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Bリーグ平均スタッツを大きく上回る東地区上位3クラブ 来季も一極集中は変わらずか

2019 7/15 15:00SPAIA編集部
B1リーグ地区比較レーダーチャートⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

猛威を奮った東の3強に琉球は唯一善戦

2016年に始まったBリーグも3シーズンが終了したが、これまでは全て東地区が優勝。ファイナル進出クラブも6クラブ中5クラブが東地区だ。

そのため東地区と他地区との格差が大きいと言われているが、実際の数字と正規化して補正を掛けたレーダーチャートで比較してみた。

B1リーグ地区比較レーダーチャートⒸSPAIA

失点、TOVは正負を逆にして算出、少ないほど外側に近づくⒸSPAIA

B1平均と各地区の平均をレーダーチャートで見比べてみると各リーグで特徴的な図になった。東地区優勢かと思いきやスタッツだけ見ると西地区の面積が大きくなっている。

しかしこれをさらに東地区の上位3チームに絞って見てみると違った姿が浮かび上がってくる。

B1東地区上位3チームの比較レーダーチャートⒸSPAIA

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B1の平均得失点を上回る成績を残している東地区上位の千葉ジェッツ、栃木ブレックス、アルバルク東京の3クラブ。

得失点で全てを測れるわけではないが、攻守のバランスの良さが東地区の3クラブにはうかがえる。特に千葉は得点、失点、3P%、2P%、FG%、リバウンド、ターンオーバー全てでリーグ平均を大きく上回る成績を残した。

また千葉はシーズン8敗のうち4敗、栃木が11敗のうち7敗、A東京は16敗のうち9敗を東地区で喫している。裏を返せば東地区以外での敗戦が少なく、東地区のレベルが高かったことが分かる。

一方で、中地区1位の新潟はやはり東地区との相性が悪く15敗中8敗を喫し、チャンピオンシップでもA東京に連敗している。



西地区優勝の琉球ゴールデンキングスは意外にも東地区のクラブを苦にしておらず、栃木、千葉とは5分、A東京には3勝1敗と合計12勝4敗で勝ち越し。琉球はリーグ平均得点を2点も下回る74.77ながら、失点が少なくオフェンスの弱さをディフェンスでカバーしていたことが分かる。実際東地区の3強との直接対決でも平均失点は73.875とリーグ平均よりも低く、攻撃力の高い相手に対して粘りながら勝利を挙げていた。

東地区下位陣も守備スタッツでは意地

また東地区の特徴として上位と下位の差がハッキリしていることも挙げられる。先に挙げた上位3クラブはいずれも勝率が7割を超えているが、下位の秋田ノーザンハピネッツとレバンガ北海道の勝率は3割を切っている。

B1東地区下位3チームの比較レーダーチャートⒸSPAIA

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下位に沈む3クラブだが、SR渋谷、秋田に関しては全てのスタッツで大きな差があったわけではない。秋田はスティール王の#13中山拓哉、ブロック王に輝いた#43カディーム・コールビーが守備をけん引し、平均失点は中地区の78.65を下回っている。リバウンドやスティール、ブロック等も上位クラブと比較しても見劣りするものではなく、東地区の3強と対戦する機会が多い分、リーグ平均で見れば失点は多いものの、対戦相手の得点力を考えると他地区でも充分武器となるディフェンスと言って良いだろう。

琉球を筆頭に西地区のクラブは苦しんだ1年に

東地区に対して善戦した琉球だが、40勝20敗と前年よりも成績を下げて3年目のシーズンを終えた。西地区クラブ間での対戦において他の上位チームが勝ち星を稼いでいる中、琉球は20勝10敗で勝率はシーズンと同じ66.7%だった。

またスタッツも示しているように、得点74.77は西地区平均を上回るものの、その差0.15という数字で、リーグ全体では平均よりも2点以上低い。リーグ最少失点を記録したが、得点力不足を脱却できなかった。

琉球だけではなく、2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ以下、全てのクラブがリーグ平均得点もしくは失点を大きく下回っている。

得失点だけであれば地区の特性と見ることもできるが、地区ごとの勝敗でも、東地区が199勝、中地区が184勝、西地区が157勝(※公式試合安定開催融資制度を利用したペナルティで5勝減となったライジングゼファーフクオカは本来の12勝で計算)と最も低くなっており、地区格差は数字上でもはっきりと表れている。

新たなシーズンも昨季同様のレギュレーションで行われることが発表された。

その中で東地区の北海道と秋田、さらにはサンロッカーズ渋谷が補強に成功し、東地区の戦いはさらに肉薄していきそうだ。地区内で切磋琢磨しレベルが上がることで、図らずとも地区格差はさらに広がることも考えられる。 東地区での優勝の難易度は跳ね上がり、ファイナル進出は東地区のクラブばかりといった東地区一極集中の状況が続けばレギュレーション変更の声はさらに大きくなるだろう。