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ラグビーフランス代表の強みと弱み、肉弾戦もできるニュージーランドキラー

2022 7/1 06:00江良与一
抱き合って喜ぶビリミ・バカタワらフランス代表の選手たち,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

今回の日本遠征チームは一軍半

ラグビー日本代表とフランス代表のテストマッチが7月2日(豊田スタジアム)と9日(国立競技場)に2試合行われる。

筆者は現イングランドヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が日本代表(以下ジャパン)監督だった時代に講演を拝聴したことがあるが、同氏は「世界一を狙うチームは、出場選手の総キャップ数(テストマッチ出場試合数)は600以上必要だ」と持論を述べていた。選手一人あたり平均40試合以上の「正式」な国際試合の出場が必要だという計算になる。

今回日本に遠征してくるフランス代表チームの選手のうち、最大のキャップホルダーはCTBダミアン・ペノーで32個。また41人の参加選手のうちノンキャップが17人でメンバー全体の平均キャップ獲得数は6個程度と、フレッシュな顔ぶれだ。

ちょうどジャパンがトンガサムライフィフティーン戦やウルグアイとの2試合で経験の浅い選手を試したように、フランスがジャパン相手に来年の自国開催W杯で優勝するのに必要な選手を選抜する場として位置づけているのだろう。ジャパンとしては体のいい練習相手にされてしまうのではなく、フランスの本気を引き出したい戦いだ。

1999年と2007年W杯でニュージーランド撃破

さて、フランスというチームは非常に出来、不出来の差が大きいチームとして知られている。出来の良い方の具体例は1999年のW杯準決勝と、2007年の同準々決勝ニュージーランド戦だろう。両大会ともにニュージーランドは押しも押されもせぬ優勝候補の筆頭だった。

1999年の対戦では相手の裏側に蹴り込むキックとそのチェイスが的確で、ニュージーランドのプレッシャーをひらりとかわしながら相手のいない場所にボールを蹴り込んで、そのボールを保持してトライにまでもっていくというラグビーのボールゲームとしての特性を十分に理解し、活かしきって勝利した(スコアは43-31)。

2007年はタックル成功数が200を超えるという鬼気迫る強烈なディフェンスを最後の最後まで続け、ニュージーランドのランプレーを寸断して20-18の僅差で逃げ切った。

ボールを持った選手へのフォローの選手が、シャンパンの泡のように後から後からわいてくることから「シャンパンラグビー」などと称され、どちらかといえばスマートな攻撃主体のイメージのあるフランスだが、いざとなれば泥臭いバチバチの肉弾戦を仕掛けてくることもできる。

しかもそのバチバチさは世界屈指だ。2021年にはニュージーランドにもオーストラリア代表にも勝ったし、今年のシックスネーションズでは他協会をすべて破って優勝するグランドスラムを達成した。

現在、世界ランキング2位で一軍選手がすべて出場すれば、正直ジャパンとの差は認めざるを得ない。今回の遠征はあくまで若手選手テストの場という位置づけではあるが、どんなメンバー編成になろうともジャパンにとって強敵であることは間違いない。

つけ入る隙はチーム状態の「振れ幅の大きさ」

とはいえ、ジャパンがつけ入る隙がないわけではない。フランスというチームは先にも述べた2007年のニュージーランド戦のように狂気ともいえる頻度で精度の高いタックルを連発する半面、気分が乗らないと、格下相手にコロっと負けてしまうという悪癖も持ち合わせている。

例えば2011年と2013年のシックスネーションズでは参入してきたばかりのイタリアに白星を献上しているし、2011年のW杯予選プールではトンガに負け、勝ち点の差でギリギリ予選を通過するという崖っぷちを味わっている。

ちなみにこの大会、決勝トーナメントでは順当に勝ち進み、決勝戦では予選プールで大敗したニュージーランド相手に7-8と1点差で、文字通りあと一歩のところまで追い詰める活躍を見せている。

フランスは準優勝3回で、これはイングランドと並んで最多。「シルバーコレクター」というあまりありがたくない肩書が付与される状態だ。

2023年のW杯はフランスにとって2度目の自国開催である。前回の2007年の際には先にも述べたようにニュージーランドに勝つというこの大会最大のアップセットを引き起こしたが、その次のイングランド戦で負けてしまったことで、3位決定戦に回った。そこでも予選プールの初戦で敗れたアルゼンチンと再戦し、リベンジするどころか、いいところなく返り討ちにあって3位を逃している。

昨年から今年の奮闘ぶりを考えると、2023年のW杯での目標はズバリ初優勝だろう。ジャパンはこの2試合でフランスを破って大いに驚かせ、11月の欧州遠征でフランスと対戦する際には、是非とも両チームの本気での戦いを見てみたいものだ。

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