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新人王は富山・前田がリード、6thマンは大阪・橋本が最右翼 各アワード受賞者の行方は?【Bリーグ】

2020 3/12 11:00ヨシモトカズキ
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新人王争いは富山・前田がリード

新型コロナウィルスの影響で2月末から試合の延期が続いているBリーグ。シーズン終盤に思わぬ形で水を差されてしまったが、ここまでのシーズンを振り返りMVPを除く各アワード受賞の候補選手を考えてみる。

まずは新人王。クラブの順位はそこまで関係ないこのタイトル、昨季はチャンピオンシップ不出場のシーホース三河から#2岡田侑大が選ばれた。背景には強豪クラブに所属している若手が十分なプレータイムを得ていないことがあり、比較的プレータイムが確保されやすい中位〜下位クラブから選出される可能性が高い。

その中で今季の最右翼として挙げられるのが、富山グラウジーズ#13前田悟だ。シューターの大塚裕土が川崎ブレイブサンダースに移籍をしたことでその椅子を射止めると、序盤から高確率のシュートでチームを救ってきた。試合を重ねるごとに相手のマークが厳しくなる状況でも大きな数字の下降はなく、ルーキーながら日本人(帰化・特別指定選手は除く)9位となる平均11.4得点は立派だ。

前田以外の選手では京都ハンナリーズでスタートを務める#6中村太地、高いシュート力を持つレバンガ北海道#7中野司が挙げられるが、前田の数字には及ばない。富山自体はチャンピオンシップに出場した昨季に比べて成績が下降しているものの、前田の正確無比なシュートでこれから訪れるであろうチームの窮地を救いたい。

ベンチ出場からインパクトを残す好調・大阪の橋本が最右翼

主にベンチからの出場で「流れを変える役割」を担う6thマンは、強豪クラブほどしっかりと成績を残している選手が多い。実際、過去3年で受賞選手を輩出したクラブは勝率が7割を超えている。

しかし、今季は勝率7割を超えるクラブは頻繁にスタメンを変え、加えて数字で圧倒できるリザーブが少ない傾向がある。毎年候補に挙げられている川崎#0藤井祐眞は、#7篠山竜青の負傷に伴いスタメン出場が増加。今後もスタメン出場が増える可能性があり、候補からは漏れてしまう。

また、チーム勝率が6割以下ではあるが、琉球ゴールデンキングス#3並里成も今季序盤は控えから得点とアシストを多く記録。だが、藤田弘輝ヘッドコーチに代わってからはスタメン出場が増え、藤井同様に条件から外れてしまう可能性が高い。

そうした中で受賞の可能性があるのは、大阪エヴェッサ#14橋本拓哉だ。今季好調の大阪を支える原動力で、得点で大きな貢献をしている。スタメン出場は3試合ながら、平均出場時間は25.54とチームに所属する日本人選手の中で最も長く、平均10得点を記録。シーズン中盤以降は調子の波が小さくなり、外国籍選手に次ぐ得点源になっている。現状ベンチからの出場が多い選手の中で数字的に橋本の右に出るものはおらず、受賞が有力だ。

国内最高峰の万能選手のA東京・田中 今季はベストディフェンダーになれるか?

一方、現在のBリーグのデータ量では、ベストディフェンダーにふさわしい選手を数字として選出することは難しい。実際これまでの受賞者を見ると、数字では測れない“印象”で選ばれているケースが多い。

2度受賞している宇都宮ブレックス#9遠藤祐亮も、一昨季選出されたレバンガ北海道#0橋本竜馬も、特筆すべき数字を残していたわけでなかったが、相手に植え付ける“嫌な印象”が強い選手であった。そうした背景を考えると、今季こそアルバルク東京の#24田中大貴が受賞すべきだと筆者は考える。

A東京は組織的なバスケットで、昨季同様今季も平均失点が70点を下回っている。その中心にいるのは田中で、オールラウンドかつ華麗なオフェンスに注目されがちだが、A東京のみならず日本代表でも各国のエースと対峙してきたディフェンス力を誇る。脚力を生かした粘り強いディフェンスには定評があり、これまで候補に挙がっていないのが不思議なくらいディフェンスにおいては過小評価されている。国内No.1のツーウェイプレーヤーで、A東京の3連覇に向けて攻守でチームを引っ張っている。