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フィギュアスケート男子で羽生結弦のバトン受け継ぐ次世代は多士済々

2022 8/11 06:00田村崇仁
友野一希,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

「進化」テーマに世界王者の宇野昌磨と北京五輪銀の鍵山優真

フィギュアスケート男子の新シーズンがいよいよ本格化する。2014年ソチ、2018年平昌両冬季五輪王者の羽生結弦が7月19日に競技会から「卒業」し、プロ転向を表明。今季はバトンを受け継ぐ次世代の躍進がさらに期待される。

昨季の世界選手権を初制覇した24歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)は高難度の4回転ルッツ習得へさらなる「進化」を掲げ、新たなショートプログラム(SP)のブルースギター曲「Gravity(グラビティー)」(重力)に意欲を示す。新フリーはバッハの「G線上のアリア」と公表しており、今季のグランプリ(GP)シリーズは第2戦のスケートカナダ(10月28~30日・ミシソーガ)、第5戦のNHK杯(11月18~20日・札幌)に決まった。

2月の北京冬季五輪銀メダリスト、19歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)は自身のSNSに「羽生選手 現役生活お疲れさまでした。挑戦し続ける姿勢は自分が最も学んだことの一つです!」と投稿。クラシック調の音楽で滑る今季のフリーで4回転ジャンプは新たにルッツを組み込み、4種類計5度跳ぶ構成に挑む意気込みだ。

GPシリーズは第1戦のスケートアメリカ(10月21~23日・ノーウッド)、第3戦のフランス大会(11月4~6日・アンジェ)にそれぞれエントリーした。

再起懸けるジュニアGP覇者の佐藤駿

2019年ジュニア・グランプリ(GP)ファイナル覇者で18歳の佐藤駿(明大)は近年けがに悩まされてきたが、持ち味の4回転ジャンプを武器に表現力やスケーティングも磨いて再起を懸ける。同じ仙台市出身で憧れの羽生結弦がプロに転向し、背中を追いかける思いは人一倍だろう。

2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪出場を目指し、11月11~13日の英国大会(シェフィールド)と11月25~27日のフィンランド大会(エスポー)に復活への一歩として出場を予定する。

壷井達也は4月の世界ジュニア銅メダル

次世代の台頭で期待されるのは4月の世界ジュニア選手権(タリン)で合計233.82点の自己ベストで銅メダルを獲得した19歳の壷井達也(シスメックス)だろう。この大会で優勝したのが17歳の超新星イリア・マリニン(米国)。前人未到の超大技、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を練習中に跳んで話題になった逸材だ。

2018年全日本ジュニア選手権王者の壷井は国立の神戸大国際人間科学部2年に在籍し、今季から待望の本格シニアデビューを果たす「文武両道」のスケーターでもある。GPシリーズは佐藤駿と同じで、11月11~13日の英国大会(シェフィールド)と11月25~27日のフィンランド大会(エスポー)に名を連ねた。

友野一希「羽生選手は永遠の憧れ」

24歳の友野一希は羽生結弦の競技卒業を受け、自身のツイッターに「羽生選手は僕にとって競技者として心から尊敬する存在であり、これからも永遠の憧れです」と思いをつづった選手の一人。昨季はGPシリーズ第6戦、ロシア杯で3位と健闘し、四大陸選手権でも2位となった。

補欠から繰り上がり出場した世界選手権はSPで2種類の4回転ジャンプを決めて3位につける奮闘を見せたが、フリーで順位を落として6位だった。 今季のGPシリーズは11月のフランス杯とNHK杯に出場。「今シーズンも自分らしさ全開で頑張ります」と日本スケート連盟の公式サイトでコメントした通り、さらなる飛躍を期している。

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