世界フェザー級1位まで上り詰めた父・杉谷満
プロ野球の日本ハムで活躍した杉谷拳士が2022年限りで引退した。今後は会社を立ち上げ、多角的に取り組んでいくことを自身のSNSで明かしている。プロ野球選手の引退後としては珍しい進路だが、帝京高の先輩でもある「とんねるず」石橋貴明らと出演している「リアル野球BAN」で見せる明るいキャラクターで新境地を切り開いてくれるだろう。
杉谷の父親が元ボクサーだったことは意外に知られていない。父・満は北海道出身で協栄ジムからプロデビュー。1986年2月に日本フェザー級王者となり、2度王座から陥落したが、そのたびにベルトを奪回した。
防衛を重ねるうち、フェザー級では屈指のハードパンチャーとして世界ランキングも上昇。ついにWBAフェザー級1位まで上り詰め、1989年3月にWBA世界フェザー級王者アントニオ・エスパラゴサ(ベネズエラ)に挑んだ。
当時26勝(25KO)を誇った強打の王者にひるむことなく前進した杉谷は、4回に右クロスカウンターをクリーンヒット。王者をぐらつかせて川崎市体育館を埋めたファンを大いに沸かせたが、10回にエスパラゴサの右を浴びて力尽きた。
4か月後の7月17日、再起戦で格下の植田龍太郎に7回KO負けして引退。28勝(21KO)5敗の戦績が示す通り、勝つも負けるもノックアウトが多く、低迷していた当時の日本ボクシング界を牽引した人気選手だった。