「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【天皇賞・春】フィエールマンの取捨は? 狙うは3つのデータに当てはまったあの馬

2019 4/25 11:00門田光生
カフジプリンス,Ⓒ明石智子
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒ明石智子

高速馬場にやられたパクスアメリカーナ

先週の日曜日は競馬番組を横目に見ながら仕事をしていたのだが、ふと「レコード」の言葉を聞いて手が止まった。

「2分09秒7」

着順掲示板にはそんな数字が浮かび上がっていた。一瞬、何メートルのレコードタイムなのか理解できなかったが、分かったのは異常なぐらい速い時計が出る馬場だということ。

それを受けて行われたマイラーズC。前半3ハロンの通過タイムは36秒0(ちなみに、レコードの出たレースは34秒8で通過)。この時点で相手候補の1頭ケイアイノーテックを含め、中団以下に位置取った馬には絶望的な展開であった。

案の定というか、レースはスタート後に前にいた4頭で決着。2番手からダノンプレミアムが抜け出したまではいいが、もう1頭の相手候補パクスアメリカーナはエンジンがかかったところがゴール。あと1メートルあれば2着に浮上していたと思うが、それもこれも競馬。

「逃げ、先行有利」と書いた通りになったのに、またもやそのデータを生かし切れず。無念である。

さて、今週は天皇賞・春。菊花賞と並んで京都が誇る長距離GⅠだ。ここ10年、最低でも17頭が出走していたのだが、今年は1週前登録の時点で15頭、そこから2頭が離脱して、最終的に13頭立てとなった。

天皇賞・春の血統データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

まずは血統から。長距離戦は特に血統が生きるといわれている。いつものようにディープインパクトが絶対ではなく、むしろ勝率、連対率ともよくない。

今回マークすべき種牡馬はステイゴールドとハーツクライ。ステイゴールドは出走頭数が多くても勝率トップだから信頼できる数字。2着が0回なので馬単や3連単の頭にも買いやすいといえる。

逆にハーツクライは1着が0回だが、2、3着が多くて連対率、複勝率ともトップ。ハーツクライの初年度産駒が4歳になって天皇賞・春に出走可能となったのが2012年。そこから6年中5年、馬券圏内に送り込んでいる。これは信頼に値する数字といえるだろう。

また、父系別にみるとサンデーサイレンス系がほかを圧倒。特に、ここ5年は3着までにきた上位15頭が全てサンデーサイレンス系。当然ながら非サンデー系を父に持つ馬は割引が必要となる。

長距離戦は名手にお任せ

続いて騎手。

天皇賞・春の騎手別データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

血統と同じく、長距離戦は騎手の腕も問われるところ。予想通り実績のある騎手が名を連ねたが、ここで特筆すべきは武豊騎手とルメール騎手。3着以内に来る確率がほぼ5割。長距離戦の2回に1回は馬券に絡む計算で、この2人が乗る馬は信頼度が格段にアップ。

天皇賞・春のローテーション別データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

続いてローテーション。ステップレースとしては阪神大賞典組が10頭と最多だが、日経賞組の成績も悪くない。

月別に見ると3月に使った組が圧倒的だ。4月に行われる大阪杯組も実績はあるが、今回は出走馬がゼロ。大阪杯がGⅠに昇格したのもあり、トライアル的な意味合いは薄れているのだろう。今年がたまたまではなく、今後も大阪杯を経由しての参戦は少なくなってくると思われる。

また、前走を2~4月に走っていない馬が馬券に絡んだ回数はゼロ。間隔開きの馬は割引が必要だ。何だか桜花賞や皐月賞でも同じことを書いたような気がするが……。

二度あることは三度あるのか

表だらけになるので割愛したが、脚質は先行、枠は内枠が有利。通常なら先週にレコードが出たように、今週も絶好の馬場状態が予想される。ただ、今週末は天気が微妙。この10年間で9回が良馬場で行われていた。稍重で行われた時は中団待機の3頭が上位を占めていた。当たり前のことだが、当日は注意したい。

さて、データが出そろったところで結論に入る。
①父がサンデー系、中でもステイゴールドとハーツクライ産駒は特注
②武豊騎手、ルメール騎手騎乗馬は信頼度がアップ
③阪神大賞典組、日経賞組が優勢。また2~4月に使っていない馬はマイナス
④先行脚質が望ましい
となる。

まずは①の父系。近5年は全てサンデー系が上位独占というデータは信頼度が高いとみて、まずはサンデー系以外を振るい落とす。と、意気込んでみたものの、除外できたのはユーキャンスマイルとリッジマンだけ。まだかなり残っている。

②の騎手だが、今回武豊騎手は騎乗していないので、ルメール騎手が騎乗するフィエールマンのみが加点対象。

続いて③のローテーション。2~4月に使っていないグローリーヴェイズ、②で加点したフィエールマンともに厳しくなる。ローテーションに関しては桜花賞と皐月賞でトラウマになっているが、ここまできたら、平成の間は徹底的に平成の定説に従うことにする。

それでもまだ候補は7頭残っている。そこで「ステイゴールドかハーツクライ産駒」「阪神大賞典か日経賞組」「先行脚質」の好走条件を当てはめてみると、浮かび上がってくる馬が1頭いる。それはカフジプリンスである。

1年半近く休んでいた馬で忘れている人も多いだろうが、3歳時に北海道の長距離戦で圧勝。神戸新聞杯、菊花賞でも直線で窮屈になりながらも寸前で鋭い足を使っていたように、早いうちからステイヤーの資質は証明していた。波乱の立役者の資格は十分にある。1着がないハーツクライ産駒だから、頭というより軸で買いたい。

相手だが、エタリウオ、チェスナットコートの2頭は脚質以外をクリア。あと、このレースはリピーターが多いのでクリンチャーも押さえておきたい。

最後に馬体重に関するデータを。

天皇賞・春の馬体重増減別データ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

当日にマイナス体重の馬がプラス体重の馬を圧倒している。パドックの段階でもまだ迷っているようなら、参考にどうぞ。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬などの記事を執筆中。