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井上尚弥がモロニー戦で樹立する新記録とは?過去の日豪対決は苦戦?

井上尚弥Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

10月31日にラスベガスで1年ぶりリング

日本ボクシング史上最強の呼び声高いWBA・IBF世界バンタム級王者の井上尚弥が、ようやくリングに復帰する。10月31日(日本時間11月1日)、ボクシングの本場、アメリカ・ラスベガスのMGMグランドで、WBA2位、IBF4位のジェイソン・モロニー(オーストラリア)を迎え撃つ。

WBAスーパー王座が4度目、IBF王座が2度目の防衛戦。井上にとって、昨年11月7日にノニト・ドネア(フィリピン)に判定勝ちして以来、約1年ぶりのリングとなる。

モロニーはWBOでは1位にランクされる正統派のボクサーファイター。2018年5月には元WBAスーパーフライ級王者・河野公平に6回終了TKO勝ちするなど、21勝(18KO)1敗の戦績を誇る。

唯一の敗北は、井上が優勝したWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)バンタム級1回戦で、IBF世界バンタム級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に判定負けしたもの。その後、再起して4連勝中だ。

ファイティング原田が敗れたローズとファメションは豪州人

オーストラリアで世界的に有名なボクサーはそれほど多くないが、日本と同じOPBF(東洋太平洋ボクシング連盟)に所属していることもあり、馴染みのある国だ。過去の日豪対決では苦汁をなめることが多かった。

フライ級、バンタム級で2階級制覇したファイティング原田は、1968年2月のバンタム級5度目の防衛戦でオーストラリアのライオネル・ローズに判定負けで王座陥落。さらにその後、3階級制覇を狙って挑戦した世界フェザー級王者のジョニー・ファメションもオーストラリア人だった。

1969年にシドニーで行われたファメション戦では、3度のダウンを奪いながら露骨な地元判定で敗れ、翌1970年1月に東京で行われた再戦では14回KO負け。この一戦を最後に原田は引退した。

また、元IBF世界バンタム級王者の新垣諭が1985年4月に9回KOで敗れたジェフ・フェネックはオーストラリアの英雄。フェネックはその後、スーパーバンタム級とフェザー級王座も奪って3階級制覇を達成した。

勝てば具志堅用高を上回る世界戦15連勝

どちらかと言うと、日本選手が引き立て役に回ることの多かった「日豪対決」だが、今回ばかりは役者が違う。

アメリカで最も権威のあるボクシング誌「ザ・リング」では、全階級の選手を同一体重と仮定したパウンド・フォー・パウンド(PFP)で井上を2位にランクした。世界ミドル級、スーパーミドル級王者のサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)に次ぐ実力を持つ日本の「モンスター」が、モロニーに負けるシーンは想像しにくい。順当なら中盤以降のKO勝ちだろう。

さて、今回の復帰戦で井上が勝てば世界戦15連勝となり、日本選手で単独トップに立つ。

日本選手の世界戦連勝ランキング


現在、14連勝でWBA世界ライトフライ級王座を13度防衛した具志堅用高に並んでおり、井上にとっては名実ともに「日本ボクシング史上最強」と呼ぶにふさわしい記録となる。

また世界戦の勝利数でも15勝目となり、1位の井岡一翔に次いで単独2位に浮上。KO勝ちなら世界戦13回目となり、2位の内山高志に3差をつけて断トツのトップだ。

ラスベガスのMGMグランドは、これまでフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオら世界のビッグネームが戦ってきた聖地。ハロウィンのアメリカで、井上が世界トップクラスの実力を見せつける。

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