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【Bリーグ第12節】横浜の浮上を託された2人の外国籍選手、サザランドとマクドナルド

2019 12/16 16:02マンティー・チダ
横浜ビー・コルセア―ズのジェームズ・サザランドとウィリアム・マクドナルドⒸマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【GAME2】ゾーンディフェンスやターンオーバーからの速攻で追い上げムードも敗戦

横浜が王者A東京をホームに迎えた第12節。外国籍選手を入れ替えた横浜は、第10節から#00ジェームズ・サザランド、第12節GAME2では2シーズンぶりに横浜へ復帰した#45ウィリアム・マクドナルドが初出場。GAME1では、出だしからA東京にペースを掴まれ、ペイントエリアで多くの得点を許して58-78と完敗した。2pシュート決定率もA東京の60%に対し、横浜は34.1%。#15竹内譲次にドライブからの得点を何度も許し、#53アレックス・カークにはオフェンスリバウンドからダンクを叩き込まれるなど、リングに近いところで得点を重ねたA東京に対し、横浜はA東京のディフェンスに苦しみ、厳しい体勢からのシュートで落とす場面が多く見られた。そして迎えたGAME2。横浜はスタート5を入れ替えて、出だしから勝負に挑む。

横浜は立ち上がりからボールをしっかり回して、GAME2でスタート5に名を連ねた#25竹田謙が先制点を決める。A東京#3安藤誓哉に3pとドライブからのレイアップで逆転を許すが、サザランドの得点で1点差に詰めていく。すると横浜はゾーンディフェンスを敷いてA東京の得点を止めると、マクドナルドがサザランドのパスを受けてシュートを決めて勝ち越しに成功する。その後も横浜はゾーンディフェンスでA東京を抑えていたが、カークにバスケットカウントを成功されて6-8と逆転される。勝ち越しを許しても、横浜はゾーンディフェンスを続けるが、#24田中大貴のフローターを皮切りにA東京から得点を重ねられ、9-14とリードを広げられる。横浜も#10アキ・チェンバースの3p、#21田渡凌のシュートで14-18と喰い付くが、ターンオーバーから速攻を許してファウルを重ね、A東京にフリースローを献上しそれを決められる。終盤、横浜は#32エドワード・モリス、田渡がジャンパーを入れて点差を詰めていくが、18-24でA東京にリードを許して1Qを終了。

横浜ビー・コルセアーズの竹田謙Ⓒマンティー・チダ

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2Q、6点差を追いかける横浜は、田渡のフローターで幸先良くスタートするが、暫く得点が止まる。A東京もカークと田中が得点するが、大きく引き離すことはできない。残り6分1秒、田渡が3pを沈めて23-29と再び6点差と迫ったところで、横浜はゾーンディフェンスを敷く。しかし、コートに戻ったばかりのA東京・竹内に3pを入れられると、セカンドチャンスから#12ミラン・マチュワンに押しこまれ、更に竹内にリングへ強引に持ちこまれてバスケットカウントを成功され、横浜は23-36と13点ビハインドでQ後半を迎える。その後、16点までリードされた横浜だったが、田渡のフローターとマクドナルドの得点、A東京のタイムアウトを挟んで、チェンバースがスティールから走ってレイアップを決め、29-39と10点差まで戻す。結局、横浜はA東京に30-44とリードを広げられて前半を折り返す。

後半開始早々、横浜はA東京・竹内に空いたスペースを突かれてダンクを叩き込まれるが、サザランドからパスを受けた#32エドワード・モリスがシュートを決めると、マクドナルドもポストプレーから得点し、横浜に流れが傾きかける。その後もマクドナルドが連続得点でA東京に喰いつくと、竹田とチェンバースが守備でも見せ場を作る。これで追い上げ体勢としたい横浜だったが、ターンオーバーもあって得点機を作れず、A東京・安藤にレイアップを決められ、40-53と流れをものにできない。横浜は終盤を迎えるにつれて、A東京に少しずつリードを広げられ、ゾーンディフェンスも敷くが、#10ザック・バランスキーに3pを決められるなど、A東京に対して49-65として3Qを終える。

4Q、開始早々、マチュワンに2Pを許すものの、直後に横浜はマクドナルドのバスケットカウントで反撃。54-69からゾーンディフェンスを敷き、サザランドがブロックショットでシュートを止めると、チェンバースが速攻でリングに走り、フリースローを獲得。2本きっちり決めて56-69として、ペースを掴みかけるが、マクドナルドがアンスポーツマンファウルを宣告され、A東京にフリースローと攻撃権を献上。竹内にフリースローを2本決められ、その後のA東京の攻撃を何とか抑えたものの、次のポゼッションでマチュアンに3pを沈められ、竹内にもポストプレーから得点を許し、横浜はこの日初めて20点差をつけられる。横浜はサザランドの連続得点からマクドナルドのバスケットカウントで再度接近を試みるが、追い詰めることはできず、69-82でA東京に敗れた。

ベクトン負傷欠場で急遽復帰初出場のマクドナルドが26得点

横浜は王者A東京に連敗したものの、GAME2は成長が少し見えた試合だった。点差も20点から13点に抑え、特に後半はリバウンドにおいても改善ができていた。

トム・ウィスマンHCは、GAME2でスタート5を入れ替えた。横浜に復帰して初出場となった40歳のマクドナルドもスタートからの出場。「彼なりのプロフェッショナルな面が見えた」とコメントする通り、26得点7リバウンドでいきなり結果を出した。

本来ならば、GAME1同様に#7レジナルド・ベクトンを起用する予定だったが「怪我をしている足首の状況において、トレーナーから『今日はやめて欲しい』と要望があった」ことを明かし、急遽ベクトンに変わりマクドナルドの出場が決まったのだ。

横浜ビー・コルセアーズのウィリアム・マクドナルドⒸマンティー・チダ

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「GAME1の反省から、ゾーンディフェンスを試した。マクドナルドとサザランドは新しい選手で、その状況下でゾーンディフェンスをしないといけなかった。前半はリバウンドに苦しみましたが、後半はリバウンドが取れて良かった」と選手を急遽変えた中で試したゾーンディフェンスだった。

前半終了時点でわずか6得点だったマクドナルドは、後半になると見違えるような動きを見せた。「ウィスマンHCからは、最初から良い形でプレーしてほしいとありました。前半若干難しい部分がありましたが、ハーフタイムの時点で自分たちがこういうチームに対してもしっかり戦えるという自信が見えてきて、後半は良いプレーができるようになりました」と振り返る。

チームの発表によると、マクドナルドは1ヶ月間の短期契約。「とにかくどんな状況でも、自分としてはリバウンドやアシストなどでチームを助けたかった。ウィスマンHCがタイムアウト明けやハーフタイムの時にこんなプレーをして欲しいと指示があったので、その通りにやろうと考えていました」と話す。ベクトンが足首の怪我で出場が危ぶまれる中、ベテランが短期間ながら仕事人ぶりを見せられるのかも注目したい。

サザランドが昨季の経験を生かすも「まだ自分の役割が見つかっていない」

そして、マクドナルドと同じタイミングで横浜と契約を結んだサザランド。12月7日の新潟戦からベンチ登録されて、試合に出場しているが、来日は新潟戦の直前だったようだ。

サザランドは三河で昨季プレーし26試合に出場し、450得点(1試合平均17.3得点)131リバウンド(同5リバウンド)56アシスト(同2.2アシスト)を記録。新潟戦に出場経験は無いが、川崎、A東京との試合には出場していた。

「Bリーグで過去にやっていたというのは、チームとしても自分としても助けになった。A東京や新潟、川崎は三河在籍の時でもチームとして試合をやったことがありますし、どんな選手がいるのかはわかっています」

サザランドは第10節の新潟戦で今季初出場を果たすと、川崎、A東京と5試合に出場。プレータイムも平均30分以上で全て2桁得点。新潟戦のGAME1ではリバウンドも2桁でダブルダブル、A東京戦では2試合ともスタートから出場していた。

「今日負けてしまったのは嬉しくないのですが、チームとして良い方向に進んでいると感じます。とにかく選手としても勝つ為に戦う事を意識しています。新しいチームに来たという事もあって、新しいチームメートとチーム力を築いていかないといけないので、そこは難しいところです」

来日して間もない中で、過去の経験を生かしてチームにフィットしているように感じたが、サザランドは「まだ自分の役割が見つかっていない」と話す。

横浜ビー・コルセアーズのジェームズ・サザランドⒸマンティー・チダ

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「シューティングは、もちろん満足できていない。新しいプレースタイル、新しいチームにフィットしないといけない。チームの役割というのも見つけられていない。本当にパズルみたいな、チームの1ピースになるようにやっていかないといけない中で、自分のパフォーマンスには満足できていない、フィットしきれていないというのもある。しかし、チームとしてこれから良くなっていくのはわかっているし、自分のパフォーマンスも良くなっているのはわかっているので、これからも頑張りたい」

サザランドは様々な想いを感じながらも、この先に向けて良いイメージを持っているようだ。

ウィスマンHCも「フィットするまでに時間はかかる。来日したばかりで練習の時間も足りていない。これから練習をしていけば、チームに溶け込める」と時間がかかることを認めている。

「(A東京戦は)最後までアタックできましたが、あと一歩届かなった。ここまでスケジュールでもタフな状況だったが、全力で毎試合やってきた。このチームに入れたことは嬉しい。これからも戦ってどんどん良くなってプレーオフにむけて頑張っていきたい」と意欲を見せたサザランド。今後、チームメートと練習を重ねて、チームプレーに磨きが掛かれば、サザランドもより一層輝きを増す事だろう。

横浜は今シーズン開幕して、早くも外国籍選手の入れ替えに直面した。昨シーズンは外国籍選手がなかなかチームにフィットできず、何度も入れ替えをし、苦い思いをしている。チーム初のチャンピオンシップ進出を目指すためにも、サザランドがチームにより一層フィットできるかがカギになりそうだ。