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寄せワン率を上げる アプローチショットが上達するラウンドの2つの心得【ゴルフハウツー】

2022 6/14 06:00akira yasu
イメージ画像,ⒸIam_Anuphone/Shutterstock.com
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寄せワン率

グリーンまわりからは、寄せて1打で上がる寄せワンが増えるとスコアメイクしやすくなる。寄せワンを増やすためにはパットだけでなく、アプローチショットが重要だ。

ツアー選手はグリーンまわりから、いとも簡単にピンに寄せているイメージを持っているゴルファーは多いのではないだろうか。実際、ツアー選手の寄せワン率は高い。ピンまで20ヤードのアプローチショットの寄せワン率は、フェアウェイで63%、ラフで47%、30ヤードの場合はフェアウェイで52%、ラフで37%となっている。

2つの心得

一般ゴルファーがツアー選手の寄せワン率に近づけるためには、より良い打ち方を覚えるための反復練習だけでなく、コースラウンドの仕方も重要になる。スコアメイク優先でプレーするラウンドと、スコアよりも練習の度合いを強めたラウンドとを分けて考える必要がある。例えば、コンペや競技などではスコアメイク優先、普通のプライベートラウンドでは練習の度合いを強める、といった具合だ。

アプローチショット上達のためには、練習要素を強めるラウンドを設ける必要があるが、その際の心得を二つ挙げたい。

1つ目が「グリーン外からパターを使わない」だ。ショートアプローチではグリーンに乗っていなくてもパターを使うゴルファーは少なくない。芝がきれいに刈られているグリーンエッジからは多くのゴルファーはパターを使うのではないだろうか。

スコアメイク優先であれば、このパター多用は有効かもしれないが、パターに頼り続けていてはアプローチショットの上達は加速しない。それは、その後のスコアアップの足止めを意味する。

パターの選択が無難であったとしても、パター以外でのアプローチショットをすることは、良い練習になり、それを積み重ねることでアプローチショットのスキルが向上しやすくなる。本グリーンに向かって打つアプローチは、実際のラウンドでしか経験できない貴重なものだ。一方、パットは本グリーンと同程度のコンディションになっているパッティング(練習)グリーンを活用すれば上達に向けた練習ができる。

グリーン外からは、パターを選択するよりもパター以外を選択する方が、次以降のラウンドにつながる1打となるのだ。

2つ目はピンの狙い方だ。スコアメイク優先の狙い方と、練習の度合いを強める場合の狙い方は異なる。

スコアメイク優先の場合は、ピンを狙うことよりもバンカーや池などのハザードは避けるといったリスク回避を優先する。対して、練習の度合いを強める場合は、リスクを背負い果敢にピンを狙うのだ。

果敢にピンを狙えば、難しいアプローチが残ることが増える。池に入れば、次のショットは中途半端な距離のアプローチが残ったりする。こういった様々なアプローチショットの経験を積むことが、結果的に質の高い練習になり対応力が磨かれていく。

難しいセッティングへの対応

男子国内メジャー、日本ゴルフツアー選手権が6月2日から5日に、宍戸ヒルズカントリークラブ西コースで開催された。優勝したのは比嘉一貴で今季2勝目。賞金ランキングトップに躍り出た。

比嘉の今季の飛躍を支えているのが、ショートゲームの成長。リカバリー率が昨シーズンまでと比べて向上している。今回の日本ゴルフツアー選手権で最終日に2つ取ったイーグルの内の1つ目はチップインイーグルだった。

比嘉は小柄で、ドライビングディスタンスが46位(286.71ヤード・6月12日時点)と飛距離が出る方ではないが、攻撃的なゴルフを展開する。距離が残り、大きい番手を使わざるを得ない状況でもピンを攻めるのだ。

そのようなプレースタイルは、難しいアプローチショットを強いられることが増える。難しい状況はスコアを悪くすることが増える一方で、それが良い経験となり成長のきっかけになる側面もある。比嘉は、昨季までの経験を見事に今季の好成績につなげているのだ。

比嘉一貴のリカバリー率,ⒸSPAIA


ラウンドの臨み方を工夫

上達のためには、普段の練習場での練習の仕方だけではなく、コースラウンドの仕方もポイントになる。

アプローチショットの上達のためには、グリーンまわりからはパター以外のクラブを使いたい。そして、ピンを狙うことはリスクしかないような状況でも、場合によってはピンを狙ってみることを検討したい。

貴重なコースラウンドでは、普段の練習の成果をスコアで表したいものだ。しかし、上達のためには全てのラウンドでスコアメイクを最優先にするのではなく、適度にスコアを度外視して、練習の度合いを強めたラウンドの日を設けることをおすすめしたい。その方が、結果的にベストスコア更新が近づくはずだ。

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