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【オールカマー】データ上はレイパパレに死角なし 狙ってみたいオークス連対馬ウインマリリン

2021 9/22 11:00門田光生
オールカマーの年齢別成績(2010~13、15~20年),ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

例年以上に豪華な顔ぶれ

2021年9月26日に中山競馬場で行われる第67回オールカマー。「All Comer」という名の通り、以前は地方馬がよく参戦していたレースでもある。個人的に記憶に残っているのは、ユニークな名前、そしてジャパンカップにも出走したハシルショウグン(大井)。ちなみに、園田競馬場では何代目かの「ハシルショウグン」が活躍中です。

そんなオールカマーだが、天皇賞・秋のトライアルレースとしては、本番まで少し期間が空いてしまうのが微妙なところ。何より、今はトライアルを使わずにぶっつけ本番でGⅠへ挑む時代。昨年も9頭立てで、GⅠ馬の出走はなしだった。しかし、今年はグローリーヴェイズ、レイパパレのGⅠ馬2頭が登録。ほかのメンバーを見ても、例年以上に豪華な顔ぶれとなりそうである。

そんな今年のオールカマーだが、どのような傾向があるのか。京成杯AHやセントライト記念と同様、2014年の新潟開催を除いた近10回のデータを基にしてレースを分析していきたい。

実績牝馬が好成績

オールカマー出走馬の所属,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の年齢,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の性別,ⒸSPAIA


まずは所属別から。出走頭数は美浦83頭、栗東が43頭。美浦所属馬の方が倍近く出走しているが、連対数はそれぞれ10頭ずつ。当然ながら、栗東所属馬の方が連対率で大きく上回っている。ちなみに、地方馬の参戦は2006年のコスモバルク(2着)が最後。時代の流れを感じる今日このごろ。

年齢で目につくのは、4歳馬の連対率が30%を超えていること。勝率もトップで、4歳馬が中心と考えて間違いない。連対が最も多いのは5歳馬の8頭。6歳馬は連対が4頭と数は減るが、連対率で比較すると5歳馬とほとんど変わらない。7歳以上になると、32頭が出走して連対したのは2010年のシンゲン(1着)だけ。2014年の新潟開催時も馬券に絡んだ馬はおらず、10年以上も連対馬が出ていないことになる。

性別だが、全出走馬126頭中、112頭が牡馬・セン馬。牝馬は14頭しか出走していないが、そのうちの5頭が連対と少数精鋭。エリザベス女王杯と同距離ということで、本番を意識した実力牝馬が出走しているのだろうか。ちょっと気になって調べると、連対した5頭のうち、4頭がGⅠ連対馬(ショウナンパンドラ、ヌーヴォレコルト、ルージュバック、カレンブーケドール)であった。

今回はカウントしていない14年(新潟開催)の2着馬ラキシスも、3歳時にエリザベス女王杯2着の実績があった(エリ女を勝つのは2014年)。今回もGⅠで実績を残している牝馬が出走してくれば、当然ながら有力候補と考えていいだろう。

この3項目をもう少し掘り下げてみる。まず、6歳で連対した4頭はすべて栗東所属の牡馬だった。美浦所属の6歳馬(16頭)は全頭が圏外。逆に栗東所属は7歳以上(8頭)がすべて馬券外となっている。牝馬に関してだが、6歳以上となると3着以内に入った馬はいなくなる。

オールカマー出走馬のローテーション,ⒸSPAIA
オールカマー出走馬の前走及びクラス,ⒸSPAIA


GⅠ級の参戦が減少傾向と上記で書いたが、では夏の上がり馬が活躍を見せているのだろうか。ローテーションを調べてみると、中5週以内で挑んできた45頭のうち、馬券に絡んだのは2頭。3着が最高着順で、連対馬は出ていない。中9週まで広げても、60頭のうち連対馬は1頭だけ。また、前走でオープンより下の条件を走っていた26頭も同様で、最高着順は3着。夏場に使った馬より、休養に充てた馬、また上がり馬より実績馬の方が好成績を挙げているようだ。

実績馬の中でも、最も相性がいいのは宝塚記念を使っていた馬。【7-5-2-11】と連対馬の半分以上を占め、連対率も48%と高い数字を記録している。逆に相性のよくないレースは函館記念、札幌記念、そして新潟記念。この3つの記念競走を使ってきた馬は29頭いるが、ここから連対馬は出ていない。

オールカマーにおけるプラスデータ,ⒸSPAIA
オールカマーにおけるマイナスデータ,ⒸSPAIA


最後にオールカマーにおけるプラスとマイナスデータを少々。まずプラスデータだが、ディープインパクト産駒の成績がほかの種牡馬に比べて抜けてよく、6連対、連対率も42%以上となっている。特に牝馬は連対率が50%あり、出走馬の半分が連に絡んでいる計算になる。小回りの中山コースとはいえ、今回の2200mは外回り。内回りと違ってディープ産駒が持ち味を発揮しやすいのかもしれない。

マイナスデータだが、継続騎乗の馬が16連対で、乗り替わった馬は4連対。出走頭数は全く同じなので、乗り替わった馬はかなり確率が下がることになる。

一騎打ちの様相だが……

オールカマーのデータをまとめると、好走パターンはA「4歳馬」B「GI実績のある5歳以下の牝馬」C「栗東所属の6歳牡馬」D「前走が宝塚記念」E「ディープインパクト産駒、特に牝馬」。

好走確率が下がるパターンはF「美浦所属の6歳馬」G「栗東所属の7歳以上」H「中9週以内」I「前走が条件戦かオープン」J「前走が函館記念、札幌記念、新潟記念のいずれか」K「乗り替わり」。

今回、注目したいのはB「GⅠ実績のある5歳以下の牝馬」。正直、昨年のメンバーからこれに当てはまる馬の参戦は望み薄と思っていたのだが、何とこれだけでなくA「4歳馬」、D「前走が宝塚記念」、E「ディープインパクト産駒、特に牝馬」にも該当する馬が登録してきた。それはレイパパレ。マイナスデータもなく文句なしの存在だ。

前走の宝塚記念は3着だったが、同じ牝馬でいえば、2015年にショウナンパンドラが宝塚記念3着からオールカマーを制しており、同年2着のヌーヴォレコルトも宝塚記念5着からのローテーションであった。ちなみに、2016年のマリアライトは宝塚記念を勝って挑んだが、オールカマーでは5着に敗れている。オールカマーのことだけいえば、宝塚記念は勝つより掲示板ぐらいがちょうどいいのかもしれない。

ウインマリリンはGⅠ勝ちこそないが、オークス2着の実績がある。これは昨年の2着馬カレンブーケドールと同じ。天皇賞・春を経て挑んだのは過去7頭いて、2頭が連対。宝塚記念には及ばないが、連対数でいえば2番目に相性がいいレースとなっており、これも有力候補の1頭だろう。

ランブリングアレーはヴィクトリアマイル2着の実績があり、当然ながら軽視禁物。2017年の勝ち馬ルージュバックはヴィクトリアマイル(10着)からこのレースを制しており、ローテーションも文句なし。2200m以上を経験していないのがポイントになるが、2012年の2着馬ダイワファルコンも同様に2200m以上が未経験だった。プラスでないが、大きく割り引く必要はないだろう。ただデータ上では分が悪いK「前回から乗り替わり」に引っかかるので、今回は押さえまで。

実績馬といえば、香港ヴァーズを勝っているグローリーヴェイズはどうだろうか。前走も香港(QEⅡ世C)を使っているが、海外帰りの成績は【1-1-0-2】と悪くなく、QEⅡ世Cを使った馬では2018年の2着馬アルアインがいる。E「ディープインパクト産駒」にも当てはまるので3番手に推そうかと思ったが、マイナスデータのF「美浦所属の6歳馬」に該当。これは【0-0-0-16】と絶望的な数字。昨年の1番人気馬ミッキースワローもこの壁の前に散っており(5着、5歳時は2着だった)、人気を考え合わせると今回は消しでいきたい。

ほかの馬を見ると、マイナスデータに引っかかっている馬が多い。その中で、栗東所属の6歳馬アールスター、美浦所属の7歳馬セダブリランテスが特に割引材料がなく、この2頭も候補に入れたい。

結論だが、この流れでいえば、◎レイパパレ、◯ウインマリリンとなるのだが、データ期間内に連対した牝馬、ショウナンパンドラ、ヌーヴォレコルト、ルージュバック、カレンブーケドール、センテリュオの5頭のうち、ヌーヴォレコルト、ルージュバック、カレンブーケドールの3頭はオークス連対馬である。素直にレイパパレを信じてもいいのだが、ここ2年は1番人気馬が飛んでいることもあり、同じオークス好走馬のウインマリリンを狙ってみたい。

◎ウインマリリン
◯レイパパレ
▲アールスター
△ランブリングアレー
×セダブリランテス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
先週に足のMRI検査を受けてきましたが、首から下が入るパターン。ヘッドホンをしても音はうるさいし、30分近くかかるというし、動いたらあかん言われるし、こんなもん耐えられるんかいなと思っていましたが、半分以上寝てました。

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