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【Bリーグ第1節】川崎が宇都宮に開幕2連勝 機動力と激しいディフェンスで制する

試合前の川崎ブレイブサンダースⒸマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【前半】川崎・篠山、宇都宮・田臥が開幕戦出場 前半は川崎がわずかにリード

10月3日、4シーズン目である2019-20のB1が開幕した。開幕戦は川崎対宇都宮。会場である横浜アリーナには平日の夜にも関わらず、9,514人の観客が詰めかけた。試合開始前には、落語家の立川吉笑さんが座布団を持って突然現れ、Bリーグに関係した落語を披露。その後は自ら両チームのスタート5の選手を読み上げるなど、開幕戦に華を添えた。

開幕戦には、FIBAワールドカップ2019で負った怪我の影響で実戦から遠ざかっていた川崎#7篠山竜青、そして今季初の実戦を迎えたレジェンドである宇都宮#0田臥勇太が出場。役者が揃っての開幕となった。

試合は宇都宮が先制。しかし川崎は2-3から#22ニック・ファジーカス、#27熊谷尚也がレイアップやフリースローなどを決め、リードを5点とする。宇都宮#13渡邉裕規に3pや#22ライアン・ロシターに得点されるものの、川崎も反撃して5点差のまま12-7まで進み、ここで宇都宮がタイムアウトをコールする。

タイムアウト後、宇都宮#31喜多川修平がコーナーから3pを沈め、川崎#14辻直人のファウルで献上したフリースローもしっかり決められる川崎。1点差に迫られ、直後に川崎・辻のドライブから、コーナーで待っていた#0 藤井祐眞が3pを入れるものの、終盤に宇都宮#4ジェフ・ギブスにシュートを決められて、川崎2点リードで1Qを終了する。

川崎・篠山竜青と宇都宮・田臥勇太のマッチアップⒸマンティー・チダ

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2Q、出だしから互角の攻防が続いたが、残り7分6秒に川崎・篠山が速攻からのレイアップを入れて試合が動く。宇都宮#6比江島慎にバスケットカウントを成功されると、再び川崎・篠山が3pを沈める。その後、宇都宮#13渡邉裕規に3pを決められて1点差となり、オフィシャルタイムアウトを終えても1点差の攻防は続いていた。

残り4分5秒。ここで、宇都宮・ギブスにセカンドチャンスからダンクを叩き込まれて逆転を許す。しかし、川崎もファジーカスの4得点で盛り返し29-29の同点まで持ち込む。終盤に向けて、互いに2点ずつ追加するが、残り1秒のところで、川崎#35ジョーダン・ヒースがブザービーターを決めて、2点リードで前半を折り返した。

【後半】機動力と激しいディフェンスで川崎が開幕戦を制する

後半開始早々、川崎は宇都宮・田臥のプレッシャーから攻撃権を渡してしまうが、ロシターのターンオーバーで何とか免れる。その後は点の取り合いとなり、残り4分47秒に川崎は篠山のバスケットカウント、ヒースのオフェンスリバウンドからタップショット、さらに篠山のシュートで引き離しにかかる。そして3Q最後には、川崎#21マティアス・カルファニが3pを決め54-45となった。

4Q、出だしこそ互角に戦ったが、残り8分のところで川崎はファジーカスをコートに戻して、2Qに続きビッグラインナップとする(ファジーカス、ヒース、カルファニの2mトリオ)。

川崎・ヒースは、宇都宮#10竹内公輔のパスミスで、セカンドチャンスから得点して、ゾーンディフェンスを敷く。さらに、#24大塚裕土がスティールからファストブレイクを決めて川崎が60-47とリードを広げていく一方、宇都宮は序盤に竹内が入れたフリースロー以来得点を追加することが出来なかった。

残り6分5秒、宇都宮#21橋本晃佑の3pで点差を詰められたが、オフィシャルタイムアウトを挟んで、川崎・篠山が超ロング3pシュートを沈め、カルファニも続くと川崎のリードは16点まで広がる。

川崎・ジョーダン・ヒースのダンクシュートⒸマンティー・チダ

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終盤までペースが掴めなかった宇都宮。対して川崎は順当に得点を重ね、78-57で完勝。2日目も開幕戦の勢いそのままに、75-69で川崎が勝利して開幕2連勝と好スタートを切った。

「激しい強度で質の高いゲームをしたい」川崎・佐藤賢次HC

川崎は今シーズンから佐藤賢次HCが就任。ディフェンスに激しさをもたらしたプレースタイルで宇都宮を圧倒し、怪我のため出場が微妙な状況だった篠山と辻も、ファンの前で元気な姿を見せた。

開幕戦といえば、これからシーズンが始まるという独特の緊張感に包まれる。試合後の記者会見に臨んだ両チームのHCや選手からも「まだ60分の1に過ぎない」というコメントが相次いだ。

川崎は全員揃って試合に臨む開幕戦が初めてだった。

「激しい強度のままで質の高いゲームをしたいと思っていた。少しは見せられたかな」

佐藤HCはBリーグのレギュラーシーズン初タクトをこう振り返る。会見に同席した篠山やファジーカスも同じ意見とし、さらに次のように語った。

「オフェンスもディフェンスも表面上の部分でしかプレーできていないので、個性を生かしたチームにしていきたい」(篠山)

「新加入選手も自分たちのチームにとって必要ですし、彼らがはまることでこのチームがもう一度強いチームになるきっかけになると思う。彼らの活躍は絶対に必要」(ファジーカス)

勝敗の差はあれ、宇都宮の安齋HCも同じような論調だった。「今日の試合が底辺だと思って、1試合1試合成長していきたい」と、あくまでもシーズンが始まっただけで、まだまだこれから伸びる余地はあるということだ。

川崎・佐藤賢次HC記者会見Ⓒマンティー・チダ

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川崎に関しては昨シーズンより明らかにディフェンスの激しさが増している。新加入のカルファニとヒースはともに機動力があり、ディフェンス面も期待できる。一方の宇都宮は、オープンシュートの体勢までは作れてもシュートの精度が良くない。開幕戦の2pシュート決定率は38.0%、日曜日の試合は40.5%と開幕戦に比べれば少し改善されたとはいえ気がかりだ。(川崎は開幕戦61.9%・日曜日46.7%)

昨シーズンも開幕連勝スタートだった川崎。佐藤HCが目指しているのは「激しい強度のままで質の高いゲーム」。まだ完成形を迎えておらず、残り58試合でどこまで進化するのか、気になるところだ。