「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

買えるのは軽ハンデ?トップハンデ? ハンデ戦を制するものが夏競馬を制す

イメージ画像ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)

「○.5キロ」の馬に注目 ハンデキャッパーの意図を読め

夏競馬を難解にするハンデキャップ競走。今年JRAで施行される27のハンデ重賞のうち、夏競馬シーズン(ラジオNIKKEI賞から京成杯AHにかけての約2ヶ月)に開催されるのは全体の3分の1に及ぶ9レース。「ハンデ戦を制するものが夏競馬を制す」といっても過言ではない。

下図で過去5年のハンデ戦における斤量別成績を挙げた。

過去5年のハンデ戦斤量別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

重い斤量を背負っているほど成績が良く、実力馬がハンデを背負ってもきっちりと結果を残していることがうかがえる。対照的に49キロ以下の馬は厳しい。牝馬限定GⅢや長距離戦で見られる超のつく軽ハンデで、近走成績に関係なく穴人気しやすいが、馬券になったのはわずか1頭のみ。迷わず消しでいいだろう。

さらに詳しく斤量別成績を追うと、興味深いデータが浮かび上がる。成績の良い55.5kg以上の成績を細かくみてみよう。

過去5年のハンデ戦斤量別成績②ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

例はそれほど多いわけではないが、「○.5キロ」の斤量を背負った馬の成績が抜けている。この斤量を背負った馬の複勝率は36.7%で、整数の斤量が設定された馬の複勝率20.8%に比較すると2倍近い。ハンデキャッパーがあえてこの斤量に設定した理由を読み取りたいところだ。

軽ハンデを買えるのはあのコース

データが示した通り、実績馬はやはりハンデを跳ね返して結果を残してくる。しかし斤量と比例して人気も集めやすく、配当面を考えると軽視したいのが穴党の性というものだ。

では人気薄になりやすい軽ハンデの馬はどこで狙えるのか。50キロ〜53キロの斤量を背負った馬に限定して、コース別に成績を見てみよう。

過去5年のハンデ戦 50~53キロの斤量を背負った馬のコース別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

出走頭数が50頭以上のコースに限定して成績が良かった順に並べると、最も成績が良かったのは札幌芝1800mだった。斤量50kg〜53kg以外の馬の複勝率は22.8%なので、このコースでは軽ハンデの方が信頼できる存在といえるだろう。

馬券妙味の面でおすすめしたいのは新潟直線芝1000m。単勝50倍以上の馬が2勝を挙げるなど単勝回収率は265%を記録している。また、出走頭数が50頭に満たなかったコースで一押しなのが京都芝3000m。該当するのは年明けの名物ハンデ競走・万葉Sで、斤量53kg以下の馬が7年連続で連対している。軽ハンデ馬から踏み込んで狙いたいところだ。

このコースでは重いハンデでも逆らうな!

では逆に、重い斤量でも逆らわずに買うべきなのはどのコースか。斤量57キロ以上に限定してコース別成績を見てみる。

過去5年のハンデ戦 57キロ以上の斤量を背負った馬のコース別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

出走頭数が20頭以上のコースにおいて、成績がずば抜けていいのは東京芝2400m。出走した30頭のうち20頭が3番人気以内に支持されたが、該当馬は【7-6-3-4】で連対率65%・複勝率80%という圧巻の数字を残している。日本ダービー・ジャパンCが行われるような距離では、能力の絶対値で少々のハンデは跳ね返せるということか。

他に成績がいいのは中山芝2000m。当該条件で行われる正月の伝統重賞・中山金杯では、近5年のうち4レースで57キロ以上の馬が連対している。重いハンデの馬はおおむね中長距離での良績が目立っているのが特徴だ。

斤量と能力の兼ね合いで頭を悩ませやすい、難易度の高いハンデキャップ競走。レースでは軽ハンデ・重ハンデのどちらを買うべきか、データを駆使して攻略の糸口としてほしい。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。