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17歳鍵山優真、北京冬季五輪へ4回転4種類に挑む父譲りの実力

2021 3/31 11:00田村崇仁
鍵山優真Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

世界選手権は初出場で2位と大健闘

フィギュアスケートの世界選手権で一躍脚光を浴びたのは、初出場の17歳で銀メダルと大健闘した鍵山優真(神奈川・星槎国際高横浜)だった。

3月27日にストックホルムで行われた最終日。男子ショートプログラム(SP)で2位につけたホープは2種類計3度の4回転ジャンプに成功したフリーも2位となり、合計291.77点で冬季五輪2連覇中のエース羽生結弦(ANA)を上回って2位に入った。

同じ17歳での初出場で銅メダルだった2012年大会の羽生を上回る堂々の銀メダル。SP3位のネイサン・チェン(米国)がフリー1位で逆転し、合計320.88点で3連覇を達成した。

フィギュアスケート世界選手権男子最終成績

技術点が証明する4回転ジャンプの完成度

勝負の演目は名振付師ローリー・ニコルさんが手掛けた映画「アバター」の世界観。フリーの得点を待つ「キス・アンド・クライ」で190.81点をたたき出して表彰台が決まると、鍵山は無邪気なガッツポーズで喜びを爆発させた。

SPに続いて自己ベストを大幅に更新。特に前半はトーループとサルコーの4回転ジャンプで精度の高さが光り、トーループではGOE(出来栄え点)3.53点を引き出すなど、加点を重ねて技術点でもチェンに次ぐ2位と高評価だった。

演技後半のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)など二つのジャンプで乱れたが、ステップ、スピンも全て最高難度のレベル4を獲得。演技直後のテレビインタビューでは「表彰台に向けて練習してきた努力が実った。自分が出せる実力は全部出し切ったと思う。スピンもステップも一つ一つ丁寧にやれた」と落ち着いた表情で振り返った。

圧巻SPは「鬼門」クリアで衝撃デビュー

SPでも光ったのは安定感と完成度の高さだ。アジアの民族衣装をイメージしたというコスチュームを新調し、冒頭の4回転サルコー―3回転トーループの連続ジャンプを完璧に決めると、続く4回転トーループも成功。自ら「鬼門」と表現する最後のトリプルアクセルも着氷し、ほぼ完璧な演技で自身初の100点超えで100.96点をマークした。ハイテンポなSP「ボーカッション」の世界観を表現力豊かに表現し、圧巻の内容で衝撃的な世界選手権デビューを飾った。

テレビインタビューでは「とにかくノーミスを一番の目標にしてきた。100点という点数が付いてきたのですごくよかった」と総括。前回はスタンドから世界選手権を観戦してレベルの高さに圧倒され「自分はシニアにしばらく上がれないんじゃないかと思っていた。でも生で見たからこそ、モチベーションが高まり、この舞台で努力が実った」。

父の正和さんとは「鬼門のトリプルアクセルが少し怖かったなという話をした。4回転より多少ミスが出るジャンプなのでとりあえず良かったということで」と笑った。ステップ、スピンもレベル4を獲得し「脚を落ち着かせて、しっかりステップを一つ一つ踏むことができた。今日の自分をすごく褒めたい」と高校2年生とは思えない冷静さも漂わせた。

冬季五輪に2度出場の父と二人三脚

1992年アルベールビル、1994年リレハンメル冬季五輪に2度出場したコーチで父の正和氏との二人三脚。羽生や宇野昌磨(トヨタ自動車)という二枚看板の背中を追う鍵山はフィギュアスケート界のサラブレッドでもある。

5歳で競技を始め、その武器は基礎から教えてもらった父譲りの着氷が滑らかなジャンプとエッジワーク。160センチと小柄だが、柔らかい膝を生かしたスピンやステップ、豊かな表現力も進化途中の万能型だ。

2020年1月には原則15~18歳が対象の第3回冬季ユース五輪(スイス)で金メダル。2種類の4回転ジャンプを跳ぶ今季は2020年11月のNHK杯で初優勝した。12月の全日本選手権で2年連続3位となり、羽生、宇野に次ぐ存在へと成長を印象付けた。

北京冬季五輪はルッツとループの4回転も

来年の北京冬季五輪へ4回転ジャンプで取り組む意向を示したルッツ、ループも加われば、4回転4種類で表彰台を狙える実力は十分にあるだろう。

安定感が光るジャンプは、父との二人三脚でスピードや呼吸の合わせ方まで入念な練習を積んできた成果だ。それでもここで満足して立ち止まるつもりはない。すでにループの練習を始めており、チェンや羽生ら世界のトップと互角に渡り合うために「進化」の必要性も感じている。

夢は「五輪での金メダル」。父が果たせなかった五輪の表彰台、そしてその中央に立つために二人三脚でこれからも突き進む。

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