ブラストワンピースが復活のV
冬の中山最終週はGⅡアメリカジョッキークラブカップ(AJCC)。暖冬のあおりを受け、例年以上に雨が多かった昨暮れから新春の中山競馬場。休眠期の野芝に洋芝をオーバーシードした馬場は雨で緩むとさらに時計を要する傾向がある。この最終週も明らかに外が伸びる上がりの時計がかかるタフな馬場だった。
そんな馬場を苦にしなかったのが1番人気のブラストワンピース。3歳時は稍重の有馬記念を勝ち、洋芝の札幌記念を快勝した現役屈指のパワー型。高速馬場では予想外の大敗を喫するあたりもこの馬の個性の表現。
であれば、この日の馬場はブラストワンピースに絶好の状態。問題は馬の状態だった。凱旋門賞大敗以来の実戦とあってそのダメージは抜けているのか?海外遠征後不振に陥る馬も多く、どうしても疑いたくなるもの。最終的な単勝オッズは1番人気ながら3.0倍。GⅠ馬に優しい斤量57キロ、荒れ馬場得意なブラストワンピースでもかなり疑われた。
目を疑ったのはその戦法だった。押し出されたスティッフェリオの流れは1000m通過1分2秒4の緩いペース。そんな中、ブラストワンピースは4番手先行というイメージとは異なる積極策に出る。騎乗3戦目の川田将雅騎手が大胆な変身を馬に求めた。流れを考えればこれがハマった。マイネルフロストが3角でマクリに行ったこともスタミナ型のブラストワンピースにはあと押しとなった。
この馬場で持久力戦となれば、敵うものはいなかった。中団が動く競馬よりも、自ら潰しに行くような強引な戦法こそがブラストワンピースの個性を生かせる競馬。以前は高速馬場でもろさを見せていたが、この戦法であれば条件を問わずに走るようになれるのではなかろうか。
2着ステイフーリッシュはローカル2000m、荒れ気味の馬場が好走条件で、クリストフ・ルメール騎手の馬場を読んだコース取りに導かれて好走した。条件次第の馬だが、当てはまる条件で評価を下げなければ、馬券に貢献してくれるだろう。
3着ラストドラフトはもったいなかった。遅い流れを中団後ろのインと不利な状況ながら、最後はコース巧者のミッキースワローをかわして3着。勝負圏内から外れたのは展開が向かなかったからであり、こちらも昨年とはイメージを変えなければならないだろう。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
予想陣では東大ホースメンクラブが厳冬期に強い5番人気ステイフーリッシュを評価し、○◎△で見事に的中した。