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【東海S】データ上有利な5歳馬が本命 流れる展開になれば差し馬がアツイ

過去10年の東海S年齢別成績インフォグラフィックⒸSPAIA
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5歳馬が他世代を圧倒

1月24日、中京競馬場では東海Sが行われる。一昨年のフェブラリーS覇者のインティや重賞2勝馬のアナザートゥルース、前走オープン勝ちのダノンスプレンダーやオーヴェルニュ、白毛馬ハヤヤッコなど新興勢力も多数参戦した。実績馬が貫禄を見せるのか、若い馬の勢いが勝るのか、GⅠに向けても目が離せない一戦だ。

過去10年の年齢別成績ⒸSPAIA


過去10年間(京都開催含む)の年齢別成績を調べたところ、高齢馬でも活躍が目立つダート戦の中では比較的若い馬、特に5歳馬の成績が【7-5-5-22】で複勝率43.6%と突出していた。

人気薄での連対例もあるが(2018年13番人気2着コスモカナディアン)、4番人気以内の5歳馬は【7-2-2-4】と勝ち馬は全て人気馬から出ていた。さらに頭数を絞って3番人気以内の牡馬に限ると【4-2-2-0】で複勝率100%だったことからも、当日のオッズ変動にも注目しておきたい。一方で人気が予想されるインティやアナザートゥルースら7歳馬の成績は【1-3-0-28】で複勝回収率は27%と芳しくないデータが見られた。

インティの好走条件とは?

続いて今回1番人気濃厚なインティについて、どのようなときに好走しているのかについて調べた。オープン入り以降、インティが馬券内に入った6レース中4レースが前半3ハロンよりも上がり3ハロンの方が速い後傾ラップで、インティ自身の前半3ハロン平均は36.8、上がり3ハロン平均は35.7だった。

残りの2レースは前半3ハロンの方が速い前傾ラップのレースだったが、出遅れた2019年のかしわ記念は3角から先頭に立ち、強気の競馬を見せるも2着。昨年のチャンピオンズカップは、逃げるエアアルマスの横で比較的スムーズに競馬を進めたが3着に敗れており、いずれも最後に脚が上がってしまった。

しかし前傾、後傾ラップという違いはあるものの、これらの6レースには共通点があり、いずれのレースも1000メートルの通過が60秒を超えていた。対して凡走した4レース中、距離不適で敗戦した帝王賞を除けば、全てのレースで前半3ハロンが34秒台と速いペースでレースが流れていた。このことからも良くも悪くもペースに翻弄される脆い面があると言わざるを得ない。

今回はゲートのうまいダイシンインディーや、逃げて重賞制覇の経歴があるアナザートゥルースなどが出走している。インティはスタートのいい馬ではないので、それらの馬に早めに被されてしまうとそれだけでレースが破綻してしまう可能性もある。

無理矢理出して行くのであればペースは速くなり、先を見据えて逃げずにゆったり走るならばもうその時点で1着になるとは考えがたい。昨年は逃げ一辺倒からの脱却を図るも失敗した一年で、連戦連勝していた頃の勢いはない。相手が弱化するとはいえ、人気を鵜呑みにするのはいかがなものか。

安定感のあるダノンスプレンダーを信頼

走ってみないと分からない展開予想だが、今回の出走馬の中に末脚の鋭い馬が多数いる為、配当妙味の観点から人気薄の差し馬を狙ってみたい。

◎ダノンスプレンダー
3走前のシリウスS以外では馬券を外したことのない堅実派。唯一馬券から外れたシリウスSも道中の位置取りや、直線で内を選択して追いだしが遅れた点から十全に力を発揮し切れていないので、度外視してかまわないだろう。5歳馬が他の年齢と比べて突出していい成績を残していることからも、オープン制覇の勢いや展開問わず上位に食い込む安定性を素直に信頼したい。

○ハヤヤッコ
前走で復活の勝利を飾った白毛馬。前走こそ2100mを後方から進んで突き抜けたが、ダート1800mでは【2-3-1-2】、掲示板を外したことがない。レパードSを勝っているように1800mが一番合っていると考える。ベストの距離に戻ったここなら前走よりもさらにパフォーマンスを上げてくるだろう。

▲タイキフェルヴール
長期休養明けの2走前こそ大敗したが、叩き一変して前走あっさり突き抜けた。この馬もハヤヤッコと同様末脚にかけるタイプで、ペースが流れればここでも十分好走可能だ。

△オーヴェルニュ
オープンで2連勝している5歳馬。データ上は文句なしだが、鞍上の川田騎手は今年に入って勝率3.2%。この馬は先行タイプで、ペースが流れる中、前について行って馬券外に飛んでしまう可能性もある。

消インティ
GⅠ出走のために賞金加算が必須だった2年前とは異なり、昨年今年と叩き台としての出走であることは明らか。展開予想で述べたとおり、ペースが速いと逃げ馬の性で凡走必至であるし、ゆっくり走らせると昨年の東海Sのように3着が精一杯だと考える。三連系の軸には使えるかもしれないが、筆者は普段馬連しか買わないので、思い切って消してしまおうという判断を下した。

東海S2021 京大競馬研 予想印
◎ダノンスプレンダー
○ハヤヤッコ
▲タイキフェルヴール
△オーヴェルニュ
消インティ

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。

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