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【Bリーグ】戦力ダウンだけではない?三河がCSを逃した理由とは

2019 6/6 07:00SPAIA編集部
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攻防の柱が流出し総合力ダウン

“黒”をチームカラーとし、B1リーグの上位に君臨するシーホース三河。鈴木貴美一ヘッドコーチが1995年に就任し、2005年のスーパーリーグ(NBL→JBLの前身)から連続でポストシーズンに出場。天皇杯も9度制している。

常に司令塔、得点源、インサイドの要を擁し、豊富な選手層で強さを維持。Bリーグになってからも2年連続で勝率7割5分を超える数字を記録し、昨季はリーグ最高勝率を誇った。

しかし、今季は橋本竜馬が琉球ゴールデンキングスに、比江島慎が栃木ブレックスに移籍。これまでは移籍者が出ても補強や若手の成長で補ってきたが、今季は不発。期待されていた若手が思うような活躍ができず、シーズン中盤の#11熊谷航、#30岡田侑大の加入は大きかったものの、31勝29敗という成績でチャンピオンシップ出場を逃した。

平均得点は84.6から79.0にダウン、そのほかシュートの確率に関しては3Pを除き、全て昨季より低い数字になっている。外角の選手ながら、FG%5割かつ1試合13得点をあげていた比江島が抜けたことを考えれば当然の結果であり、岡田が10.3得点を記録したがその穴は埋まりきらなかった。

また、失点自体は0.4増と微増に留まったものの、ディフェンスリバウンドが約2本、スティールも約1本ダウン。オフェンスよりも傷口は浅かったものの、ディフェンスの小さなほころびから試合を落とすことも多くなった。

金丸の負担増で勝利のセオリーが崩れる

主要なスタッツを見ても今季の三河がいかに苦しんでいたたが分かるが、象徴的ともいえるもう一つの原因は試合の入りの悪さだ。

元々三河は先行逃げ切りタイプで、2017-18季に挙げた48勝のうち実に42試合で1Qのリードを保っての勝利。それは、外から比江島と#14金丸晃輔、インサイドでは#32桜木ジェイアールと外国籍選手が見せる波状攻撃で、リーグ1位の84.6得点を積み上げていたことが大きい。ところが今季、比江島がチームを離れたことで攻撃力が低下。さらに桜木がケガなどで低調に終わり、得点面で金丸への比重が大きくなった。

1Q点超リード時の勝敗は22勝10敗と7割近いものの、昨季は約9割で勝利してきたことを考えれば物足りない数字に。立ち上がりでリードを得るというこれまでの戦いができなかったことからチームは崩れ、そのまま大量得点差で敗れる試合も珍しくなかった。事実、15点差以上の敗戦が昨季は僅か2試合だったが、今季は9試合に増加している。

また、5点差以内の勝敗でも7勝9敗と5割を切る結果になるなど、スタッツ上に加え数字では表しにくい“展開力”“洞察力”というバスケットIQに絡んだ面でも、比江島と橋本の存在は大きかったのだ。

復活の鍵を握るには2人の有望株

2018−19シーズンは三河にとって苦しい1年となったが、熊谷と岡田の存在は来季に向けての明るい希望といえる。

鈴木ヘッドコーチは将来を見据え、シーズン中盤から積極的に2名を起用。両選手が一緒にスタメンに名を連ねた14試合では8勝6敗と成績自体の劇的な好転はなかったものの、苦しんでいた得点は平均80.1と上向きに。また、岡田はスタメン起用の20試合で平均14得点と金丸のサポート役として及第点の活躍を見せた。

2名ともに来季の残留が決まり、2018-19シーズン当初よりスタメンで起用される公算は高い。橋本と比江島の穴を埋めるまでにはいかないものの、三河の伝統である“展開力”を叩き込まれれば、三河の選手として大きく羽ばたけるはずだ。