3勝目で賞金1億円突破
8打差を大逆転―。「スマイル・シンデレラ」の愛称で、人気と勢いが止まらない女子ゴルフ界の新星、渋野日向子がまたも快挙を達成した。
9月22日、愛知県美浜町の新南愛知CCで行われたデサント東海クラシックの最終ラウンドで、8バーディー、ボギーなしの64(自己ベスト)をマーク。通算13アンダーの203に伸ばし、ツアー史上2番目の記録となる8打差の20位から逆転優勝を成し遂げた。
8月のAIG全英女子オープンで日本勢42年ぶり2人目のメジャー制覇を果たして以来、7週間ぶりの勝利。5月の初制覇から国内ツアー通算3勝目で賞金1440万円を獲得し、今季獲得賞金が早くも1億円を突破した。史上最年少賞金女王も見えてきた形だ。
2打差の2位は上田桃子、浜田茉優と申ジエ、李知姫の韓国勢、テレサ・ルー(台湾)が入った。
圧巻のチップイン
V圏外からスタートした渋野の猛チャージは誰にも止められなかった。4番で8メートルをねじこんだのを皮切りに前半だけで四つ伸ばした。15番パー5で2オン2パットのバーディーを決めて首位タイに浮上すると、最大の見せ場が訪れる。
16番パー3。グリーンを外したが、難しい逆目の左ラフからの15ヤード。ウエッジで打ったアプローチは、完璧なタッチで単独トップに抜け出す圧巻のチップインバーディーとなり、大歓声の中で「シブコ・スマイル」と力強いガッツポーズを繰り出した。
平均バーディー数1位
爆発力を呼び込む底力はデータも証明している。今季の1ラウンド当たりの平均バーディー数は3.9067でトップ。
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攻めのショットだけでなく、グリーン上の安定感も光り、パーオンしたホールの平均パット数は1.7588で申ジエに次いで2位につける。最近は持ち味の強気のパットが完調とまでいえない状態だったが、土壇場での勝負強さは健在だった。
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この日は天も味方した。ホールアウト後に風雨が強まり、上位勢が伸び悩んだ。まさに「持っている人」は違うということも証明してみせた。
最年少賞金女王も視界
昨夏のプロテスト合格からまだ1年余りで、昨季までツアー賞金は0円。今季獲得賞金が23戦目で1億円を突破した渋野は22日で20歳311日。日本女子ツアーでは2004年11月、19歳だった宮里藍が大台に乗せたのがシーズン1億円到達の最年少記録で、これに次ぐ到達となった。男子では08年に石川遼が17歳で1億631万円強を稼いだのが最年少だ。
23日付最新世界ランキングも発表され、渋野は前週から三つ上がり、自己最高を一つ更新する11位となった。注目されることで心身の葛藤もあるが、スマイルを取り戻した全英女王。今季ツアーは残り10戦。トップの申ジエ(韓国)とは約1千万円差に迫り、1試合で逆転可能な僅差でもある。次の目標は「賞金女王」と堂々と宣言した。
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