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【日本ダービー】データから見えた王者の姿とは? 令和初のダービー馬にふさわしいのはこの馬だ

2019 5/24 11:00門田光生
日本ダービーのデータ予想で本命馬に推されたダノンキングリーⒸ三木俊幸
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Ⓒ三木俊幸

テン乗りは2着なら可能性あり

NHKマイルCに続いての高速馬場だったオークス。1000m通過が59秒1にもかかわらず、勝ったデムーロ騎手は「スローペースだった」とTVのインタビューで答えていた。高速馬場すぎて遅く感じたのだろう。

そんな流れを差し切ったラヴズオンリーユーは文句なしに強かったが、個人的に抜け出すのがちょっと早いかなと感じながらも、最後まで勝ち馬に抵抗してみせたカレンブーケドールに強さを感じた。データ上では圧倒的不利なスイートピーS組。当然ながらデータ外の馬が来たので外れなのだが、いいものを見せてもらった。

さて、いよいよ日本ダービーだ。正式名称の東京優駿より、ダービーという言葉の方が圧倒的に知名度が高い。世間的な注目度も高く、特にスポーツ紙は毎日のように1面か終面に競馬を扱う。まさにダービーウィークである。

話題の中心は何といってもサートゥルナーリア。無敗での戴冠はあるのか、ドゥラメンテ以来の二冠達成なるか、そして何といってもテン乗り、さらには日本ダービー初騎乗で勝てるのか。この馬のことを書くだけでもページが足りないくらいだ。

日本ダービー乗り替わり成績ⒸSPAIA

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やはり気になるのはこのデータだろう。ここ10年、乗り替わりで勝った馬はいない。10年どころか、30年さかのぼっても見当たらない。ただし、ここ10年で2着は2回ある。その馬は、2010年のローズキングダムと2015年のサトノラーゼンだ。この2頭ともテン乗りだった。確率は低いながら、データ的には連対なら可能性があるようだ。

皐月賞組狙いが王道

オークスは桜花賞組が好成績を残していたが、牡馬も同じ。いや、それ以上に皐月賞組が圧倒している。

日本ダービーの前走成績・前走皐月賞組の前々走成績ⒸSPAIA

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特に勝ち馬はここ10年で9勝。残る1頭は京都新聞杯から参戦したキズナ。キズナは毎日杯を勝って賞金的に皐月賞へ出走可能だったにもかかわらず「ダービーが大目標」と皐月賞に目もくれなかった特殊なパターン。なので、今年の京都新聞杯の勝ち馬であるレッドジェニアルとは少し事情が違う。

それ以外のレースを経由してきた馬はここ10年で勝率0%。特にNHKマイルCから来た馬は【0-0-0-26】と散々だ。というわけで、ダービー馬は皐月賞組から探すのが正解。これで半分が消えた。

皐月賞の時「弥生賞は皐月賞だけでなく、ダービーにつながる」と書いた。

弥生賞から皐月賞を経由した馬は出走頭数も多いが、勝率も他路線に比べて高い。何せここ10年で5頭の勝ち馬を出している(キズナは弥生賞→毎日杯→京都新聞杯→ダービー)。2009年のロジユニヴァースのように皐月賞14着から巻き返した馬もいるから、前走着順は不問だ。

今年は弥生賞→皐月賞→ダービーのローテーションを取るのはシュヴァルツリーゼ、ニシノデイジー、メイショウテンゲンの3頭。また、スプリングS、共同通信杯から皐月賞を経由してきた馬も数字は悪くないので、共同通信杯→皐月賞→ダービーのクラージュゲリエとダノンキングリーも有力候補。今年はどういうわけかスプリング→皐月賞→ダービーという馬がいないので上記5頭から勝ち馬を探すことにする。サンプルは少ないが、同じく高い勝率を残している京成杯→皐月賞→ダービー組は出走馬なし。

問題はホープフルS→皐月賞→ダービーと駒を進めたサートゥルナーリア。過去に同じローテーションを取った馬が1頭いて、その馬はダービーを勝っている。そう、2017年のレイデオロだ。しかも、同じノーザンファーム生産馬、そして父がキングカメハメハ系。ただ、やはり気になるのは騎手が乗り替わること。

そのレーン騎手はヴィクトリアマイルをテン乗りで勝利。今回は乗り替わりのデータを出した以上は勝ち馬として推すことができないが、桜花賞、皐月賞とローテーションでデータ外の馬が勝った時と同じ匂いがする。

残った本命馬候補とは?

下記の表はここ10年の出走馬のキャリアをまとめたもの。

日本ダービーのキャリア別成績ⒸSPAIA

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理想はキャリア4~5戦。弥生賞組はこれに当てはまらず、残念ながら全頭脱落。共同通信杯組はともにクリア。というわけで、ダービー馬候補はクラージュゲリエとダノンキングリーに絞られた。

序盤でサートゥルナーリアの乗り替わりについて述べたが、それがここでも役に立つ。クラージュゲリエも同じく乗り替わり。というわけで、今年の勝ち馬はダノンキングリーに決まった。父もここ10年で4頭の勝ち馬を出しているディープインパクト。ディープインパクト×Storm Catの配合は2013年のダービー馬キズナと同じ。さらにいえば、先週にオークスを勝ったラヴズオンリーユーも同配合。血統面でも文句なしだ。

相手だが、2着となると選択肢が広がる。まずここ10年で連対率0%である表②「前走が皐月賞、京都新聞杯、青葉賞以外」、表③「皐月賞組の前々走がその他のレース(今回ではすみれS、若葉S)」、表④「キャリア3戦以下、10戦以上」に該当する馬は消し。皐月賞2着のヴェロックスだが、ここ10年で4着が最高の若葉S→皐月賞経由組で消える。

また、過去に京都新聞杯組で連対したキズナ、サトノラーゼンともに1着馬。京都新聞杯を勝っていることが最低条件なので、レッドジェニアル以外の京都新聞杯組3頭は厳しくなる。同じく青葉賞組で連対したフェノーメノ、ウインバリアシオンも同じく同レースを勝っての参戦。というわけで、青葉賞2着馬のランフォザローゼスが消える。

残ったのはクラージュゲリエ、サートゥルナーリア、ニシノデイジー、メイショウテンゲン、リオンリオン、レッドジェニアルの6頭。この中で確率の高い「乗り替わりでない」「皐月賞組」「年明けが2~3戦」を満たすのはニシノデイジーだけ。これがダノンキングリーの相手本線で、残るクラージュゲリエ、サートゥルナーリア、メイショウテンゲン、リオンリオン、レッドジェニアルが押さえ。

ダービーは年に一度の祭典。思い入れのある馬から買うのもありだ。ちなみに、私はキャリアで弾かれたシュヴァルツリーゼの馬券もこっそり買い足す予感がする。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬などの記事も執筆中。