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【ゴルフ】女子選手が長く活躍するために必要なこと ポイントは右脳と左脳

2022 1/18 06:00akira yasu
女子プロゴルファーの横峯さくら,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

自分で打開する力

女子選手が長く活躍するのは難しいようだ。未来を嘱望されていながら結果を残せなかったり、長くトップレベルで活躍できる期待をかけられながら短命で終わる選手は少なくない。男子選手にも言えることだが、その割合は女子の方が高く感じる。

年齢的な部分での体の変化への対応や体調の管理の難しさもあるようだが、技術的な部分でも活躍期間を短くしている可能性がある。

日本ツアー通算10勝、米ツアー3勝。リオと東京オリンピックで男子日本代表のヘッドコーチをつとめた丸山茂樹は、短命で終わる女子選手について「自分で自分自身を修正できる術がない」と語っている。

女子選手が長く活躍するためにはどのようなことが必要なのだろうか。

右脳思考傾向の女子

米ツアーを主戦場にしていた2009年日本女子ツアー賞金女王の横峯さくらは今季、日本ツアーに本格復帰し、永久シード獲得を目指して戦う。現在23勝しており、永久シードまではあと7勝だ。

その横峯は2009年のスイングに戻そうとしている。しかし、なかなかうまくことが進まないようだ。その理由の一つが、ずっと感覚だけでゴルフをしてきたから昔の自分がどういうスイングをしていたのかが分からない、というもの。

基本的に女性は“右脳思考”傾向と言われており、右脳は論理的に説明できない(言語化できない)感覚や勘が優れている。横峯もこれに当てはまるのかもしれない。

横峯はジュニア期に、父親自ら山林を拓いて作った練習場で、豊富な練習量をこなすことで力をつけた。足に大けがをした時は、椅子に座ってボールを打っていたほど、がむしゃらに練習をしていた。

おそらく理論的に理解している部分が少ないまま、クラブがボールに力を伝えるスイングを体が覚えていったのだろう。これは勢いがある時は良くても、いろいろな問題が出てきた時の対応が難しくなりやすい。

ジャンボもガレスも重要性を説く「考える力」

2月にジャンボ尾崎ゴルフアカデミーのセレクションが開催される。未勝利ながら賞金ランキング4位に入った西郷真央は、このアカデミー出身。黄金世代で通算4勝の原英莉花は、ジャンボ尾崎の一番弟子的な存在だ。

セレクションで選ばれた選手は第二の西郷や原を目指し、ジャンボイズムを注入されることになるのだが、ジャンボは細やかな指導はしないようだ。「大事なことだけを伝えてあとは自分で考えさせる」というスタンスらしい。

日本ゴルフ協会ナショナルチームヘッドコーチのガレス・ジョーンズ氏も選手たちに考える力の重要性を説いている。オプションを提示したら「あなたはどうしますか?」と選手たちに問うようだ。

盲目的に指導者の意見を聞き入れるのではなく、考えることが選手の血肉になるのだろう。

感性を活かすための論理的思考力

女性と反対に男性は“左脳思考”傾向とされる。理論的に考え動かすのが左脳思考で、ゴルフで言えば、スイング理論などを吸収し生かそうとする。松山英樹や石川遼のスイング作りや取り組みを見れば分かるだろう。

しかし、右脳思考よりも左脳思考の方が良いというわけではない。左脳思考の場合深みにはまって結果的に成長がストップしてしまったり、迷路にはまってわからなくなったりすることがある。

横峯の独特のオーバースイングは、左脳思考であればどこかで修正したはずだ。右脳で感じたものを信じてオーバースイングのままでいたことで、賞金女王になり、永久シードを狙えるところまできたのだろう。

理想は左脳と右脳の融合。右脳に響くものに触れる、それを左脳で理論的に分析する。そして、納得いく分析ができたものを実践する。

期待されながら短命で終わった選手は、あらゆる場面で、左脳で理論的に分析する、というフローが抜けている、もしくは浅い可能性が考えられる。

ジュニア期に横峯のような環境と練習量があれば、右脳思考で行くところまで行ってその貯金でその後も選手としてやっていく、ということも可能かもしれないが、ほとんどの選手にとってそれは難しい。

長くプロの舞台で活躍するためには、早い段階から、ほどよく左脳を使ってゴルフと向き合う習慣が必要なのではないだろうか。

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