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チームに与えた影響力は? 移籍選手活躍度診断 【Bリーグ】

2019 12/13 11:00ヨシモトカズキ
バスケットボールイメージ画像
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ⒸSPAIA

元千葉のスウィングマンがともに攻守の要に

Bリーグでは毎年、移籍が頻繁に行われ、今季も多くの選手が新しいクラブに活躍の場を移した。その中から特に存在が際立つ選手たちを見ていこう。

まずは奮闘続けるサンロッカーズ渋谷に移籍した#27石井講祐。昨季までは地元の千葉ジェッツに在籍し、3Pシュートとディフェンスを得意とする“3&D”として活躍した。移籍後も正確無比の3Pシュートは変わらず、成功率は44.9%と高い数字を誇る。今季のSR渋谷が3Pシュートを武器にできているのも、この石井の存在なしでは語れない。3P シュート試投数も増え、11月3日のシーホース三河戦では劇的なブザービーターを沈めた。

石井と同じく、千葉から横浜ビー・コルセアーズに巣立った#10アキ・チェンバースの活躍も光る。千葉在籍時はランニングプレーとディフェンスに精を出すハードワーカー。オフェンスで目立つ選手ではなかったが、ディフェンス強化を目指す横浜に移籍すると、ディフェンスはもちろんオフェンスでも日本人の得点源という重要な役割を担うように。

存在の大きさは数字が物語っており、平均出時間32.4分、リバウンド6.0本は日本人ではリーグ2位だ。これに加え得点は11.1と昨季から倍増。シュートの本数が増えた中でもFG%は43.0%と外角選手の中では高水準だ。

2人が抜けた千葉は今季苦しい状況だが、移籍をした2人はそれぞれのクラブで花開いている。

A東京と京都には頼もしいシューターが移籍

2連覇中のアルバルク東京は馬場雄大をアメリカに送り込んだが、それでも12勝4敗と好調。その要因は琉球ゴールデンキングスから移籍した#11須田侑太郎の活躍だ。 ディフェンスのイメージが強い須田だが、学生時代は点取り屋として名を馳せた選手。今季は全試合ベンチからの出場、かつ20分にも満たない出場時間ながらもキャリアハイとなる7.1得点を記録している。特に3Pシュートはほぼ毎試合2本決めており、確率も46.3%と高い。馬場のようなインパクトはないものの、コツコツと自らの仕事をこなしている。

一方、これまで挙げた選手とは違い、今季の移籍を機に“復活”を遂げた選手が、京都ハンナリーズを引っ張る。日本人の得点ランキングで上位の12.9得点を記録している#16松井啓十郎はここ数年不遇のシーズンを過ごしていた。常にシューターとして重宝される存在だったが、A東京では年々成績を落とし、2017−18シーズンからは三河に移籍。この三河でもディフェンスが原因でプレータイムを獲得できず、昨季は8.2分の出場時間で2.8得点という成績に終わった。

今季は京都に移籍すると水を得た魚のように躍動。オールラウンダーの#32ジュリアン・マブンガ、インサイドの#50デイヴィッド・サイモンとの相性が非常に良く、2人の恩恵を受け、次々とシュートを沈めている。

特筆すべきはフリースロー獲得数の多さ。これまではキャッチ・アンド・シュートが多く、フリースローを得る機会はあまりなかったが、今季は自分から得点をクリエイトしていく姿勢も目立ち、これまでは1試合平均1本以下だったフリースロー試投数が2.1本と倍増。しかも成功率91.9%と、まだ3本しか失敗をしていない。34歳のベテランながら進化を遂げ、京都の地で新たな一面を見せている。

チーム浮上のキーパーソン復調に期待

こうして数字を伸ばしている選手がいる一方で、新たなチームでまだ力を発揮できていない選手もいる。効果的な補強が実り、中地区首位を走る川崎ブレイブサンダースには#24大塚裕土、#27熊谷尚也が加入した。それぞれ以前のクラブでは主軸を担ってきたが、選手層の厚い川崎の中で本来の姿を見せられていない。

役割が大きく変わったことで、アジャストする時間を要するのは致し方ないこと。その中でも大塚は3Pシュートの成功率が横ばい、熊谷はリバウンドの本数が上がっており、プレータイムが少なくなった中で何をすべきかを模索している最中だ。

三河に移籍した“オフェンスマシーン”の異名を持つ#1川村卓也だが、プロ入り後最低の数字を記録している。出場時間もさることながら、シュートの確率が悪く33.7%、ボールを保持する時間も少なくなり、それに比例するようにアシストも減少した。すでに無得点の試合が4試合もあり、シュートスランプに苦しんでいる。

ただ、11月16日と17日の富山グラウジーズ戦では2桁得点を記録しており、試合の貢献度を示すPIRは両試合ともに10を超えた。川村同様チームも苦しんでいるが、調子が戻ってくれば三河自体の成績を上向くはずだ。