7位。10位の日本にとってはアイルランド同様に8強進出への大きな壁となる。

日本は前回の2015年大会でもスコットランドと対戦し、南アフリカを破った勢いで連勝を狙ったが、10-45で敗戦。今大会に臨むチームの主軸は、前回の日本戦で20得点をマークしたSH(スクラムハーフ)のクレイグ・レイドロー、世界屈指のFB(フルバック)のひとりスチュアート・ホッグだ。もともと、スコットランドの伝統的スタイルである堅実なラグビーが武器だったが、絶えずボールを動かし敢えて不安定な状況を作りだし相手のすきを突く戦い方も身につけた。

まずは守備への意識を高め、レイドロー封じを講じるべきだろう。そしてこの試合はプール戦の最終戦とあって、スコットランド対策の分析も進んでいるはず。世界最先端を行くとされる、ラグビー日本代表のデータ分析力が試合に発揮されることも期待したい。