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村田諒太が対戦熱望したゴロフキンはアルバレス戦以外眼中になし?

2019 6/22 06:00岩藤健
ゲンナジー・ゴロフキンⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

元絶対王者が9カ月ぶりの再起戦で豪快KO勝利

カザフスタンの産んだ偉大なボクサーが6月8日に再起戦で勝利した。昨年9月のサウル・カネロ・アルバレス戦に敗れ8年ぶりに無冠となった元世界ミドル級3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキンが、王座返り咲きに向け最初の一歩を踏み出した。

対戦相手のスティーブ・ロールスは19戦全勝(10KO)と言っても世界的には無名。順当にいけばゴロフキンの勝ちっぷりを見る一戦だったが、ボクシングファンは一抹の不安も抱いていた。前週に無敗の世界ヘビー級3団体統一王者アンソニー・ジョシュアが、伏兵アンディ・ルイス・ジュニアに4度のダウンを奪われ王座陥落したからだ。

中量級以上の試合では、一発のパンチで試合の展開が変わってしまう。37歳になったゴロフキンに年齢からくる衰えはないか、9カ月ぶりの試合で勘は鈍っていないかという不安要素も確かにあった。

しかし、そうしたファンの心配が杞憂であったことをゴロフキンはリング上で示した。久しぶりの試合で序盤こそ攻めあぐねたが、第3ラウンドから顔面だけでなくボディにもパンチを散らし、上下の打ち分けでロールスを追い詰めていく。

そして第4ラウンド、ロールスをロープに詰めると左が炸裂。ダウンしたロールスは立ち上がろうとするも足に力が入らず、ロープに倒れ込んだところでレフェリーが試合を止めた。ゴロフキンの戦績は39勝(35KO)1敗1分けとなった。

村田諒太も対戦を熱望したゴロフキン

2010年8月にWBA世界ミドル級王座を獲得してから、ゴロフキンは連続19度の防衛に成功した。その間にはウイルフレド・ゴメスに並ぶ世界戦17連続KO防衛の最多タイ記録も打ち立てた。

前WBA世界ミドル級王者の村田諒太も「対戦したい相手」にゴロフキンを挙げている。公式サイトに掲載されているコラムでは、ゴロフキンを「男の中の男」と称え、彼に勝てれば「自分自身を認めてやれる」と熱い想いを綴る。

村田がWBA正規王者、ゴロフキンがWBAスーパー王者だった2018年夏ごろには、この2人が対戦するプランもあった。実現の期待も込めて「2019年に東京ドームで村田対ゴロフキン」の文字が踊る誌面もあった。

だが、ゴロフキンがアルバレスに、村田がロブ・ブラントに、共に敗れベルトを失ったことで東京ドーム決戦は消滅。再び対戦の扉を開くには、村田がブラントとの再戦(7月12日)で強い勝ち方をし、ベルトを奪回する必要がある。

ゴロフキンはアルバレスとの9月再戦を目指す

ゴロフキンはアルバレスと再戦し、失ったタイトルを取り戻すことに執念を燃やしている。過去2度の対戦もゴロフキンは自分が勝ったと主張しており、プロキャリア41戦のうち唯一アルバレスに喫した1分け1敗という結果に納得がいっていないようだ。

アルバレスは5月4日にIBF世界ミドル級王者のダニエル・ジェイコブスを下し、保持していたWBA世界ミドル級スーパー王座、WBC世界ミドル級王座と合わせて3団体統一王者になったが、この試合後にゴロフキンはTwitterで「退屈なスパーリング。心を動かされるものがなかった」と酷評した。

ロールス戦後のリングインタビューでは、アルバレスの年間スケジュールに合わせて「9月に戦う準備がある」と発言しており、目下の関心事はアルバレスの首ひとつといった様子。

ゴロフキンが目指すアルバレスとの第3戦が9月に実現するか、世界中のボクシングファンが注目している。