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杉谷拳士の父・杉谷満の現役ボクサー時代、「拳」に込めた情熱と夢

イメージ画像,ⒸBudiman B Daud/Shutterstock.com
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世界フェザー級1位まで上り詰めた父・杉谷満

プロ野球の日本ハムで活躍した杉谷拳士が2022年限りで引退した。今後は会社を立ち上げ、多角的に取り組んでいくことを自身のSNSで明かしている。プロ野球選手の引退後としては珍しい進路だが、帝京高の先輩でもある「とんねるず」石橋貴明らと出演している「リアル野球BAN」で見せる明るいキャラクターで新境地を切り開いてくれるだろう。

杉谷の父親が元ボクサーだったことは意外に知られていない。父・満は北海道出身で協栄ジムからプロデビュー。1986年2月に日本フェザー級王者となり、2度王座から陥落したが、そのたびにベルトを奪回した。

防衛を重ねるうち、フェザー級では屈指のハードパンチャーとして世界ランキングも上昇。ついにWBAフェザー級1位まで上り詰め、1989年3月にWBA世界フェザー級王者アントニオ・エスパラゴサ(ベネズエラ)に挑んだ。

当時26勝(25KO)を誇った強打の王者にひるむことなく前進した杉谷は、4回に右クロスカウンターをクリーンヒット。王者をぐらつかせて川崎市体育館を埋めたファンを大いに沸かせたが、10回にエスパラゴサの右を浴びて力尽きた。

4か月後の7月17日、再起戦で格下の植田龍太郎に7回KO負けして引退。28勝(21KO)5敗の戦績が示す通り、勝つも負けるもノックアウトが多く、低迷していた当時の日本ボクシング界を牽引した人気選手だった。

プロで777試合に出場した息子・杉谷拳士

杉谷満の次男として誕生した拳士は、小学生時代から野球ひと筋。帝京高時代は甲子園に春夏通算3度出場し、高校通算25本塁打をマークした。

2008年ドラフト6位で日本ハムに入団すると、2019年5月23日の楽天戦で左右両打席本塁打を放つなどスイッチヒッターとして活躍。引退までに通算777試合出場、288安打、16本塁打、104打点、50盗塁をマークした。

父親が「拳士」という名前に込めた思いは分からない。ただ、進んだ道は違うとはいえ、同じプロスポーツ選手として活躍し、ファンの記憶に刻まれた点では共通している。これ以上の親孝行があるだろうか。第二の人生に羽ばたく杉谷拳士に、心からエールを送りたい。

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