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B1秋田が効果的な補強に成功 東地区のダークホースになれるか

2019 8/15 11:00SPAIA編集部
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ディフェンスが一定レベルもオフェンスが長年の課題に

8月に入り、Bリーグ各クラブの陣容が大まかに決定。ここからチーム力を高めアーリーカップ、そしてシーズンへと入っていく。そこで今季、躍進の期待をされているのが秋田ノーザンハピネッツだ。

Bリーグ初年度である2016-17シーズンは、B1に所属しながら18勝42敗と苦しい成績だった秋田。残留プレーオフでも横浜ビー・コルセアーズに敗れ、2017-18シーズンはB2へ降格。だが、最短復帰し、翌年の2018-19シーズンは再びB1に。ところが、またもや17勝43敗という成績で、辛くも降格は免れたものの、改めて力不足を露呈してしまう結果に。

チームには、リーグスティール王の#17中山拓哉、同ブロック王の#43カディーム・コールビーのタイトルホールダーを擁し、失点はリーグ全体で10位の78.2点。スティールは1位、ブロックは4位と好成績を残している。これは、ディフェンスチームと言っても良い数字だ。

強化が急務なのがなオフェンスだ。初年度は70.4点で17位、昨季も71.3点で16位と、Bリーグになってからの大きな課題になっている。昨季のオフェンスリバウンドは12.9本と多くのセカンドチャンス得ているため、決してシュート本数が少ないわけではない。

にもかかわらず、得点が伸びないのは “決定力”が原因とされ、FG%は17位の42.1%。オフェンスレーティングも92.3と、オフェンスリバウンド以外の項目ではリーグ最低水準の数字だった。

古川、細谷の攻撃型選手の加入で得点力のアップに期待

オフェンスはここ数年の課題だったが、思うような補強ができず得点力不足を払拭できていなかった秋田。しかし今季は大胆な補強を敢行した。

これまでの秋田は25歳以下の若手を主に獲得し、彼らを育てていく方針があった。今季は新たに4名の日本人選手を獲得したが、25歳以下は新卒の#11今川友哲のみ。東地区で勝ち抜くために、今季は“成長よりも実績”に方針転換。31歳の#51古川孝敏や29歳の#6細谷将司と#16伊藤駿が加入した。

伊藤は生粋の司令塔、対して細谷は攻撃型司令塔と真逆のタイプ。古川は日本代表経験があるシューターと、既に実績がある3選手。これは、得点力アップに期待できるだろう。特に、現状を打開できそうなのが古川と細谷だ。

昨季の成績が日本人10位の10.5点だった古川。成功率は40%弱と高いものではなかったが、この10点は今の秋田にとって十分な成績といえる。琉球は得点源が分散しており、日本人のスコアラー不在の秋田では外国籍選手に次ぐオプションになり得る。そうなれば10点からの上積みも期待できるだろう。細谷も昨季は20分に満たない出場時間で7.2点を記録しており、20分以下の出場時間の選手の中では3位。仮に30分換算をした場合、10.8点と高い数字になる。

この2人が前年通りの活躍をすれば20得点近くが期待でき、退団した日本人5選手の合計16.7点よりも高い数字となる。ここに伊藤や#24保岡龍斗の成長を加味すれば、更なら得点アップも不可能ではない。ちなみにリーグ順位に単純に昨季の平均得点に5点を加えると、16位から10位になる。

単純計算で解決できないのがバスケットではあるが、それでも得点力の向上による順位の上昇は期待しても良いだろう。

ウィリアムスの帰化認定もチームには大きなプラスに

秋田の躍進が期待される理由は、実力がある日本人選手の加入といったことだけではない。昨季、帰化申請を提出していた#28ウィリアムス・ニカの申請が晴れて認められ、外国籍選手の出場が可能になったことも大きな追い風になっている。

ウィリアムスは日本でのプレー経験が長く、出場時間が与えられればしっかりと数字を残すことができる選手だ。事実、シーズン途中で福島ファイヤーボンズに期限付き移籍した昨季も、18.3点を記録している。

現在、秋田の外国籍選手の多くはインサイドを主戦場としているが、ウィリアムスについては、アウトサイドのシュートがうまい#40ジャスティン・キーナンとの併用が可能。選手起用のバリエーションが増えることは、新たに指揮を執る前田顕蔵ヘッドコーチにとってもプラスだ。

得点力不足に悩まされていたものの、朗報が続き、今季はダークホースと目されている秋田。オフェンス力を強化しながら、ディフェンスの柱となる中山とコールビーも残留し、攻守のバランスが改善されそうだ。

千葉ジェッツ、アルバルク東京、宇都宮が占める東地区の上位に波乱を起こせるか注目だ。

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