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【Bリーグ第16節】SR渋谷が事前準備と綿密なタイムシェアで横浜に勝利し4連勝

サンロッカーズ渋谷のセバスチャン・サイズⒸマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【GAME2】SR渋谷・ケリーが1Qだけで2度のバスケットカウントを炸裂し横浜を下す

12月は4連敗を喫するなど、チーム状態もやや下降線をたどったSR渋谷。しかし、前節の名古屋D戦で連勝とすると、今節の対戦相手である横浜に対し、GAME1では前線からのプレッシャーとセカンドチャンスからの得点で勝利を飾った。SR渋谷はGAME2も勝利して4連勝となったのか。

出だしから両チームとも決め手を欠いていたが、横浜に個人ファウルが重なってSR渋谷のペースとなっていく。3-2とリードしたSR渋谷は#9ベンドラメ礼生がスティールから一気にフロントコートに向かって走り、#32山内盛久を経由して#2セバスチャン・サイズがシュートの体勢に持ち込む。シュートは決まらなかったものの、ファウルで獲得したフリースローを2本きっちり決めて5-2とする。その後、ディフェンスリバウンドから速攻に持ち込んで#32ライアン・ケリーがバスケットカウントを成功。サイズのダンクを挟んで、再びケリーがバスケットカウントを炸裂させて一気に12-4とした。タイムアウトを挟んで、横浜にゾーンディフェンスを敷かれるが、ケリーがセカンドチャンスで得点すると#44盛實海翔が3pを沈めて18-6とし、リードを12点とした。横浜も#45ウィリアム・マクドナルドのポストアップ、#00ジェームズ・サザランドのドライブから得点で巻き返しを図るが、SR渋谷はサイズがオフェンスリバウンドからシュートを決め、終盤には#24広瀬健太からコーナーでパスを受けた盛實が3pを入れて、26-10として1Qを終える。

2Qに入ってもゾーンディフェンスを敷く横浜に対して、SR渋谷は#27石井講祐が3pを沈めて、廣瀬もファストブレイクと3pを決めて36-13とし23点差とした。これ以上離されたくない横浜に、前半最後のタイムアウトをコールされるが、SR渋谷が21点をリードしてオフィシャルタイムアウトを迎える。タイムアウト後、マクドナルドを起点に攻撃を組み立てる横浜に追撃を許す。#46生原秀将に3pを決められるとマクドナルドにバスケットカウントも含めて5点を献上。そして、マクドナルドがSR渋谷のディフェンダー2人を引き付けて、ゴール下に入ってきたチェンバースへパスを供給し、チェンバースにシュートを決められる。42-29とされた場面でSR渋谷はタイムアウトをコールするが、生原のバックショット、チェンバースのバスケットカウントで更に点差を詰められ、45-34となり前半を折り返す。

後半、SR渋谷は山内のフローター、ケリーの3pで立ちあがりを決める。竹田に個人ファウル4回目がコールされるなど、ファウルやターンオーバーで苦しむ横浜を横目に、SR渋谷はケリーが3pを決めるなど、主導権を握る。その後もケリーを中心に得点を重ねて62-46と点差は16まで広がった。サザランドにバスケットカウントを決められて、横浜が追撃態勢を整えようとするも、点差はそれほど詰まることなく67-52とSR渋谷が15点リードして最終Qへ向かう。

4Q、SR渋谷はベンドラメが連続ファウルをコールされて流れを失いかけるが、横浜・サザランドにオフェンスファウルがコールされて難を逃れる。流れをつかみ損ねた横浜に対し、SR渋谷は盛實が3p、広瀬のバウンドパスに反応したサイズがシュートを入れて、74-54とこの日初めて点差が20点台となる。すると、ここまで無得点だったベンドラメが初得点となる3pを沈め、さらにリードは広がっていく。その後は終始SR渋谷が試合を支配し、91-69で横浜を下した。SR渋谷は年末からの連勝を4に伸ばし、9日から始まる天皇杯に臨む。一方、横浜は10連敗となった。

横浜の勢いを警戒した上で会場入りから気持ちを整えていたSR渋谷

GAME1で完勝したSR渋谷が、GAME2でも力を見せつけた。横浜はここまでディフェンスとリバウンドを武器にシーズンを過ごしてきたが、SR渋谷が横浜のお株を奪うディフェンスとリバウンドで勝利した。

GAME1で完敗した横浜にしてみればGAME2を勝ちたいため、気持ちを全面にぶつけてくるものだと思われたが、蓋を開けてみればGAME1同様にSR渋谷が出だしから試合を支配していく。

「(GAME1の)内容やスコアから、GAME2の入りがすごく難しい試合だなと思っていました」

SR渋谷を指揮する伊佐勉HCは、GAME2における横浜の勢いを警戒していた。

「GAME1のような試合で負けたチーム(横浜)は、必死になって試合に臨んでくる。僕らもそういった試合を何回も経験していたので、それをまともに受けるのではなく、しっかりやっていこうと。とにかくゲームの入りが重要で、その前のアップがもっと重要。体育館へ入ってくるときはもう用意が出来ている状態にする必要があると選手に伝えました。それを選手がしっかりやってくれて、最初に出た5人がうちのトーンをセットしてくれました」

伊佐HCは試合前のビデオセッションで選手にこう伝えていた。もちろん、このようなことは簡単なことではない。GAME1でチームとして持ち味を出し切った後から、GAME2に向かうまでの気持ちを整えることはかなり難しいことであるが、チームとしてその難関にトライしていた。それを踏まえて、GAME2は出だしから主導権を握る事が出来た。横浜が気持ちを前面に出すことを想定した上でチームとしても対策していたのだ。

だからこそ「素晴らしい入りが出来てチームの成長が見えた試合」と伊佐HCは手放しで喜ぶ。横浜に連勝して年末から連勝の数を4まで伸ばしていたが、12月は4連敗を喫し、故障者も出していた。4連勝とチームが上昇気流に乗った状況で、9日から天皇杯を迎える。2015年以来の5年ぶり2度目のタイトル獲得をこの勢いで狙いたい。

サンロッカーズ渋谷の伊佐勉HCⒸマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ

「外国籍選手のローテーションは満足しています」SR渋谷・サイズ

SR渋谷は今シーズン、タイムシェアをして選手のプレータイムをできるだけ抑えている。それは外国籍選手にもうまく適用されていた。1試合の平均プレータイムこそ、ケリーが31分19秒、サイズが31分35秒、#10チャールズ・ジャクソンが29分34秒であるが、チームとして28試合を消化したところで、ケリーが20試合、サイズとジャクソンは18試合の出場とローテーションを実施しているのだ。トータルの出場時間から、チームの試合数28を割り算すると、3選手とも概ね20分前後の平均プレータイムとなっている。

そして、今回の横浜戦に限れば、GAME1でジャクソンが7本、GAME2でサイズが6本のオフェンスリバウンドを計上している。このオフェンスリバウンドからの得点を決めないといけない場面で決めているからこそ、チームに大きなエナジーをもたらしていた。

GAME2で21得点15リバウンドと結果を残したサイズは、外国籍選手のローテーションに関して「本当に満足しています」と話す。「どんな状態でも、コートに出る時も出ない時もしっかり準備することを心掛けています。毎試合これで最後という気持ちで臨んでいます」と事前準備に怠りは無かった。そして、チームから求められているのは「リバウンド」だと認識する。

「そのために自分はこのチームにいるわけで、日々の練習や各試合でも必ず意識しています」

特にオフェンスリバウンドに関しては、チームメートの特徴を踏まえた上でポジション取りをしていた。「普段からチームメートのシュートがどのように跳ねるのか、こういうシュートの時はこういうポジショニングを取らないといけないのか、という二つの項目がある前提で、三つ目はとにかくリバウンドを取りに行く事で、その意識は大きい」とリバウンドに対してのこだわりを教えてくれた。

SR渋谷は昨年12月に負けが多くなっていたが、年末からの4連勝で苦境から脱出しつつある。「シーズンが始まる前から、チームで積み上げたことを突き詰めていくのが重要」とサイズはこれからの戦いを前にチームの課題を示した。

Bリーグ4シーズン目に入り、SR渋谷は強豪の仲間入りになりつつある。今の力が本物だと証明させるためにも、これから迎える天皇杯やリーグ戦後半で勝利を重ねる事がより一層求められる。

サンロッカーズ渋谷のセバスチャン・サイズⒸマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ