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【菊花賞予想】京都大学競馬研究会の本命は?皐月賞馬・ダービー馬不在の混戦を紐解く一手とは

本命に推されたヴェロックスⒸ明石智子
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Ⓒ明石智子

スタミナ勝負という言葉はもはや死語!?

3歳牡馬最後の一冠の菊花賞が10月20日(日)に行われる。まずはレース傾向を見ていこう。京都芝3000mという特殊な条件はどの馬も経験したことがない。なので、距離適性等よりも馬の地力が問われるレースである。

よく言われる「菊花賞は強い馬が勝つ」という言葉が、それを象徴しているのではないだろうか。一見、3000mとなるとスタミナが必要かと思えるが、去年のラスト5ハロンのレースラップでは、12.8 - 12.2 - 12.2 - 10.7 - 11.3とラスト3ハロンから2ハロンにかけて加速している。つまりスタミナよりも決め手、瞬発力が問われるレースである。


去年は初めての3000mを考えて、どの馬も様子見で積極的に動かなかった結果だと考えられるが、今年はリオンリオンの回避によって明確な逃げ馬が不在。昨年同様のペースになりそうなので、決め手を持っている馬を狙っていきたい。

クラシック未経験の上がり馬の扱い方は?

今年の3歳重賞は上がり馬を過大評価しないことも重要だ。 6月から9月の3か月間において、芝の古馬混合2勝クラスでの3歳馬の成績は次の通り。

表_6月~9月芝2勝クラス(1000万)3歳馬成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

今年から降級制度がなくなり、3歳馬が2歳クラスを勝ち上がりやすくなっている。これは3歳馬の斤量の恩恵などが大きいとみられるが、これは十分な実力が備わってないのに重賞に挑戦する馬が少なくないとも言える。

先週の秋華賞でいうと、2勝クラスを4馬身差の圧勝で出走してきたエスポワールや、無敗で臨んできたサトノダムゼルはどちらも着外という結果になった。条件戦で強い競馬や勢いに乗ってきた馬でも、菊花賞で通用するかきっちりと精査する必要がある。

「強い馬が勝つ」菊花賞に最もふさわしい馬とは

◎13ヴェロックス
「強い馬」に一番合致するのはこの馬だろう。まずは皐月賞。レースラップが

12.3 - 10.5 - 12.0 - 11.8 - 12.5 - 12.1 - 12.2 - 11.7 - 11.6 - 11.4(34.8-34.7)

で1000m通過が59秒台とタフなレースでありながら、ラスト3ハロンは加速している。そのラップで駆け抜けた上位3頭は、他馬を引き離しておりレベルの違いを見せつけた。3着馬ダノンキングリーは、のちに古馬GⅠ馬が集結した毎日王冠で出遅れがありながら、強い勝ち方をした。これを物差しで考えても、3歳馬同士なら一枚抜けた存在であろう。

また、神戸新聞杯では

12.9 - 11.3 - 12.9 - 13.1 - 13.2 - 13.5 - 13.3 - 12.5 - 11.8 - 10.8 - 10.2 - 11.3(37.1-32.3)

とこれまた瞬発力勝負。道中では折り合いを欠く面を見せており厳しいかと思われたが、サートゥルナーリアの2着に食い込み、3着以下を寄せ付けなかった。休み明けで仕上がり途上だったとすれば、本番ではより高いパフォーマンスが見込めそうだ。

〇17タガノディアマンテ
2月のきさらぎ賞の脚が印象的な一頭。ランスオブプラーナが緩い流れをつくったにもかかわらず、直線では馬群が縦長の展開。後続を離した前有利な中で、唯一すごい脚で追い込んできた。しかも出遅れて最後方からの強い内容だった。4着馬ヴァンドギャルドはのちに2勝クラスを楽勝、最下位のエングレーバーもプリンシパルS2着、7着のアガラスも3勝クラスで2着などメンバーのレベルもかなり高かった。

前走のセントライト記念は重馬場で2.11.5(この馬は2.12.2)。これは優秀な時計で、そのレースで 内の先行馬で決着した中で外々を回す競馬なら仕方なし。今回は激走したきさらぎ賞と同じ京都の舞台に変わる。得意なコースに条件が変わった今回が買い時ではないか。

▲15ホウホウサーベル
新馬戦の1.48.4という数字に注目。新馬戦を1.48.5以下で勝ったのは最近5年でウィクトーリア(フローラステークス勝ち馬)、ムーヴザワールド(共同通信杯3着、東スポ杯2歳S3着)、マカヒキ(ダービー馬)、マサハヤドリーム(福島テレビOP1着)などがいる。

その中でもホウホウサーベルの新馬戦は、1000m通過が1.01.9とスローでありながらこのタイムだった。ラスト200mで2着馬をかわし、3馬身差をつけている。上がり3ハロンというより、ラスト1ハロンだけでこれだけの着差をつけられるのは強い馬の証拠だ。春の実績こそないが、前走2勝クラスでは5馬身差の圧勝。ハーツクライ産駒の成長力も考慮すると、いきなり秋の主役に躍り出てもいい存在である。

△2ニシノデイジー
この馬は長く良い脚を使うタイプと見る。札幌2歳ステークスは

12.4 - 11.7 - 11.9 - 12.2 - 12.2 - 12.1 - 12.3 - 12.6 - 12.7

と緩急が少ない淡々とした流れであったし、東京スポーツ杯2歳ステークスも、多頭数ということもありラスト5→4ハロンで早めからペースが上がるような競馬だった。皐月賞で折り合い面の悪さが出てしまい、ダービー以降は後ろから競馬をせざるを得ない状況になった。よって瞬発力勝負になれば分が悪いが、鞍上がルメール騎手に替わるのは大きな加点、実績で見ても切れなかった。内枠に入ったので、うまく折り合えればいい競馬ができるかもしれない。

7ヒシゲッコウ
デビューから大きく崩れていない馬で、スミヨン騎手が乗るため人気を集めそうだが、先述の通り、条件戦からの馬はきちんと能力を見定めないといけない。まず新馬戦のメンバーで、芝で勝ち上がったのは、3着馬、6着馬のみで1勝クラス、2勝クラスのメンバーも次走以降なかなか同条件を勝ち上がれていないのが現状だ。前走の2勝クラス(札幌芝2600m)の時計も2.39.4。この日、札幌の馬場がやや高速気味だったと考えると、やはりGⅠで通用する実力はまだ備わっていないと感じられる。

(文・ケータロー)

・推奨買目
馬連13-2.15.17 ワイド13-15.17、15-17

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《ライタープロフィール》
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。